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【断 中村文則】踊らされていませんか
最近、お金の使い方について考える。
何かに踊らされて買うのでなく、本当に自分が欲しいと思ったものだけを買いたい。その人の全ての
レシートを見れば人物像がわかるというか、お金の使い方には、その人の人格も出ると思う。できれば、
自分なりの格好いいお金の使い方をしたい。
何にお金を使っても勝手なのだけど、よく不思議に思うのは、芸能人関係にお金を注ぎ込む人。
本当に、心から願ってお金を使っているのだろうか。ちょっと芸能事務所やテレビ業界の思う壼なんじゃ
ないか、とも思ってしまう。消費者というのは、本当に芸能人に影響されてしまう。
たとえば、芸能人の誰かと誰かが恋愛の噂（うわさ）になる。「映画の共演をきっかけに交際が始まり…」
となって、ちょうどその映画公開の頃にそれが表面化する。あらゆるメディアが映画より２人の関係に
興味を持ってニュースを流し、しかし結果的にそれが映画の宣伝になるというカラクリである。２人が
結婚すれば、必ずと言っていいほど本が出る。それには「結婚までの秘話」が書かれている。映画は
大ヒット、本もベストセラー。結婚式が中継されれば、使われていたアクセサリーやら何やらに注文が
殺到。もうお祭り騒ぎである。
離婚すれば、特に女性が番組に出演して離婚話を泣きながら暴露する。世間の同情を買い、離婚後は
「自立した女性」を演じ、また本を出す。また売れる。デザイナーも兼業したりして、その商品もなぜか
売れたりする。
今人気の芸人の方が穿いている海水パンツが、品切れ状態だという。「息子に穿かせたい」という
問い合わせもあったらしい。世の中は本当に不思議だと思う。（作家）
2008.1.11 03:11
URLﾘﾝｸ(sankei.jp.msn.com)