08/10/27 00:24:46 JzBmaI7n
十年程前になるが、パソコン通信(ニフテイ通信)の掲示板上において「社会啓蒙性
のない邦画は滅びるしかない」という題名で掲示を書いたことがある。
当時の邦画はまさしく衰退の一途をたどっており、(当時の)ニュース23の番組内
において筑紫哲也氏は、「邦画はこのままでは未来は無い」と言ったという発言を取
り上げ、邦画と洋画の間で根本的に違うのは、社会や体制に対して批判し、訴えられ
るモノが邦画にはない。
例えば、私が一番評価している映画は「ダンス・ウイズ・ウルブス」と「マルコムX」
だが、この2作品に関して言えば、アメリカという国家における根本的な社会体制内
部の矛盾を指摘し、訴えた作品であり、映画それ自体において社会体制自体の啓蒙を
促し得るような効果があったが、邦画においてはそんなものは何もなかった。
少なくとも、当時の私は、邦画に関しては、この日本という国が抱える矛盾や諸問題
を暴きだし、啓蒙を促せ得るような作品に関しては、お目にかかった事がない。
第一、そんな作品をつくろうとしても、金を出す会社なんかどこもありはしないだろ
うし、放映してくれる映画館すらないだろう。それは全て日本という国家と国民の狭
量さによるよるのであり、そんな度量のないこの国の映画なんぞは衰退して当たり前
だ。というような事を書いたのである。
だが、その後の十年間において邦画は持ち直し、現在、興行成績的には洋画を大きく
引き離している。
確かに演出、脚本、設定、登場人物の感情描写その他において当時からは格段に良く
なったし、面白い作品が出来ているとは思うが、正直、今でも社会体制の啓蒙を促し
得るような作品というものにはお眼にかかってはいない。
2に続く