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20代の学生アルバイトである彼はコロナ禍も吉野家で働いてきた。彼のことは中学時代から知るが、顔つきといい話し方といい、学生アルバイトとはいえ社会で働くということはこんなに人を成長させるのか。これも吉野家の歴史ある従業員教育の賜物だろうが、そんな吉野家が彼の言う通り、たったひとりの役員(当時。以下、元役員とする)のために大変なことになってしまった。
「お客様から直接言われるのは私たちです。SNSでも日本中の吉野家の店員が悲鳴を上げています」
「注文時にその発言(薬物、シャブ)を付け加えるお客様もいます。よく来てくださるお客様の中には怒り出す方もいます。酷い発言で非難されるのは当然ですが」
酷い発言だが彼も含め、現場の従業員には何の罪もない。吉野家の牛丼にも罪はない。それなのにたったひとりの元役員のせいで非難や揶揄をされることとなってしまった。風評の問題も鑑みて具体的には書かないが、牛丼にその発言を例えるような心無い注文や抗議を受けるという。
「もちろん、ほとんどのお客様はそんなことをしません。むしろ『大変だね』と声をかけてくださる常連の方もいます。本当に一部なのです」