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三島由紀夫が1962年に小説「美しい星」を発表すると読者は驚き、怪しんだ。
登場するのは空飛ぶ円盤、自分は異星人だと自覚し人類救済に立とうとする家族……。
核軍拡で漂う終末観を背景に寓意(ぐうい)を込めた異色作だが、従来の「三島文学」を
期待する人々は何だと思ったらしい。日本人は「荒唐無稽(こうとうむけい)」にしばしば
非寛容である。
その意味で、空飛ぶ円盤つまりUFO(未確認飛行物体)などと自衛隊出動について
記者会見で熱く語った石破茂防衛相に、少し同情すべきかもしれない。旗色が悪い。
「UFO襲来には災害派遣だろうか。領空侵犯だといっても、相手は外国の航空機では
ない。航空機というからには、翼があり、揚力で飛んでいるのか」「わが国への急迫不正
の武力攻撃か。向こうが何らかの意思を伝えてきたら、どうやってわが国の意思を伝達
するのか」……。
38年、火星人襲来の実況を装ったラジオドラマ「宇宙戦争」が米国内をパニックにした。
意識の奥の不安を突いたのだ。作ったオーソン・ウェルズは一気に評価を高めた。
一方、当時のわが日本でこんな放送が許されるはずもなく、まして陸軍大臣が
「異星人襲来に備え、検討を」などと言えば即刻クビだ。世は今よりもっと非寛容
だった。
この際防衛相に、学校で今旗色が悪い総合学習の授業に救援出動していただくか。
UFOばかりか、ゴジラ、モスラ襲来にも及ぶ話に子供たちの目は輝き、安全保障から
航空工学、物理学、生物学まで好奇心と学習意欲の翼を広げ、総合学習の真骨頂を
大いに発揮するかもしれない。
ソース(毎日新聞・発信箱、論説室・玉木研二氏)
URLリンク(mainichi.jp)