08/01/06 22:26:54 1bhhDUcyO
それから5年後、陽介はサークルで知り合った
由香里との間に恋が生まれめでたく結婚。
健康な赤ん坊を授かり、翔と命名した。
陽介は一家の主となり、汗水流して一生懸命働いた。
月日が経ち、クリスマスが近づくある晩
陽介は悪夢に魘された。
飛び起きて目頭を押さえる。
ここのところ仕事に追われていたせいか、疲れがたまっていたのだろう。
横にいる我が子の寝顔を見て思う。
「忙しくて遊んでやれる時間もめっきり減ってしまった。
年が明けたら旅行にでも連れてってやろう。」
そして正月休みを利用し、家族を乗せた車は目的地に到着した。
「着いたぞ」
陽介がシートベルトを外し由香里のほうを振り向いた。
しかし、由香里は顔面蒼白で声を震わせて呟いた。
「あ、あなた・・・ここは・・・」
由香里の硬直した顔を見て心臓が凍り付いた。
そう、10年前の今日、大切な仲間を失った場所だったのだ。
完全に忘れていたあの日の出来事が一瞬でフラッシュバックする。
由香里は陽介の肩を掴みながら「ねぇ!帰りましょ・・・!」と繰り返す。
陽介が言われるがまま、シフトレバーに手を置いた時、翔が口を開いた。
「やっと探しに来てくれたんだ」