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週刊文春昭和58年6月30日号
高部知子のベットインテープの沈黙部分が語る十五歳の性
カセットテープで約30分。
長いようで短く、短いようで長いシロモノだが、
とりあえず内容をご紹介しよう。まずは女性(＝♀)の
「アハハ、バカ」というあくまで明るい笑い声ではじまる。
♀「二人はキスしました」
(間)
♀「二人は長いディープキスをしました」
(間)
♀「・・・・・・左腕を脱ぎました」
♀「・・・・・・右腕を脱ぎました」
♀「そして・・・・・・エヘへへへへへ、ナイショッ」
明らかにテープを意識して状況を説明して下さっているわけである。
そして、あくまでも明るいーーー。
♀「くしゅぐったい、くしゅぐったい、くしゅぐったいよ～」
♂「くしゅぐったいか?」
♀「くしゅぐったい、くしゅぐったいよ～」
説明の必要はないと思うが、じれているのである。
ここまでは、明るくじゃれている。
この後、約十分間、ほとんど沈黙が続くのである。物音もほとんどしないのである。
退屈な十分間という人もいる。退屈しないという人もいる。とにかく沈黙と静寂が支えるリアリティ
なのである。
やおら振動音が高まる。「アッ」「ウン」なんて声も聞こえてくる。耳をすませば「デュップ、デュップ」
なんて音がきこえてくるような気がする。「パン、パン」なんて耳をつんざくばかりの音もしている。
なんだろう?
そしてここから動きはじめるんですね。激しい振動音と「パチン、パチン」という派手な音。
♀の語彙は「アン」「ウン」「ダメ」。
枕元の縫いぐるみも揺れているんだろうなあ。