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技術者が活躍する範囲は,今も昔も国内だけには留まらない。ただ近年は,グローバル企業
にとってすでに日本は市場の一つに過ぎなくなっており,そういった意味で開発拠点を日本以
外に設ける企業が徐々に増えてきた。技術者もどんどん海外の開発拠点に行く時代だ。
さらに日本の優秀な技術者は,海外企業からとってみると,のどから手が出るほど獲得したい
存在だ。日本の得意とする材料に関して知識を持った技術者であれば,なおさらだろう。今回
はそんな,材料メーカーに勤務していた技術者の話を紹介したい。
(略)
彼は高等専門学校を卒業していた。当時の日本は,まだまだ学歴社会の風潮が強く,また彼
の所属している会社には学閥などもあった。大学の銘柄,学歴などによって明確な差別が残っ
ていたのだ。
彼は海外メーカーが注目するほどの実力者だった。しかし,いくら実力があっても,社内で地位
を高めるには限界があったのだろう。彼にとって,それは受け入れがたい屈辱だったに違いな
い。だからこそ,それを突破する手段として海外への転職,という高いハードルを越える決意を
させたようだ。紹介先の海外メーカーは,まったく学歴を重視しない,というのも,彼のハードル
越えを後押しした。
(略)
海外メーカーに技術者を紹介するたびに私がジレンマに陥るのは,果たして日本のために正し
いのだろうかということだ。事実,今回の話においても,彼が抜けた材料メーカーの開発現場
は,しばらく混乱したという。彼の実力を,改めて思い知らされたというわけだ。
もちろん,地位や給料だけで技術者が気持ちよく働くわけではない。しかし,実力を正当に評
価できなければ,他社に転職してしまうし,今回の話のように海外メーカーに行くことも考えら
れる。大分,日本のメーカーでも学歴社会の考えは変わってきているようではあるが,人事担
当者にはいま一度見直してほしい点である。
(以下略。全文はURLリンク(techon.nikkeibp.co.jp) )
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