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★シャネルの5番・お守り…震災遺品帰れず 神戸の比女性
95年1月の阪神大震災で亡くなったフィリピン人女性の遺品が、在大阪・神戸フィ
リピン総領事館(大阪市中央区)にいまも保管されている。がれきの下から見つかった
かばんにあった定期券、ポケットベル、お守り、香水の小瓶……。総領事館が母国の遺
族を捜したが、消息が分からないままだ。セネン・マンガリレ領事は「引き取り手が現
れない限り、彼女の悲しい人生の最終章はない」と声を落とす。17日で震災から13
年になる。
ルイ・ヴィトンのバッグのひもを解くと所持品が出てきた。
現金3万5140円、ポケットベル、私鉄の定期券、シャネルの5番の小瓶、縁結び
で知られる地主(じしゅ)神社(京都市東山区)のお守り、未開封の森永エールチョコ
レート、指輪やイヤリング……。いっしょにあったフィリピンの5ペソ紙幣を指さし、
マンガリレ領事はつぶやいた。「あれから新札ができた。もう流通していません」
バッグに残っていた外国人登録証明書の名前は、マリアユニース・ラチカさん(当時33)。
証明書によると、首都マニラの南900キロ、ミンダナオ島沖にある小島の街
ラミタンの出身で、85年に来日。職業欄には、すでに廃校となった神戸市のビジネス
専門学校の秘書と記されていた。
兵庫県で暮らすフィリピン人の交流グループの元代表、ローランド・メンディオラさん(66)
=神戸市中央区=は、生前の彼女を知る一人だ。ラチカさんは「ピンキー」
と呼ばれていたという。
あの日、ピンキーは須磨海浜公園(神戸市須磨区)近くに住む日本人の恋人宅にいた。
木造アパートは全壊し、翌日、恋人とともにがれきの下から見つかり、その傍らにルイ・
ヴィトンのバッグがあった。
近くの区民センターで遺体に対面したメンディオラさんは、唇の右上のほくろで本人
と確認した。「古い瓦に押しつぶされて無残だった。でも顔は生きているかのように美
しいままだった」と振り返る。
(続く)
■ソース(朝日新聞)
URLリンク(www.asahi.com)