08/01/24 23:35:56 8ety/nhe0
俺らは結局航空会社の甘い提案を受け入れてしまった。
早くこの場から立ち去りたいという気持ちは確かにあった、そんな他のみんなに逆らって航空会社の倫理を説く場面でもなかった。
関空行きの便に乗る予定だった搭乗者は皆成田行きの便に搭乗し、
羽田で一泊した後各々のマスクをかなぐり捨て、PEKと印字されたトランクのテープを破り
さながら一仕事終えた銀行強盗犯が人目を忍んで帰路につくように国際線に乗り込んだ。
国際線は他の乗客も多く、日本語での喧騒から離れて久しい俺らはまるで自分が非難されているかのような錯覚だった。
そのざわめきから逃げるようにイヤホンをかぶり、ジャックを無理矢理座席に差し込んでも、聞こえてくるSARS関連のニュースが耳から離れなかった。
とまぁ、こんなとこだ。
もし俺らが原因で日本で感染が拡大なんかしてたらその航空会社は倒産の憂き目にあってただろうな。
どことは言わんが。
日本は人権がややこしくて帰国した際もこれといって厳密な検査を受けたわけじゃない。危機感は持っておいたほうがいい。