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<書評>
「ショック・ドクトリン」(上・下)
ナオミ・クライン著 幾島幸子、村上由見子訳(岩波書店)
「新自由主義」 デヴィッド・ハーヴェイ著 渡辺治監訳(作品社)
「新自由主義の復権」 八代尚弘著(中公新書)
立命館大学国際関係学部教授 高橋伸彰
社会の危機に乗じ改革 利権狙う強欲さ正当化
フリードマンは「深刻な危機が到来するのを待ち受けては、市民がまだそのショックにたじろいでいる間に公共の管轄事業をこまぎれに分割して民間に売り渡し、『改革』を一気に定着させてしまう」
経済的ショック療法のススメを、40年近くにわたり説いてきた。その最初の実践が、もう一つの9・11と言われている1973年9月11日に、ピノチェトがチリで起こした軍事クーデター直後の経済改革だった。
ピノチェトはクーデターのショックでチリ国民が混乱してる間に、民営化、規制緩和、貿易の自由化、および福祉・医療・教育予算の削減など、市場原理的な改革をフリードマンのアドバイスにしたがって一気呵成に推進したのだ。
フリードマンにとってショックは改革のエンジンであり、改革のためなら政治的にショックを作り出すことも厭わない。その意味でレーガンが執った航空管制官のストに対する強攻策も、サッチャーによる炭鉱労組との徹底対決も、
労働者にショックを与えて権力者(資本の増殖)に有利な雇用の規制緩和を進めたという点で、災害やクーデターと同じショックだったとナオミ・クラインは喝破する。
資本主義に批判的な経済学者デヴィッド・ハーヴェイも「新自由主義」で、新自由主義の「ショック療法」は「当初から階級権力の回復を企図していた」と言う。
自由化や流動化といった新自由主義の定番メニューで労働者にもたらされたのは「賃金の引き下げと雇用の不安定化」であり、その一方で大企業には「利益をあげるための無制限の市場的自由」が与えられたと言うのだ。