08/10/23 00:14:56 zMWPXIrm
原作既読で、かつ原作が好きな人間が映画を見るとき、
どういうスタンスで見るかというと、息子の活躍を期待する親のごとく、
完成度の高い作品であってほしいという期待や願いをこめて見ることになる。
物語を100%純粋に楽しむということはできないのだから当然そういう見方になる。
まずは、堤真一の演技に驚かされた。
原作とは風貌は違うのだが、原作のキャラクターに近い役作りをうまくしていて、
しかもその役作りも過剰すぎず自然だ。
本来は男前な役者なのに、女に縁のない数学一筋の教師になりきっている。
ほんとに巧い役者なんだなあと思った。
松雪の演技の過剰さや、福山の演技のぎこちなさがかえって浮かび上がってしまうほど、堤真一は素晴らしかった。
ついでにいうと草薙を演じる北村一輝も良かった。
柴咲コウは、ドラマを全く見ていなかったのでどういうキャラクターなのか全然知らなかったのだが、
この映画を見て彼女の存在理由が分かった。
彼女は要するに若い女性層を主な対象とした、橋渡しのような役割なのだ。
この手のミステリ、特に理系の話(本作は違うが)は、
ミステリに興味のないライトな客層にはとっつきにくい。
だからそういったライト層の素直な意見や感じたことなどを、
柴咲演じる内海に代弁させるわけだ。
彼女がいることによって、そういった客層が
こういうジャンルに入っていきやすくなるという効果が生まれる。