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福岡刑務所(福岡県宇美町)が、所内で労役に服す「懲役」ができない認知症の高齢受刑者について、
精神疾患がある受刑者を収容する北九州医療刑務所(北九州市)に受け入れを打診したところ、拒否
されたことが4日分かった。理由は「認知症は治癒の見込みがない」。高齢受刑者は増加傾向にあり、
矯正を目的とする現行制度下で、介護機能のない刑務所での認知症受刑者の処遇が問題点として
浮上した。
福岡刑務所によると、認知症の受刑者は2人。70歳代の1人は身寄りがなく06年に窃盗罪で有罪と
なり入所。出所3日後に福岡市内で再び窃盗容疑で逮捕され、再収監された。この受刑者は窃盗を
したことも覚えておらず、係官との会話も成立しない。医師は認知症と診断し、3畳の独居房で生活
している。
刑務所側の負担もあり、北九州医療刑務所に収容を打診したが「(治療可能な)精神疾患を併発して
いないと受け入れられない。認知症は治癒の見込みがない」として拒否されたという。
福岡刑務所は、懲役8年未満の受刑者を1600人以上収容できる九州最大の刑務所で、窃盗など
刑期が短い受刑者が多い。03年に185人だった65歳以上の高齢受刑者は、07年10月1日現在で
261人と急増。最も多い罪状は窃盗罪で、再犯率も1人当たり9.5回と全体の4.1回を大きく上回り、
出入所を頻繁に繰り返すケースも後を絶たない。
同刑務所の花岡栄次調査官は「社会で行き場を失った高齢者が何度も刑務所に来る。高齢化に伴い
認知症の受刑者のさらなる増加も予想され、介護機能のない刑務所での今後の対応が課題となる」と
話している。
◇
法務省は知的障害と認知症の区別が明確ではないため、全国の認知症受刑者数を把握していない。
ただ、知的障害・認知症対策については厚生労働省と共同研究を進めており、今後、こうした受刑者に
対する具体的な施策なども検討する方針。
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