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バイオ燃料は悪者か 食糧高騰で批判集中
4月24日23時10分配信 産経新聞
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世界的な食糧価格の高騰に直面し、温暖化対策の切り札のひとつとして米国が主導するトウモロコシなどを原料とする
バイオ燃料増産に批判の矛先が向き始めた。国連の食糧問題に関する特別報告官がバイオ燃料増産を公然と批判し、
欧州連合(EU)もバイオ燃料使用の目標見直しを迫られている。6月3日からローマで開かれる国連食糧農業機関(FAO)の
加盟国高官会議や7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)でもバイオ燃料と食糧安全保障が主要議題として取り上げられる見通しだ。
「バイオ燃料の大量生産は、世界の食糧価格破壊をもたらす『人道に対する罪』である」。国連の「十分な食糧を得る権利」に関する
特別報告官ジャン・ジグレール氏はドイツのラジオ局でこう述べた。
バイオ燃料用の穀物生産のため、食糧用穀物の作付面積が減少してしまうというのが理由だ。とくに、トウモロコシを原料としたエタノールについて、
米政府が2006年1月、20年までの生産目標を当時の生産能力の7・5倍の360億ガロンに設定したことを契機に、
米農家が小麦や大豆の栽培を縮小し、トウモロコシ増産に走った。
この結果、他の穀物価格にも高騰が波及。穀物産地のオーストラリアの干魃(かんばつ)や投機筋の資金流入などに加え、
アジアの主食であるコメ価格もベトナムなどの輸出停止措置の影響を受け、食糧全体の高騰につながった。
こうしたなかで、これまで温暖化対策のため、バイオ燃料使用の割合を増やす目的を掲げているEU内部でも、
見直しを迫る声があがり始めた。EUの欧州委員会は2020年までに運輸部門の燃料に使用されるバイオ燃料の割合を、
現在の2%以下から10%にまで上げることを目指しているが、英国は早急の計画見直しを要請。
農業国フランスのバルニエ農業・漁業相も「最優先されるべきは食糧生産だ」と述べた。
米政府は昨年末、360億ガロンのうち210億ガロンは草の茎や木材のくずなどを使った
セルロース(植物繊維)を原料にして生産するよう目標を修正。
超党派でバイオ燃料増産を推進した民主党上院のリード院内総務は22日の地球の日を記念する会見で、
「原料を食糧から切り替える必要がある」と強調した。
ただ、欧州環境委員会の担当者は「政策目標を変更すれば他の目標をリスクにさらすことになる」と反論。
バイオ燃料に関する目標数値を変更する考えはないことを強調した。
FAOは今年2月に専門家による「バイオ燃料政策と食糧安全保障に関する基調声明」を出し、
バイオ燃料政策が食糧安全保障に与える影響は十分に解明されておらず、
早急な分析が求められていると強調。そのうえで、食糧の安定供給を確保しつつ、
貧しい農業従事者がバイオ燃料生産から得られる利益を奪われることのないような政策立案が必要と提言した。
一方、サトウキビを中心としたバイオ燃料の世界最大輸出国であるブラジルのルラ大統領は、世界が必要な食糧を「供給できないでいるだけで、
バイオ燃料が食糧価格に与える影響はない」とすべてのバイオ燃料を否定するような動きを牽制(けんせい)している。
また、国際通貨基金(IMF)と世界銀行も、「食糧価格高騰は一部の国の無分別な農作物の価格政策の反映でもある」
(ストロスカーンIMF専務理事)と指摘、生産国の農作物に対する補助金や輸出制限なども問題視している。
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