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日本の市場で販売される地球儀が、なぜ「中国仕様」になったのか。その経緯を、
学研トイズは「もともと香港のメーカーが開発し、日本語版の製造、販売権を当社が取得した。
当初は日本の学校教科書同様の表記をするつもりだったが、工場が中国にあり、
中国政府から表記を変更しないと日本への輸出を認めないと迫られた。
すでに玩具ショーなどで注文が殺到していたので、仕方なく中国政府の指示に従った」と説明した。
購入者からの問い合わせや苦情を見越し、同社は応急措置として、説明書にメモを添付。
メモには「生産国の中華人民共和国政府の指示により、地球儀表面の『台湾』の表記が
『台湾島』音声が『中華人民共和国』となっておりますことを
あらかじめお断りさせていただきます」などと記している。
初回製造の1万個は完売。次回の入荷分にすでに7000個の予約が入っているが、
外箱には表示に関する断り書きなどがないため、購入者からは
「事前説明なしに売るなら食品偽装と同じ」といった苦情があったという。
文科省や外務省は「教科書や正規の学校教材でない以上、官庁の検定の範囲外だが、非常に珍しいケース。
一般購入者が『見慣れない地図』という違和感があっても不思議ではない」という。
東アジア情勢に詳しい伊原吉之助・帝塚山大名誉教授は「世界地図の表記はその国の利益に直結しており、
他国の主張にやすやすと屈服し、自国で販売するというのは主権侵害への加担であり、
一企業の商行為でも不誠実のそしりは免れない。それが学習教材大手というからなおさらだ」と話した。
台湾(中華民国)は日本と歴史、経済、文化的に緊密な関係にあるため、
1972年の日中共同声明以降も、「台湾は不可分の領土の一部」と主張する中国に対し、
日本政府は「立場を十分理解し、尊重する」と表現するにとどめている。
昨年末の福田康夫首相の訪中時も、共同記者会見で温家宝中国首相が福田首相の発言を紹介した際、
通訳が「福田首相は台湾の独立に反対を表明した」と誤訳し、
福田首相が慌てて「支持しない」という表現に修正する一幕もあった。(終)