水泳の試合の入場at SWIM
水泳の試合の入場 - 暇つぶし2ch150:
18/02/26 00:10:19.77 /WOoQb80.net
(古橋!!?)
(ドドドどーして文乃っちが!? てか見られてないよね!? いま文乃っちが出てきた細い路地って
  │        民家
  └───────┐  ○ → 成幸
※┌───────┐│ 
  │        民家        ││  ◇ → うるか
○│                    ││
  └───────┤│  ☆ → 文乃
                       ☆
                       ◇
てな感じになってるから、あたしたちが※のとこ通った時、細い路地のド真ん中とかに居たら絶対気付かれてたよね!?)
「うるかちゃんは……ランニング帰り…………? や、やっぱ、鍛えてると……違うね……)
(あれこれ見られてないパターン!? そ、そういえばさっき文乃っち後ろ歩きで路地から出てきた! たぶん一回入って
はみたけど、何だか狭くて行き止まりっぽく見えたから……引き返したんだ! だったら※であたしが成幸といっしょに居
るとこ、見られてないよねっ!? だだ、大丈夫だよね!? 本当は見ていたけど、あたしに気ぃ使ってくれて後ろ歩きで
一芝居とか、ないよね!?)

151:
18/02/26 00:10:54.74 /WOoQb80.net
 うるかは、両目をもつれにもつれた真黒な毛糸玉にした。粥のような汗がボタボタっと下顎を伝って玄関前のコンクリに
落ちていく。
「ててててかどしたん文乃っち!? メさっきからチャクチャ息あがってるけど何があったん!!?」
「え!? あ、いや、ばかな話なんだけど」
「う、うん……」
「ききっ、キレイな星をね、夜通し見に行ってたんだけど、ちょっとアクシデントがあって、あちこち走り回る羽目になって……
……で、でも、まだ大丈夫! あんな運動、バニラアイス一口分の運動にもなりゃしねえ!! だよ!」」
(アクシデント……? 何があったんだ? 時間が時間だし、まさか変質者に遭遇したとかか……?)
 角から軽く顔を出した成幸は気付く。文乃の傍に自転車があることに。
(……自転車乗ってたことあったっけ古橋)
 妙な違和感を覚えたが、(いや遠くに星見に行くなら乗るだろ自転車ぐらい)と思い直した時、彼は”それ”をやらかした。
 ガシャアアン!!
 肘が掠った唯我の自転車が、派手な音を立てて、こけた。地面で跳ねる音源を前に少年は慄然と立ち尽くす。
(もー! 成幸なにしてんの! 何してくれてんのよーーー!!)
 心の中で泣き笑いするうるかの前で「?」と文乃は角の方を無言で指差した。

152:
18/02/26 00:11:30.27 /WOoQb80.net
(やばいやばいやばい!! 今のガシャアンで文乃っちの関心が角に向いちゃった!)
(仮に今から全速力で逃げたとしても、古橋がこの角曲がってくる予定がなかったとしても!)
 音があったのだ。彼女はきっと、来るだろう。唯我とうるかの知る文乃とはそういう追求の厳しい少女だ。
(そうなったら俺は確実に見られる! 武元にこそ及ばんが運動神経いいからな古橋!! しかも自転車連れてるし!)
(そのうえ成幸はいまヘバリきってる! もともと体力ないし!)
(だから……逃げ切れない……! 絶対に見られる。というか古橋が相手なんだ。僅かでも俺の姿に見覚えを感じたら)
『あれぇ唯我君、こんな朝早く、うるかちゃんの家の傍で何やってんのかなあ』
 自転車に自転車で追いついてきた文乃が怨霊のような顔つきで詰問してくる……といった光景を、少年が想像したであろう
ことは想像に難くない。

153:
18/02/26 00:11:58.76 /WOoQb80.net
『まさかだけど、送りにきたのかなあ』

『うるかちゃんの様子がちょっとおかしかったのは、まさかそういうことなのかなあ』

『あれ? そっちは西だよ? 逃げ帰るなら方向が違うんじゃないかなこの野郎』

(絶対来る、次々来る。逃げられない。絶対逃げられない……)
 冷汗三斗どころか万斛(ばんこく)の汗をだらだら流す秀才少年。

154:
18/02/26 00:12:13.08 /WOoQb80.net
 一方、うるか。
(こ! こーなったら!!)
 あの! と文乃の細腕を掴んだ。「どしたのうるかちゃん?」。きょとりとする彼女に、「えと! ウチこない! ほら文乃っち、
汗びっしょりだし! お腹空いてるだろうし、良かったらウチでお風呂とかご飯とか……!」と捲くし立てる。
「えっ、いいの!?」
 文乃の目が輝いた。「いいよ! 是非どうぞ!」「帰るなりうるさいわねうるか、今何時だと思ってるのよ」といった武元家の
母の声を交えた賑々しい喧騒が通り過ぎたあと。
(つっかれた~~~)

155:
18/02/26 00:12:35.72 /WOoQb80.net
 唯我は角の塀に寄りかかり、へなへなと尻餅をついた。
(古橋の出現は予想外だったが、武元の機転で何とか切り抜けられたし……アイツも家の人と合流できたし……帰ろう)
 どっと出てきた疲れに彼は一瞬本気で眠りかけたが、偶然視界に入った高塀の防犯カメラに血相を変え、立ち上がる。何
が教育係解任のきっかけになるか分からない。不審な行動は控えたいのだ。

 だが運命の変転は終わらない。
 突如けたたましい声を立てたのは……スマホ。自転車でうるかを運んでいる最中ずっと胸ポケットにあったそれが、鳴っ
たのだ。
「はい。唯我ですが」。生真面目にもノータイムで出た少年の表情が、強張る。


「え……」

「水希が?」

156:
18/02/26 00:12:58.93 /WOoQb80.net
※しばらく非エロ。『次』は「脈絡はないが」でページ検索するとすぐである。
 時系列はその日のまま。朝が過ぎ、昼が終わり……。
 つまりは日曜日の夕方。武元家で。
「また病院で検査受けたいってあんた……」
 うるかの母は唖然とした。娘の男性関係が心配になった。男の影自体は数年前から知っている。鏡の前で行われた「なり
ゆきくん」を呼び捨てにする練習は何度も見ている。手作り弁当だって以前、からかった。
 恐らく「なりゆきくん」が今の彼氏なのだろうとは分かっているが
(……よね? 今日の朝きたコが本命とか、ないわよね……?)
 早朝訪れた文乃にうるかの母の不安はかきたてられている。
「あのコは、女の子……よね? ふ、服とか、顔とか、声は、そう、だし…………」
 この独白を文乃が聞けば、オイオイあなた他のどこを以って疑ってやがんですかと、虚無の微笑を差し向けるであろう。仮
令(たとえ)友人の母であっても許されぬことは確かにある。
(ともかく、付き合っているのは『なりゆきくん』の筈……)
 うるかは、先々週─日曜にとって前日たる土曜は先週だから、その前週の初夜は先々週だ─の金曜から程なくして
タンコブを見せ、CTだったかMRIだったかを受けた。
 何かにつけて大雑把で、夢中になると体力管理を忘れて倒れる、「おれはやるぜ、おれはやるぜ」の犬ぞりハスキーの
のような無頓着ぶりを誇るうるかが、いきなり精密検査を具申したのは奇妙を通りこして異常だが、しかし母、まだ納得は
していた。
 夜、家で1人にした娘が、妙に綺麗になった娘が、水泳でも作ったことのないコブを心底心配そうに見せ、検査費用の捻
出を具申したのはまあ、「最初だから勝手が分からず混乱しているうちベッドか何かで頭を打ったのだろう」と割合事実に
即した、娘の性格をも踏まえた安堵を以って解釈してはいた。
 が、二度目となると話は別だ。常識的な親であるなら「……まさか」とDV的な事柄を疑うほかない。

 母は、ソファーに腰掛けているうるかと、視線を合わすべく、腰を屈めた。議題は、検査。
「いや、どうしても必要っていうなら、お金も出すけど、あんた、なんでまた検査したいの? 年頃だから、話したくない事情
だってあるかも知れないけど、それでもね、うるか、どんなきっかけのせいで、どんな症状が出てるかぐらいは言ってくれな
いと、お医者さんも……ママも、どうしていいか分かんないのよ? あんただって調べて欲しいこと、ちゃんと調べてもらえな
いのよ? それって損じゃないの? せっかく水泳とか受験の時間削って検査するのに、何も分からなくて、ぶり返すかもって
不安だけ残るって……あんた的には、どうなの? それで一番大切な人と、本当に楽しく過ごせるの?」
 優しく呼びかける。娘を親等の下流ではなく、平等な1人の人間として遇する口調である。心から誠実に諭している。最後
などはDVをやられている場合「男を売りやすく」できる効能もある。「一番大切な人は喜んでくれるの?」なら売ることつまり
破滅させることは愛ゆえ躊躇してしまうが、「楽しく過ごせるの?」であればDVの境涯への悲しさが刺激され、売りやすく、
なる。DVでなかったとしても(というか実際こっちだが)、相手に心配をかけまいとするうるかの心情を動かせる。
 恐ろしく両得な末文、わたしじゃなきゃ見逃しちゃうね。さりげないが、うるかの母、世馴れた巧者であろう。
「それに……何か1つちょっと話してくれるだけで、除ける原因だってあるんだから……」

157:
18/02/26 00:13:25.24 /WOoQb80.net
 うるかの母、場合によっては「なりゆきくん」に対する法的措置も考えてはいるらしい。が、娘が選んだ以上、そういう最悪
な介入はせずに済む男だろうとどこかで信じたがっている─単に不運な事故が二周連続で続いたのだろうと─信じた
がっている雰囲気もあり、つまりはいいお母さんだった。
 思春期の娘への対話ぶり、文乃が見れば憧憬どころか感泣さえ催す─…
 というのがうるかの頭を過ぎったのか、どうか。ただ隠し事に対する罪悪感は芽生えたらしい。
 褐色少女は真実にだいぶ近いことをテンパりつつも、語った。
「そのっ、すすすっ、水泳とかで!? めっちゃハイに、あ、いや、ハイにってのは、勝った時のですけど!? 嬉しすぎてテ
ンションが突き抜けて、わーってなって、訳わかんなくて、コーフンが、いや、コーフンっていっても、イチローが打ったときみた
いな、そっちの、そっちのコーフンだかんね?! そっちのコーフンが凄いことになった後に、くちびる……とかが、感覚なく
なることって…………普通かなあ!? ふふふ、普通じゃないと困るっていうか、怖いっていうか……!!」
 真赤な顔つきで、ぎょろぎょろぎょろ、ぎょろぎょろぎょろぎょろと視線を右に左にやる娘に。
(あー)
 母は全てを理解した。僅かな沈黙が母娘の間を占めた。やたらやかましいバイクが武元家の傍を通り過ぎた。
(コーフンってあんた。今言ったような症状、インターハイの後でさえ言わなかったわよね。アレ結構な勝負どころよね……?)
 なのに、うるかが「ど、どこに泊まるって!? そそそ、そりゃ、えと、かかか、川っちの家ですし!? 海っちもいますし!?
い、行き先は行ったかんね! で、電話とか絶対しないでよ絶対、あたしもう高校生なんだから!!」と不審丸出しで外泊し
て帰ってきた直後に「コーフン」どうこう言われては……誰だって何にハイになったか分かろう。
「うるか。安心しなさい。大丈夫、大丈夫だから」
 リビングで脳の病気の症例を集めた本─むろん小美浪先輩から借りた本だ─を恐々と読んでいる娘に母は告げた。
「だ、大丈夫って何が?」
 いろいろ不安げな少女に、投げる一言は、これ以上なく、完璧なまでに、生存を、確約する、力強い物だった。

「右だったら─…」

「ママも、そうだから」

 うるかは一瞬かぎりない喜色を浮かべかけたが、ここでそうなんだと応対することが「セックスで本日未明ごろ、はじめて
の絶頂しました」と声高に叫ぶのと同義であると気付けぬほど愚かではない。
(てか、え、遺伝? どんな体質!? そのうえママのそういう話とか……ううう。分かるけどさ、あたし安心させるために恥ず
かしい秘密教えてくれたってのは分かるけど、こっちまで恥ずかしいよぅ)
 あたしが出来たときのママも唇の感覚なくしてたん……? などと両目を不等号にして紅くなるうるか。母も気恥ずかしい
らしく、年甲斐もなくちょっと頬を染めている。
「マ、ママだって生理きたのは…………成人式の後……だし……」
(そこも遺伝!!? どんな家系なのよウチ!)


「遺伝かー。よかったーーー」
 月曜お昼休み。屋上で唇の真実を聞かされた唯我は、口からエクトプラズムが出るほどに脱力した。
「だ! 誰からの遺伝かは聞かないでよ! ママまで恥ずかしい思いしちゃうんだから!!」
 うるかは素晴らしいまでのアホッ娘ぶりであった。
 2人はベンチに並んで腰掛けている。空は青く、周りには人がおらず、会話には格好の日といえる。

158:
18/02/26 00:13:53.34 /WOoQb80.net
「てか成幸……、やつれちゃってるね、ゴメン……」
「うん。頼むから二度とああいうノリはやめてねうるかさん……」
 騎乗位だけで12回は絞られたせいで、少年はゲッソリ、している。お蔭で朝から友人たちに驚かれた。
「緒方にも古橋にも軽い食あたりってことにしてあるから、口裏合わせてくれよ」
 今みたいにポロっとやられると、お互い死ぬからなマジで……やつれのせいでやや荒んで見える唯我の念押しに、
「え? あたしいま、なんかポロっと言っちゃった?」
 うるかは母が泣きそうなことを呟いた。
「……まあ、俺が言い出したのが原因だが、にしても、こんなカタチで体調管理ミスるとか俺は自分が情けない……」
 受験の基本だぞ体調は……と青白い人魂を2つも3つも侍らせて俯く少年に、うるか、慌てる。
「あ! あたしが悪いんだし、そそっ、それにほら! 文乃っちだって朝、なんか、くしゃみして、鼻ぐずぐず言わせてたじゃん!
マジメな文乃っちでも体調崩すことあるし、だから成幸は悪くないから!」
「古橋な。前も体調崩したのに夜通し自転車で走るとか……。俺も人のこと言えないけど、自転車はなあ……」
「自転車といえば妹ちゃんの体調、…………どう?」
「大丈夫だよ。交番に保護された時よかだいぶ良くなった。さっき母さん電話してきたけど、昼メシは自力で食えたらしい」
 なんかもう複雑だ、怒りてえことあんのに、怒れねえっていうか……。唯我の困惑の色は深い。
「まさか土曜の晩、連れてかれた親類の家でロードバイクをパクって帰ろうとすんなんてな……」
「それが原因なんだよね。寝込んじゃったの」
 どこをどうたどってきたのか。だいぶカッ飛ばしたらしい。
「クルマでも1時間かかる距離をだぞ……?」
 だが最高速なら唯我家まであと5分ぐらいの河川敷で走行中、精魂尽きて気絶し、最高速の自転車から転落! 
 そのまま気絶した……『らしい』。
 らしいというのは、状況から導き出される推測である。河川敷に転がっている水希を見た者はいない。彼女が別の場所で
保護されたあと、河川敷でロードバイクが見つかったから、そこで気絶し、『運ばれた』のではないかと推測されている。
 運ばれた? 水希はいったい、どこへ?
「誰か、親切な人が、水希を交番に運んでくれたらしい。午前3時半ぐらいなのに、わざわざな」
「よく妹ちゃんそんな時間に見つけてもらえたね……。てか運んでくれた人は新聞配達の人とか?」
「わからん。名も告げずに立ち去ったからな。ただ電話してくれたおまわりさんの話じゃスーツ姿の綺麗な女の人だったとか」
「桐須先生みたいな感じかなぁ? てか本人だったりして」
「違うと思うがなあ」
「なんで?」
「水希の財布は無くなっていなかった。パスケースに俺の写真が入ってる財布がな。当然、保険証も」
「あ。先生なら身元調べるから気付くよね。成幸の家族って。だったら学校の名簿でスマホとかの電話番号調べて」
「俺に来るよう言っただろ。とっつき辛く見えるけど生徒思いな人だから、知らせてくれた筈なんだ」
 でもそうだったら俺たちがマズいんだ。「なんで?」と首を傾げかけたうるかだが、俄かに青くなる。
「い! 妹ちゃんが交番に運ばれたのが午前3時半ってことは」
「そう。桐須先生だったら俺に電話する。だが俺はスマホの電源切ってた。固定電話の方は……その、俺もお前も、気付け
ないほど熱中してた訳で」
「でも妹ちゃんが河川敷に倒れてるのは異常事態だから、電話で連絡つかなかったら……」
 桐須先生が自ら唯我家を訪れる。
「いやいやいや! 声とか聞かれてたならとっくに呼び出しを……ていうかあの場で止めてたでしょ先生なら絶対!! び、
びっくりして腰抜かして、何もいえないままアワアワ帰る桐須先生じゃないっしょ!?」
「…………。お前の知る先生なら、まあ、そう、だわな。ウン」
 成幸は何も反論しない。ただ口をV字にして、戯画的に笑った。そのつぶやきは、かなり高額な集音マイクをベンチの下あ
たりに仕込まぬ限り絶対聞き取れぬ小声だったから、うるかの鼓膜は揺すられない。
「?」
 あんぐりと口を開けたまま首を傾げる褐色少女。

159:
18/02/26 00:14:30.33 /WOoQb80.net
「たぶん水希を運んだのは桐須先生じゃないだろうけど」
 唯我は、人差し指を立てる。
「いずれにせよ、先生には、だ。今の俺たち、なるべく見られん方がいいぞ……」
「へ? なんで? 屋上でただ話してるだけじゃん。……す、凄いことは、今のとこ、まだ…………だし」
「まだって何だよ。学校でしようとか言い出すなよ絶対。家で……ですら今みたいに痕跡残ってんだから」
 少年は厳しい顔つきをしようとするが、どうしても頬は紅潮してしまう。学校は浪漫シチュなのであろう。
「お前気付いてないかも知れないが、肌めっちゃツヤツヤしてるぞ。んな状態で、妙にやつれた俺と仲良くしてると、昨日
あたりなんかあったんじゃねえかって……勘繰られるかも知れんぞ」
「…………」
 ぽやーと大口開けて笑っているようにしか見えぬうるかは、
「なんであたしがツヤツヤしてると、勘繰られるの?」
 などと心底不思議そうに、なおも大口ひらきっぱなしで聞き返した。
「からきしか。実技は凄いが知識面はからきしか。いいか、あのだな─…」
 かつっ。硬い音は屋上の、昇降口の方からした。何気なく見たうるかと唯我は……固まった。
 ベンチからおよそ30m。昇降口のアルミサッシの戸を開け屋上に降り立ったのは……黒いスーツに桃色のロングヘアー
を垂らす凛然たる人影である。
(ききっ、桐須先生! あれ桐須先生だよね!? 普段この時間ぜったい屋上来ないのに何で今日に限って!?)
 まさか既にあたしたち廊下歩く姿とかからバレてる!? ぎゃーっと狂乱するうるか。唯我は慌しくも、宥める。
(おお落ち着け武元! 俺ら聴取すんなら放送で呼び出すって! 単に気分転換でココ来たとかであってくれ頼むから!!)
 きょろきょろと周囲を見回していた桐須先生は、ふと唯我とうるかに気付いて……。
 近づいて、きた。
(来たし!? そんで無表情なのに速度だけは速いし!!)
(あああ、泊まるよう言ったのは俺だから、武元はむしろ連れ込まれた側で……!)
 カツカツカツと粛然とした歩みであっという間に距離を詰めた先生は、正午の逆光の加減か、鼻梁から上を黒々と
彩っている。そのせいか彼女の眼差しはいつもより厳然としたものとして唯我とうるかに受け止められた。
 いよいよ終わる、死ぬと震える2人に……「質問。あなたたち」。冷たい声音が、浴びせられた。
「古橋さんにそれとなく注意してもらえないかしら」
「……はい? な、何をですか?」
「あの子らしき子が夜歩きしているって話が学校に来ているの。どうせ星でも見ているんでしょうけど、せめて誰か大人を
同伴したらどうって、忠告して欲しいの」
 何か事件があってからでは遅いから……冷然とした中にもかすかな心配を滲ませる先生に「う、うんまあそれは昨日から
あたしも気になってましたし、伝えます」とうるかは頷いた。
「助かるわ。本当は私が直接ここで……と思ったんだけど、居ないわね古橋さん。ここへの階段を昇っていくのを見た生徒
が居たから、もしかして……と思っただけよ」
 珍しく人気がまばらな屋上を見回した先生は嘆息した。
「必然。目撃されたのは四限目のチャイムが終わってすぐの頃。立ち去れるわね、時間的……にっ!?」
 何気なく唯我を見た先生が珍しくギョっとした。
「じゅ、重病!? どうしたの唯我君大丈夫なの辛かったら今すぐ車で病院連れていくけど大丈夫なのかしら!?」
「だ、大丈夫……です。か、軽い食あたりでゲッソリしてるだけで……。そんで車だけは勘弁してくださいお願いします……」
 凛然がウソのような幼い顔つきでタテ線浮かべ唯我をガックンガックンする先生を、うるかは「あわわ……」と見る他なかった。
「ハッ!」
 人魚姫の視線を感じた先生は、しばらく気まずそうにしていたが、腰まである髪を無意味にふぁさりと梳り、
「それはともかく古橋さん、早いうちに注意しておかないと……。どこへ行ったのかしら」
 実にクールな佇まいで踵を返しかける。
 が。
 微妙な気配を察したのだろう。旋転を途中でやめ、代わりに2人を─2人きりで並んで腰掛けている男女を、尋常なくや
つれている唯我と、その代わりとばかり異様なまでにツヤツヤしているうるかを─交互に見比べる桐須先生の目つきは、
徐々にだが確実に研がれていく。

160:
18/02/26 00:15:31.19 /WOoQb80.net
「疑念。まさかあなたたち……」
(や! やばい! 感づかれた!? そりゃそうだよね桐須先生オトナだもん! 恋愛経験めっちゃ豊富そうだから、
あたしと成幸の、イッセンを超えた男女だけが持つというナンラカの気配を……感じちゃったんじゃ……!)
 ずいっ、と2人の間に形のいい鼻先を押し込むよう腰を曲げた女教師の肩から髪の太い一房が、はらりと落ちた。
 凝視。唯我とうるかを鋭く見続けていた瞳に……とうとう。
 確信の光が、宿る。
「夜中」
 少年少女がギクっとする心当たりを先陣に、言葉は深く斬り込んだ。
「あなたたちも夜中出歩いているんじゃないでしょうね?」
 全く違うが、ここで『わざとらしく答えないと』、奥に潜む真実に気付かれそうなので、真実を以って、しかし過剰に、いかに
も図星をつかれ慌てふためいているという態で、答える。
「あ! あたし、こー見えても怖い犯罪めっちゃ怖がってますから! 夜更けに出かけるとか、怖くてできませんから……!」
「おおお俺だって外出なぞしてませんよ!? 現に先週末だって、夜明けまでは家、一歩も出てないし……!」
 過剰な否定に、桐須先生は「コンビニぐらいは言っていそうねその分じゃ」と勘違いし、呆れ混じりにお説教を始めた。
要約すると「買い食いぐらいは別にいいけど、日が昇りきってからにしなさい。手も洗うこと。また食あたりしたら……」云々。
「それに、土曜日から不審者が出没しているらしいのよ」
 スズメが数話、屋上の端に飛び降りた。パン屑か何かあるのだろう。ちゅんちゅか鳴きながらついばみ始めた。
「不審者……?」
「ええ。不審者よ。私が古橋さんの夜歩きに口を挟もうとしているのもそのせい。いかにも怪しい格好をした人物が最近この
あたりをうろついているらしいから、遭遇する前に釘を刺しておきたくて」
 唯我の顔が、曇った。
(待て。不審者つったら、そーいや土曜の昼、昏倒してた水希が寝言で
『全身真黒なラバースーツにやられた』
とか言ってなかったか……?)
 母が一服盛ったが故のヘンな夢だとばかり思っていた唯我である。『だからこそ聞く』。妹が昏倒した真相を知るために。
「どんな不審者ですか?」
 スズメたちは成幸たちとは反対側の端にいる。人気がないため、どこまでも呑気に床を叩いている。
「灰色。それ一色の服装に、同じ色の覆面を被った中肉中背の……男、らしいわ。目撃者はみんなそう言ってるわ」
 ばさばさばさばさ。何に驚いたのか、スズメたちが慌しく飛び去った。
「……?」
 うるかは不思議そうな顔でそっちを見た。(……? なんか、ヘンな冷気っていうか、おばけ屋敷みたいな不穏な寒気が
漂ってくるような……。なんで?)。気にはなったが、腕をさすりさすり見渡したそこには何も無いのが逆に怖い。追及は、
やめた。
(灰色、か。全身黒一色じゃないんだ。じゃあ水希の寝言はやっぱりただの夢……?)

161:
18/02/26 00:15:57.31 /WOoQb80.net
「最初の目撃証言は土曜日のお昼だったわね。ちょうど私の家の近くで、裏路地を走り去っていく灰ずくめの不審者が目撃
されたわ」
(先生んとこの近所なら俺ん家の近所でもあるよな。でもなあ、色は、違うし……。水希のヘンなユメとの偶然の一致? そ
れとも直前に見ちまったから、ユメに出てきた……とか?)
「動画サイト用の撮影とかじゃないんですか? こんな時代だし」
「だとしても狭い道を全力疾走するのは感心しないわね。日曜の……午前3時を少し過ぎたあたりだったかしら、2人で商店
街をウロウロしていたそうよ」
「別に悪さはしてないんですよね?」
「でも夜明け前の暗い道を、灰色の格好で徘徊するのは危険だわ。車と、大きな事故を起こしたら一時の感情で将来を
棒に振ることになる。古橋さんだって、タイミングが悪ければぶつかっていたかも知れないわよ。武元さんなら分かるわよ
ね。ケガは才能を潰すって。ケガというのは、させられても、させても、競技者としての生命は断たれるから。古橋さんが
手を使えなくなったら、書けなく、なったら……きっと一生後悔するだろうから」
 何が目当てかよく分からない灰ずくめの不審者が居る時の、夜のサイクリングは認められないと先生は断言した。
 うるかは、ポカンとしていたが、言った。
「先生、実はむちゃくちゃ優しいですよね?」

162:
18/02/26 00:16:18.88 /WOoQb80.net
「優し……う、うるさいわね。教師としての最低限をこなしているだけよ」
 頬を赤らめムッとした桐須先生は、
「とにかく古橋さんに伝えておいて」
 今度こそ踵をくるりと返す。
「夜中出歩くなら自転車はやめるように。そしてなるべく誰か大人を同伴しなさい……って」
 足音が遠ざかるのを「ハーイ」と仲良く戯画的な笑顔で見送っていた唯我とうるかは、先生の気配が完全に消えたのを
確認すると、
「ああビックリした! 寿命縮んだ寿命縮んだマジで!」
 胸押さえ半眼白目でギャーギャー喚いたり、
「怖かったよう。絶妙なタイミングで先生来たから怖かったよう!」
 糸線と化した瞳からぽろぽろと涙を零す。

163:
18/02/26 00:16:56.43 /WOoQb80.net
 何とか、誤魔化せたらしい。
「しかし……古橋といい水希といい、夜中出歩きすぎだろ…………」
「逢ってたら面白いよねー。あ、でも文乃っち、妹ちゃんと何度も逢ってんだよね。じゃあ目撃してたらすぐ言うか」

「つーか。まさかだが、水希が河川敷で転んで? 気ぃ失ったのって灰づくめ避けようとしたせいじゃないだろうな……」
 ……。
 …………。
 ………………。

164:
18/02/26 00:17:39.64 /WOoQb80.net
 同刻。唯我家。
「だから! どうして信じてくれないの!!」
「っていわれてもねー」
 ねー。葉月の呟きに和樹は相槌を打った。目の前には怒り眉毛で涙を溜める水希が居た。
「本当だって! 私ウソついてないもん! 昨日の朝3時ごろ! 私、一度、一度……
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
ウチ帰ってきてたのよ!」

 はあ。幼い双子は「ユメじゃないのかなあ」という顔をした。言うまでもないが、昨日の朝3時ごろとは成幸とうるかが行為
の疲労で眠りこけていた頃である。
「でも玄関がちょっと開いてたって水希ねーちゃん言ったよね。それって……ヘンじゃない?」
「にーちゃんが、カギかけ忘れるわけないよねー」

165:
18/02/26 00:18:28.88 /WOoQb80.net
 うるかが来た時、唯我は。玄関先で濃厚なキスはせず。
─「しばらく俺の部屋で勉強な」
 玄関の扉をかちゃりと施錠した程度に収まった。

「でも開いてたもん! 鍵だけじゃなくて、戸が、だよ!? きっと、誰か、押しかけてきた女が、開きっ放しに……!」
「だったら、クツが玄関にあるよね」
「よねー。ドラマとかじゃだいたいそれでバレるもんねー」
 訪れたうるかは。
─「よいしょ」
 靴のつま先を玄関めがけ揃えそして置いている。前半が勉強会だったが故の、致命的な油断だった。
「あったの? みなれないクツ」
 水希はその問いに、憤怒を灯した。
    ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「な、なかったけど」
 憤怒には落胆が寄り添っていた。決定的な証拠を探してみたのに見つけられなかったという落胆が。
「で! でも! 押しかけてきてた女が証拠隠滅した可能性だって!」
「だったらカギかけわすれるのヘンじゃない?」
「だよねー。クツにまで頭がまわる人だったら、カギだって閉めるよ。あけっぱなしだとふみこまれるし」
「そもそも閉めるってことは、にーちゃんがかけた鍵を一度あけたってことだよ? そーする理由ってなぁに?」
「お、女が外出したから、とか……」
「お泊りにきたのに、兄ちゃんを置いて? ヘンじゃないそれ? 一緒におでかけしたら兄ちゃんの方がカギかけるし……」
 何より双子が訝しむのは、水希が、兄の、様子については一切言及してない点である。
「なんでにーちゃんの部屋のことは言わないの? カギとかクツとかより……」
「ねー。重要なのは、にーちゃんの彼女がいたかどうかだよねー。どうして行って、見てないの?」
「だって! 行こうとして廊下歩き出したら、背後で物音がして! で、なんか脳に凄い情報が流れ込んできて……!!!
気付いたら交番で!」
「……そこでユメがさめただけじゃないの?」
「クルマでも1時間かかる親戚のおうちからウチまでロードバイクで一晩中全力疾走してきたんだよ? 河川敷で力つきて、
きぜつして、そのとき見てたユメが、果たしたかったユメ、おうちに帰るユメだったんじゃないのかなあ?」
「だから! そもそも河川敷でロードバイクが発見されたのがおかしいの! 私ちゃんとウチの庭に止めてたよ!? 玄関先
じゃ盗まれるかも知れないから、庭に、塀で外からは見えない、庭に! そうだタイヤとかスタンドの跡! それを見てもらえ
ば─…」
 半信半疑でとことこ部屋を出ていった和樹だが、すぐ戻ってきて「なかったよそれっぽいの」と告げた。
「やっぱりユメなんじゃ……」
「き、きっと、消されたのよ! 私を土曜のお昼気絶させた真黒なラバースーツに……! 河川敷にロードバイク置いたの
もそいつ! 私までそこに放置してたかも……! とにかく、あいつは! 口調変えて説明するけど、あいつ、土曜の、昼!」

166:
18/02/26 00:18:59.88 /WOoQb80.net
(眠い。ここのところお兄ちゃんのことが気になって全然眠れてない……)
 などと庭で掃き掃除をしていた水希が
(でもそろそろお迎えの車が来る時間! さりげなくよ、さりげなく今から家を─…)
 ふと気配を感じ振り返ると。
 漆黒のラバースーツを顔まで着込んだ正体不明の人物が颶風を纏いながら迫ってきているではないか! 
 あっと目を見開く水希であったがそれも一瞬、竹ボウキをくるると旋転させるや柄の頭で閃電のような突きを繰り出す。が、
果たせるかなラバースーツの反応の方がわずかに早い。首を左に逸らしつつ更に踏み込む。突きでラバーがピっと破け、裂
け目から溢れた髪もまた虚無の色合い共々ホウキの柄に噛み破られたがしかし敵への打撃はその程度。
(……できる!)
 水希が呻くのもむべなるかな、敵、突きを前に怯むどころか踏み込む胆力の凄まじさよ。敵の加速は止まらない。砲丸の
ような質量が水希のみぞおちへ接地した瞬間、感触は衝撃となって肺腑を縮めた。とてもよく体重が乗った突きだった。
 静謐に、しかし勁(つよ)く。
 鉄道の枕木のように横置きされた足の甲の裏地で以って夥しい量の砂礫を削り飛ばしながら敢行されたラバースーツ最
後の踏み込みは、ほとんど肩をぶつけるよう雪崩れ込んできただけあって最高の打撃をもたらしている。
 だが追撃は終わらない。
 ラバースーツがウムと腰を沈め抜重しつつやや斜め上へと繰り出した拳打。ミゾオチを抉り抜いた衝撃は非常にグレイ
トフルな角度有する物理エネルギーの細い柱へ収束し……背筋をも、貫通! ああ、天空めがけ放逸するバベルの破壊
力! 減衰の過渡においてなお何皿もの輻射が散るほどに、激しい!
(助けを呼ぼうにもみぞおちへの衝撃のせいで声が出ない……! いったい誰がこんなことを……!)
 薄れゆく意識の中で水希は手を伸ばす。襲撃者。ラバースーツをびっちり纏う彼ないし彼女は一体なにものなのか。
 この時点で水希を消して一番得するのは誰か? 
『普通に考えれば』、土曜の夜、水希が唯我家に残っていては困る人物……言い換えれば唯我と2人きりになりたい人物。
(そして……この私を一撃で気絶させられる…………フィジカルの……持ち主……は…………!)
 水希の意識は、途切れゆく。 気絶は瞬く間に睡眠となった。か弱い両膝がガクリとおち、、やがて細い肢体は完全に倒れ付した。
「……ってメにあったの!!」
 身振り手振りを交え、時には声音さえ迫真に彩りながら一生懸命説明する水希に。
「それ……ほんとに水希姉ちゃんのみききした光景? なんか、本みたい……」
 と葉月は訝しんだ。幼くても、人の言葉に現実感があるか否かぐらい、分かるのだ。
「つよめに、いっとく?」と紐にくくりつけた五十円玉を持ち出す和樹。
「だからユメの話じゃないってば! せせっ、せめてお兄ちゃん、お兄ちゃんにこの話を……!!」
 願いは、却下された。3分後、水希は「私は、家に帰ってなかったんだー、ユメ、だったんだー」とポワポワしていた。

167:
18/02/26 00:19:24.10 /WOoQb80.net
 脈絡はないが。
 騎乗位十二連の消耗の回復期は、国体の時期と被さったため……2人の行為は2週間、開いた。
 うるかの最終調整のため控えたという訳である。
「肩紐ちぎれそうなほどサイズちっちゃっくなって、練習で使えなくなった……奴、だけど」
 土曜の夜、自室で武元うるかは水着を着用していた。毎度おなじみ競泳用の白である。
(くるべきときが、きた……!)
 唯我はグっと拳を握りながら……泣いた。泣くであろう。うるかといえば水着なのだ。一度はその格好で……とは唯我
の、あの頃のように光放つ少年のハートが思ってはいたが、他方、(いやいやそんな欲情はだめだろ、武元の水泳への
想いを冒涜しちまうんだぞ無理強いしたら)とこの少年らしい良心で自制していた。
 が、なんと、うるかの方から、「こ、今度は水着とか……どう……?」というお誘いが、来た。この時の唯我の「いやいや
お前にとって水泳ってのはとても大事なものであってだな」と露骨に目を泳がせつつも、めっっっちゃ嬉しそうで満更でも
なさそうな顔つきは、永久保存級の滑稽(かわいらしさ)さであった。
 とにかく、水着が、遂に、来た。
「そんなジロジロ見ないでよ……」
 右手で左の二の腕を掴みながら少女は目線を下にやる。目元は酒精を召したように、赤い。
 サイズが合わなくなったというだけあって、体のラインは今使っている物に比べ心なしか強調されているようだった。特に
胸などは締め付けのせいか実態以上にこんもりと盛り上がっている。脇腹から腰にいたるラインも生地がぴっちりとめり
込んでいるせいで細く見え、股布の食い込み具合もやや際どい。うるかが先ほどからお尻のあたりをくいくいと触っている
のは臀部への不必要な締め上げと肉の隆起が恥ずかしいからであろう。
(素晴らしいなあ)
 制服姿では慎ましく見える胸の強調っぷりにすっかり相好を崩している唯我だから、視線は外せない。
「だからそのカオやめてってばー! なんかやだ! ハダカとっくに何度も見られてるけど、水着越しだとなんかやだ!」
 泣きそうな顔で双眸を不等号にするうるか。両手はもう反射的に胸を覆っている。
「なんかもう、ずっと見てたい。見てるだけで満足できるかも知れん俺」
「ああっ、あたしの方がもたないから! 絶対途中でたまらなくなって一人えっちとかしちゃうから……!」
 寧ろそれでいいという顔をする唯我に「マズい」と思ったのだろう。
「だから……触ってってば……!」
 褐色の細い手が少年の手を掴み、胸へと導いた。
 余談であるがここに到達するまで6時間弱の勉強があった。しかし移行期間のゴタゴタ含め割愛していいだろう。
(む、胸……! 初めての夜、制服越しに触ったことはあるけど……、水着だと、感触が、感触が……!)
 特有の生地であり、下はノーブラであるから、伸縮と弾力はケタ違いである。魅惑された唯我はキスもそこそこに早速
両手を動員する。サイズが合わないため胸はとっくにパンパンである。張り詰めたそれをさする様にこね回す。
「っっ……!」
 微細な愛撫にぴくぴくと反応し始めるうるか。唯我も昂然の気を鼻で吹く。開始からこっち両名は立ったままである。まず
は水着の立ち姿を堪能したい/させたいという思惑で、正面向き合って立っている。
「ふぁっ、あ……」
 しどけた官能の炎が人魚姫の中で一条の煙を上げ始める。慎ましい木苺の突っ張りが純白の水着に浮かび上がった。
人差し指を光速で振り、2つの隆起をピンピンと弾く唯我。「それ、もどかしい、から……っ」。瞼をやや切なげに吊り上げなが
ら褐色の太ももをよじあわせるうるか。
「いい……か?」

168:
18/02/26 00:19:49.46 /WOoQb80.net
 鼠渓部にほんの少しだけ指先を当てる少年。「……うん、来て」。悩ましさがよく溶かれたあやめ色の瞳を下に向けた人魚姫
は、「じっ」と低く湿った音を奏で埋没してくる指に眉根を寄せる。
 股布を横にずらしながらの前戯ほど性的なロマンはない。今うるかは、水泳であれば絶対に露出しない生々しいピンクの
具を剥き出しにしている。僅かな日焼け跡の傍で、しとしとと愛液を滲ませつつある内膜の蛍光灯を照り返す様に、(えっろ…
…)と軒昂する少年は、少女の唇を強めに奪う。「んん」。舌を絡ませぬキスは前戯においてむしろ有効。
(す、すーすーする。大事なとこ……すーすーする……)
 秘部に流れ込んでくる部屋の夜気は却って体温を上げていく。
(あたし……水着で…………大事なとこ、出しちゃってるんだ。成幸にくちゅくちゅイジめられちゃってるんだ……)
 息が上がり始める。指の出し入れは激しさを増す。「ーーっ!」。腰が砕けたうるかは唯我の首ねっこに両手を回し、し
がみつく。

「いつもより指、きゅうきゅう締め付けてきてるぞ武元。気持ちいいのか?」
「だって、水着、これで練習してたころは……成幸とこうなるなんて…………むかし着てたころは、この水着で……こんなこ
と……して貰えるなんて……全然…………思ってなくて…………だから……興奮……して……」
 回答に頃合を見たのだろう。男性にしては珍しい冷え性な手が肩紐にかかった。
「ま、待って! もうちょっとだけ……!」
 力が左右に弾けた。肩紐が鎖骨の下で肌蹴(はだけ)るや……生白い果実がぷるんっと揺れた。
「~~~~~~~っ!!」
 赤熱の極みのうるかは水着を掻き抱かんとするが─…
「うるか。もっと気持ちよく……してやるからな」
 真剣な面持ちで見下ろしてくる少年の顔に、あらゆる防衛本能が溶かされた。

169:
18/02/26 00:20:10.37 /WOoQb80.net
「あっ……。んっんっ、ん……!」
 ベッドの上で縺れる男女が居た。覆いかぶさっているのは乱れた水着を纏う褐色の少女である。彼女の眼前には隆々たる
肉棒が壁立している。それをしゃぶったり、横合いから舐めているうるかの、くぼみの陰影も艶かしげななよなか背筋を辿って
いくと足の分岐に整った少年の面立ちがある。
 シックスナイン。試みるのは本日が初めてだ。熱にうかされた瞑目で、首を上下しあむあむと懸命にご奉仕するうるか。彼女
のよく発育した健康的な太ももに皺がよるほど強く握りこんで両側に広げている唯我は、歪な逸れ方をしている股布のすぐ傍
に、ちゅぱ、ちゅぱっと唇を当てていく。肩紐を剥かれたせいですっかり露な乳房が密やかに揺れる。
「んあっ……」
 刺激に感じたらしくご奉仕が、やむ。きゅぽっと肉棒から口を外して悶えた人魚姫は、「だめ、そこされたら……成幸の……
気持ちよく、できないっ、から……!」と抗議するが、可憐な反応に満足した唯我は攻めを続ける。
「やっ……。舌っ、舌で、深いところ、ほじほじするの……気持ちいいっけど……、恥ずかしい、恥ずかしい、からあ」
 高く突き抜けないが緩やかに続く絶頂に息も絶え絶えな少女は、せめて同じ快楽を与えれば苛みも緩むのではないかと微かな
希望を瞳に宿し、眼前の、生々しい肉色の生殖器をお口いっぱいに頬ぼった。
「んぶっ、んぅ゛! んんんんんっ、ぅぶぅ!」
 淫裂に舌の力が加わるたび唾液混じりのくぐもった苦鳴を上げるうるかだが、健気にも口唇愛撫を継続する。声を耐えようと
肉棒に吸い付くたび唯我は腰が砕けそうな極上の快楽を味わうが、皮肉にもそういった献身こそが彼をますます昂ぶらせ、
……より過激な責め苦を考えさせる。
「ふぇ……?」
 唾液塗れの肉棒が口から引き抜かれていくのをうるかは呆然と見送った。秘部への愛撫と肉槍からの淫臭で陶然としていた
脳髄が状況判断を遅らせた。
 簡単に言うと、唯我は、座り直した。(その体勢で……あたし座らせて…………挿れるの、かなあ……)。従順なうるかが身を
起こしたとき、劇的な変動が勃発した。
「……え!?」
 浮いた。褐色の太ももが。のみならず腰すらも浮き上がり、うるかの頭のある方へ向かって押され始めた。彼女は唯我に臀部
を向ける格好だったから、足腰の奇妙な強制移動は逆立ちの軌道と一致する。違うのは足を伸ばさずM字開脚のままうるかを
逆子にせんとしている点。
(な、なにするつもりなん……!?)
 動揺するうるかだがやはりフィジカルの天才、上半身はとっくにバランスを崩さぬ体勢になっている。肩甲骨のあたりをシーツ
につけて支えとし、猫よりも湾曲させた背骨たちで今は上の下半身を保定。両手はあくまでも補助的な支えであり、それが証拠
に”肘”立ちだ。
 そして唯我は普通に座っている。つまり……
(あ! あたし! だ、大事なとこを、思いっきり成幸の傍に……あげてるじゃん!? だめこの格好、凄いえっちだよぅ)
 人間の通念は、生殖器が頭部より高い標高に行くことを好まない。これは消化器系の「上から下」という絶対原則に沿った
本能的な羞恥であり、足や心臓の慣例さえ包括している為、よほど特殊な調教をしない限りまず拭えない。
「ななな、なりゆき、降ろしてよ! あたしシンクロの選手じゃないからそのうち頭に血が上ってくるし、何よりすっごい!!
恥ずかしいんですけど!?」
「駄目」
 当たり前のように唯我はうるかの股座上空へ身を乗り出し、定められていたように股布を更にズラした。
「ひやっ」
 サイズが小さいせいで圧迫されていた左の尻たぶの、ほとんど片側全てまろび出た感触は、凛冽とした、熱を氷散させる
ような夜気との接触をも孕んでおり、それがためうるかは舌ッ足らずな声を立てた。
 股布は、更に動いた。うるかの左腰から彼女の正中線めがけ、バスルームのアコーディオンカーテンを畳むような要領で
ぐぐっと布地を細く纏められ寄せられた。露になる秘部。だが唯我の目的では、ない。
 アナル。水着のお尻で露出したピンクの色のすぼまりに、やや血走った視線が吸い付き─…
 彼は勢いよく、唇を、当てた。
「だ、だめっ!」
 短く叫んだうるかは、咄嗟に少年を制す。逆さM字のバランスが崩れるのも構わず跳ね上げた右手を唯我の側頭部やや
下方へ伸ばしたのは無論アナルへのキスをやめさせんと試みたからである。

170:
18/02/26 00:20:46.03 /WOoQb80.net
「念入りに洗ってあるから……ちゅってしたり……舐めたりしても…………いいけど、いい、けど…………でもこの格好だけ
は……ってああもうダメだこれ絶対いつものパターンじゃん! うう! どうせやめてつっても拒否るんでしょ、成幸のばかっ!」
 やや自己完結気味に立腹した少女は眼前に鎮座する象皮様の嚢(ふくろ)に吸い付いた。
「た、武元!? お前なにしてんの!!?」
「あたしに恥ずかしいカッコさせてるんだから成幸もちょっとぐらい恥ずかしい思いしてよ! お、お玉を、ころころしてやるん
だから! 手で揉んであげた時より、舌とかで気持ちよくして……お尻、お尻、いじめられなくするかんね!!」
 睾丸を皮越しに含み転がし始めるうるか。双方きわどい愛撫である。
 唯我は見るからに清潔な佇まいな菊座を、舌で、ちょんっとつついた。
「ひゃうう!!?」
 マンガであればベタフラッシュが迸ったであろう。感触に見開いた目の滸(ほとり)に水珠を浮かべたうるかは
「だめっ!! さっき舐めるのオッケーっていったけど、やっぱ今はだめ、刺激が、予想外、で!」
「陥落早いな!?」
 唯我、愛撫のため高めていた一種神聖な集中力を哀れなほど崩した。
「だってしょうがないじゃん!! す! 好きな人に、お尻だよ! お尻を舌で舐められてるんだよ!?」
 刺激感じない方がおかしいっしょと、例の不等号の目つき─いったい何となら等しいのであろう、彼女の目は─でグ
スグス涙ぐんで抗議する少女を少年は呆れたように見ていたが、だんだんと褐色の面頬に愛しさが募ったらしい。

171:
18/02/26 00:21:03.73 /WOoQb80.net
 愛撫、再開。
「……はうう! あっ、だめ、アリクイみたいな素早い出し入れダメ、お尻が、お尻が熱くなってきて、切なくなるっ、から、やめ、
てぇ」
 だがうるか、言葉とは裏腹に、チョコレート色の頬は見る見ると赤茶ける。陰嚢などはとっくに口を離れている。
(なんでもう流されそうになってんのよあたし……。お尻を……舐められてて…………すっごい恥ずかしいことされてるのに
…………逆らえない…………。あたしのお尻……を……初めて舐めてんのが……成幸だって思うと……初めて舐めてく
れてるのが……成幸だって思うと…………恥ずかしいのに……気持ちよくなってきて…………)
 腸液がこんこんと涌いてくる。
(だめ、負けちゃだめ、お玉、お玉を……ころころ……)
 病熱を押して勉強を試みるような顔つきで雀舌出しつつ”ふぐり”への接近を試み続けるうるかであるが、あと一歩という
ところに限ってアナルの内壁が強く舐められるからたまらない。「はぅぅん!」。刺激に悶え軽く突っ伏するから反撃は断念
の一方だ。
(ヤバい……。途中までは偶然だったのに……)

172:
18/02/26 00:21:46.87 /WOoQb80.net
 自分の愛撫で少女がいたいけな抵抗をやめるという構図に唯我、嗜虐心をそそられ始めた。あまりイジめては可哀想
だと思うのに、直腸粘膜いたずらのタイミングの精度は飛躍的に上がり始める。敢えて弱くし、よろよろとしたうるかがやっ
と睾丸を愛撫できると安堵したまさにその瞬間、鋭くすぼめた舌で肛門内を強く刺激するといった淫虐さえ一度であるが
試みた。
「だめ、反撃しようとしてるときに、お尻、気持ちよくするの、だめえ!」
 可憐きわまる涙混じりに抗議してくるうるかに(悪い)と思いつつも、ぞくぞくした充足感もまたどこかで覚えてしまう唯我で
ある。
「抵抗できないお前も、すっごく可愛いんだよ。だからガマンできなくなってきて、イジメるようなこと、しちまうんだよ……」
 謝りながら、股ぐらの間にわだかまる珊瑚色うっすらの黒髪を撫で付けるのは彼なりの誠意であろうが、客観的にいえば
スケコマシがよくやる「手なづけ」でしかない。
「か、可愛いっていいさえすれば、何したっていいって訳じゃ……ないんだかんね…………」
 やや忿(いか)りを孕んだ赤面を横向けてみせるうるかだが、熱の赤嶺、喜んだとき動く表情筋に沿っている。
(ばか。成幸の、ばか。イジめる癖に優しくしてくるとか、そんなの、そんなの……)

173:
18/02/26 00:22:25.82 /WOoQb80.net
 愛撫を中断されている菊座が物欲しそうにひくつく。
(ずっと感じたくなってきちゃう、フシダラなことなのに……お尻もっと……舐めて欲しくなっちゃうよぅ……)
 淫らな山顛の裂け目から、半透明の愛液がとろとろとあふれ出し、おへその横を滑り落ち乳房を濡らした。
「もっと気持ちよくしてやるからな」
 異物感。「いぐ!?」と幼い表情で切歯したうるかは知る。(ゆび、ゆびが……)入ってきた。反射的にきゅっと締まった
括約筋から伝わる形は人差し指で(お、お尻で、どこの指か分かるとかどーなん!? どんだけえっちなのよあたし!)
とうるかはうろたえ(ここ、こんなヘンな特技知られたらスケベ女めって成幸に幻滅されちゃう、隠さないと……!)と決意。
「お前……いまどこの指か分かっただろ」
 感心したような呆れたような少年の呟きがきた。一瞬ぽかんと呆けた笑いを浮かべた褐色少女、全力で否定。

174:
18/02/26 00:22:43.14 /WOoQb80.net
「いやいや分かるわけないでしょ! ひひっ人差し指とか2週間ぐらい前にちょっとだけ入れられただけじゃん!! そそっ
そんなの忘れてて当然だしぃ? あたし全ッ然気付けませんでしたけど!? 縦長だけど平べったい中指のペンだこと違っ
て人差し指のはほぼ円で盛り上がっているからすぐ人差し指だなって……そんな、そんな、気付き方した訳………………
無いでしょーーーーーーーーーーーーー!!」
「武元さん。俺どの指かは言ってないんだが……」
「あ!」
「特定してんじゃねえか…………」
「し、してないよ、本当だよ!」
「してるよな?」
「ハイ」
 赤外線の輻射さえ疑われるほど紅くなったうるかは(何ソムリエ!? 何ソムリエなのよあたしは! うわーーーーーん!!
成幸ドン引きだよ絶対ーー! もーやだー!! 帰りたいーー!!)と自宅の自室のシーツの上で入滅した心象世界にて、
頭かかえてゴロゴロのた打ち回った。
「そ、それだけ俺の指を……真剣に感じてくれてたって……こと、だよな……」
 あ、いい感じに解釈されてるやったバンザーイすきすき成幸だいすきー! と泣いたカラスもびっくりな急変(えがお)を浮
かべた少女が甘ぐさく歪む。人差し指が出入りし始めたのだ、すぼまりに。

175:
18/02/26 00:23:06.92 /WOoQb80.net
「あっ、だめ、ひんやりしたのが……カツカツしてるお尻に……気持ちいい、気持ちいいよぉ」
 女性の口の開き具合は快楽の大きさに比例する。舐肛の時はまだ細長い池のサイズだったうるかの口は今、とろりとした
”まろき”湖。両目を閉じたまま、緩みきった口から愛らしい調べを奏で唯我の指を愛(いと)おしむ。
 人魚姫(セイレーン)の旋律に魅せられた少年は更に善くしてやろうと暖かなる肛虐に移る。指を背筋側にやり、直腸粘膜を
ばぐにゃりと歪ませ作った隙間に……舌を挿れる。
「はっ、はううううう!」
 びくっと顔を上げて感じ入った少女は「す、隙間とか……だめ、ニオイ、変な匂いが……するかも、で……」と抗弁するが、
「大丈夫だって。今気付いたけどお前のここって……」
「ここって……?」
「い、いちごヨーグルトの匂いが……するだけ、だし……」
(どんな体!? まさかコレもママ遺伝!?)
 我が事ながらにギョっとするうるか。唯我は色々説明したそうな顔になったが、(いや尻がらみだと武元さわぎまくって愛撫とか
進まんからな、まずは一気にイカせてからだ)と隙間をねぶる。
「やっ。ちょっと伸びて薄くなってるせいか、舌のザラザラが、強く、て……!」
 腸液を垂らしながらピクピクとひくつくアナルに苦痛の無さを確かめた唯我、指を抜くと今度は両手でギューっと左右に拡張して
舌を突っ込む。
「空気が入ってきて冷たっ、あ、そこ、そこ、ぺろぺろされると、いい、いいよぅ」
 悶える少女はすっかり身を委ねている。ふぐり攻略もまた忘却の彼方なのがアホ可愛いと舌使いを強める唯我。ただ舐め
て終わるものではない、不意打ち的に指を突っ込んでは内部で鉤の如く曲げて刺激する。浅縁嘗肛の援護射撃に支えられ
た内陸部の電撃戦は実態以上の効果をもたらした。
「ペンだこ、気持ちいい、気持ちいいよぅ」
 声もとろとろ、秘所もとろとろ。頭に桃源郷が訪れた少女は薄目に天使の羽のような光を宿らせ英語未遂の……おねだり。
「指を挿れてください…………。おちんちんの練習……させて、ください……」
(ここぞってトコで発揮されるうるかさんのエロさ何なの!?)
 責めは少女の快楽より唯我自身の欲情を晴らすものとなった。舌を外すと……親指と、親指を、突っ込んだ。
「ひゃうう!? ちが、そうじゃなくて、この前みたいに中指を……!」
 予想と違った攻め口にうろたえるうるか。(咄嗟の判断だが……出し抜けた!)。さっすが俺の才覚と自分に喝采送る少年。
相手の想定を咄嗟に見抜き更に上ゆく手管は教育係ならではだ。ぬっぷりと、あどけない菊座に埋没した2つの親指は、
締め付けてくる淫孔を、ぬりぬりと左右に割り開く。
「みゃっ、みゃーー!」
(みゃー!?)
 予想外の愛撫にねこねこするうるかに驚いた唯我だが(これはこれで……)と頬を緩ませ肛門拡張に熱を入れる。
 綻びかけの菊の蕾がかなり大きく広げられた。伸びきった粘膜は裂け目へと続き、一帯は艶かしいサーモンピンクの照り
返しを放っている。初夜と違い蛍光灯をつけたままなのが少女の恥辱を大きくした。自分でも見たことのない内奥のヒダを、
愛する少年へ曝け出しているという事実に、ほぼ半泣きの水気に溢れた双眸を落ち着きなく動かす。
 そんな貞淑な反応と、物欲しげにパクパクと蠢いている肛門のギャップに感動すら覚えた様子の少年、方針を、提示。
「俺のを挿れるっていうなら……まず横に伸びるよう…………ほぐさなきゃな……」
「うん。ストレッチは大事……だもんね……」
 アスリート特有だが、わずかにズレた感もある回答。されどうるかの笑みは、全幅の信頼に満ちている。女が体を許した
男だけに魅せる蠱惑的なニュアンスもややあるが、それ以上に、子犬が飼い主を見上げるような純真さこそ、大きい。

176:
18/02/26 00:23:34.66 /WOoQb80.net
 拡張作業は、色々。
「ん……ぎっ!」
 親指2つを根元まで挿入された状態でバックリとアナルを割り開かれたり
「だからガン見やめてってっば! 泣くよ!!?」
 内部の襞をじっくりと観察されたり
「っ! 舌! すごい、すごい奥、までぇ……!」
 棘皮の生々しさを持つ器官の舐め回しで、くっ、くっと、内部からほぐされたり。
「ああーっ! あっ、あっ、そこいい、すごくジンジンして、上手、成幸が上手……、あ! んぅ!!!」
 刺激を受け入れるたび、逆さ状態の乳房が揺れる。鎖骨に向かって、「どよん」と重苦しく垂れて付け根を露にしている
豊かな膨らみの、通常の体位ではまず有り得ない垂れ方と揺れ方に少年は一層興奮し─…
「武元!」
「んぶっ!?」
 極まったのだろう、少女の口に剛直を捻じ込んだ。(かたい……。鉄、みたい……)。衝動的なグラインドに目を白黒させ
ていたのも束の間のこと、敬虔な瞑目をしたうるかは頬をすぼませ愛撫に移る。
 少女を逆さにして肛門を責める歪なシックスナインは若い男女の情欲を炎(も)やす。褐色の太ももの間でびちゃびちゃ
と舌を鳴らす唯我。抽送に合わせて激しく首を前後させるうるか。単調な繰り返しのテンポは、段々短くなっていき─…
「出すぞ」
 声と共にうるかは自らペニスを引き抜いた。妖しげな蠢動を見せた亀頭は一気に爆発。
 白い濁流がびちゃびちゃと褐色の顔面に撒き散った。
 はあはあと熱い息をつくザーメン塗れの恋人に唯我は「出る直前、抜いちまってたか……?」とすまなそうな顔をしたが、
「…………違うの。たまには、その……成幸のを……カオに、かけて……欲しくて……」と少女は羞(は)じ羞じと睫毛を伏
せた。

「別にあのまんまでも良かったのに……」
「俺がなんか申し訳ないんだよ」
 最後の一滴を拭き取った唯我に「とりあえず、さんきう」とお礼を述べた少女は前髪の一番太い房をイジる。
(ベトってしてるん、残したいけどさすがに気付かれるしなあ)。
 名残惜しくもあるが、丹念に顔をふきふきしてくれた少年を追想すると
(えへへ。なんか子犬がお母さんに顔なめなめされてたみたい……)
 照れ照れと相好を崩し、両頬に手を当てた。

177:
18/02/26 00:24:06.74 /WOoQb80.net
 うるかは四つん這いになった。ズレた股布からは、唾液と腸液でどろっどろなアナルが依然として剥き出しである。
「どーするん? 今日、一気に……決めちゃう……?」
 振り返って問う少女は頬に羞恥の紅こそ差しているが、目つきはやや淫蕩な気配が強い。誘うような、からかうような、
「勝気な女友達」の気配である。お尻も心持ち、ふりふりした。
「いや一気には無理だろ」。唯我は嘆息した。「『こっち』は生物学的に、挿れるようにはできてねえんだから、無理やりやっ
ちまったら生活に支障でるぞ。もっと回数をこなして、ほぐしてから……」
「じゃあ……やめる……? 今日のところは、おちんちんで……何もせずに…………済ませちゃう……?」
 少女は優しげに咲(わら)う。濃密な蜜の香りがたっぷり含まれた微笑だった。「い、いや、それは、だな……」少年はどぎ
まぎしたが、眼鏡を白く曇らせると、
「ちょ、ちょっとぐらいなら、その、先っぽぐらいなら入るのかなーとか、試したい気分はあります……。すごく、あります」
「素直だねえ」
 ケケっと歯を見せガキ大将のように嗤(わら)う、うるか。「そこは今後のための調査とか、もっと強がってもいいのに……」
などと言う指摘は「変に飾らない成幸のそーゆーとこ、大好きだよ」という惚気であろう。
「だだだが、血! 出血が少しでも認められたら俺ほんとすぐ退散するからな! だからお前も痛かったら素直に言えよ!
お、俺の気持ちよさのために我慢したせいで、一生ものの後悔に繋がりかねんケガするとか、本当いやだからな!!」
「そんな怖いとこなのお尻!?」
 少女、落書(らくしょ)的な形相でヒヨコ口となり震える。
「いや、俺の方はすぐ引くから! 手術が必要なほどブっ壊れることはまずないだろうけど! でもお前!」
「でもお前?」
「ココちょっと裂けるだけで部活! 行けなくなっちまうだろ!」
(あ!)
 そうなのだ。うるかは初夜の「喪失」という、ごく一般的で、いつかの破壊を孕んでいるが故に比較的すぐ直る傷を前にして
さえ練習は3日も休んだのだ。いわんや裂肛よ、摂理の埒外に位置する行為によって発生する傷の完治は「もっとかかる」。
「国体終わったけど、続けるんだろ……水泳」
「う、うん」
「なら練習は多い方がいいだろ。1秒以下を競う世界なんだから……1日の休みすら響く訳で、だから……お尻、裂けたら」
「『一生ものの後悔に繋がりかねん』……だね」
 配慮にうるかはウットリした。唯我の配慮には、しつこいほど弱い。
「第一水着シロだし! 血ィ、目立つし! プールからの感染だって……!」
「こーゆうとこ色気もへったくれもないよね成幸……」
 まったくである。欲望丸出しでさっさとガーっと全部挿れてくれた方が述べる側としては楽なのだが、この男は諸事こうであ
る。まったくしょうがない唯我なのだから、もう……である。
「あと受験! 座って勉強できなくなるよーなこと、許せんからな! 俺一応、教育係だし!」
 うるかは、透き通った微笑を浮かべた。純水が飲料として求められぬように、純度だけの笑いもまた人を潤さない。愛らし
いがどこかウソくさい笑顔で褐色少女は告げた。
「もー。成幸ソレ天丼ー。あたしと初めてシた時だって似たようなこと言ってたじゃん。どんだけ心配好きなの」
(……過保護すぎかなあ、俺)
 でもここちゃんとしとかないと色々だめになっちまうし……と気まずげな少年からさりげなく視線を外したうるか。
(だめ! あ、あんな優しいことこれ以上沢山言われたらあたし、ほんとマジで一気に挿れて欲しくなっちゃうから!! てか
自分で無理やり捻じ込んじゃう! でもだめだそれは絶対だめ! テンションだけじゃんそんなの! チョーシのって自分で
お尻に根元まで挿れたせいでさっき成幸が言ったようなことになっちゃったら)
 絶対嫌われる。この女本当にバカなのかと見放される……という危惧は、うるかにしては珍しく、妄想的ではない、的確な
配慮であろう。だから「心配は天丼」的な言葉で少年を躊躇させ、追撃を防いだ……のだが。
「で、でも、あたしのこと気遣ってくれてるし……? さきっぽだけなら…………別に、イイし……?」
 やはり繋がりたいという気持ちは抑えられないとばかり、ツンツンした上目遣いで少年を見る。
 彼もまた、心は、同じ。
「じゃあ……」
 屹立の根元を持つと、膝立ちで距離を詰め……菊座に当てる。「あ……」。柔らかな”すぼまり”に張り詰めた肉塊が当たる
感触に妖麗さも露に瞳を細める褐色少女。唯我、優柔なれど果断の男。決めるべき時は決める形質が亀頭をアナルに……
入れ込んだ。

178:
18/02/26 00:24:38.35 /WOoQb80.net
「あ、あああ……」
 異物感に軽く目を剥き、わななくうるか。
(入ってきた……。ちょっとだけだけど……入ってきた……)
 異物感こそ未知ではあるが、(こ、これで、成幸のおちんちんが……お尻の……初めて…………だよね……?)という願望
にも似た自問から滲み出てくる幸福感が苦しさを穆(やわ)らげる。
(熱くて……。逞しくて…………。だめ、何度もイかせてくれて成幸の気持ちいいトコが、お尻で全力出したら………………
どうなっちゃうのか…………知りたくなってきてる……。あたしのココでも……気持ちよくなって欲しくて…………びゅーっと
出して欲しくて……だから、だから……ちょっと裂けても……根元まで挿れて欲しいとか……あたし、ケーハクなこと……
ケーハクなこと、考えちゃってる……。だめ、でも今は、ほぐれない内は、ガマンしなきゃ……)
 一方、唯我。
(やらけ……。前と違って全体的にツルっとした感じだけど……なんか、筋肉が近くにある感じで……キュっとしてて……)
 えも言われぬ快美が敏感な先端から伝わってくる為、やや息が荒いでいる。
(とろっとろだ、筋肉が……ストレッチとかしてる柔らかい武元だから……お尻の中も……とろっとろ、で……)
 少年の財政からすれば半ば伝説的な霜降り肉のような「とろっとろ」な感触に、彼は凄まじい挿入欲求を覚えたらしく、
一瞬顔つきがひどく攻撃的な濃霧を帯びた。
(やべ。あれだけ偉そうなこと言ったくせに……すげー挿れたい。根元まで突っ込んだら、周りからどんな締め付けがくるか
……味わいたい…………)
 だが同時にそれはダメだと表情は、自制の色を浮かべる。彼ほど自制できる少年もいない。文乃の腹を触る羽目になった
り夜の緒方うどんで理珠に抱きつかれたりしても手を出さなかったぐらいなのだ、濡れ場でもブレーキはかかる。
「こ! こっちからじゃ今んところ出血は認められないけど! 痛かったり、しないよな……! このままで、不満とか、ない
よな!?」
 半ば自戒で聞いたのはしかし却って悪くもある。(しまった! 最後の一言余計じゃないのか! 不満うんぬん聞くとなんか
お前さえもっと挿れて欲しいならもうちょっとだけとか恩着せがましく言う布石みたいじゃないのか!? 武元はそう受け止め
ちまうんじゃ……ないのか!?)などと、秀才らしい余計な洞察を己が言葉に加えてしまう。
 うるかはうるかで根がヘタレなため、つい勘繰る癖がある。上記が如き機微を何となく察してしまった。
「え!? あ、うん! 大丈夫! あた、あたし的にはもうちょっとだけ行けそうだけど、む! 無理はしちゃいけない……
だよね!?」
 テンパって答えたが(最後の一文いらないよ! うわーん牽制してるみたいになっちゃったー! 成幸が挿れたがってる
の察したけどさっきの言葉タテにやんわり断ってるみたいになってるーー! 違うの、あたし本当は根元まで挿れて欲しい
んだけど、成幸の配慮も分かるから……先っぽが一番無難だって思ってるだけで……!)と内心不等号で涙ぐむ。
 微妙なボタンの掛け違い、続く。
(武元……! つい挿れたくなっちまった俺を諌めて……!)
 普通の男ならカっとする場面だが、むしろ彼は口に手を当て涙ぐんだ。裂肛を避けんとした当初の理念を、情動に流される
ことなく突きつけてきた(と彼に映る)うるかの、毅然とした態度に、部活を優先できる判断力に、
「お前、成長したなあ。偉いなあ」
 と後ろから髪を撫でる。
(なんで褒められてんのあたし!?)
 うるかはギョっとした。(いや嬉しいことは嬉しいんですけど!? なんで!)と驚くが、唯我は偉い偉いとなお、撫でる。
(なにこの状況!? どんな状態!? お尻におちんちんのさきっぽ挿れられた状態で頭撫でられるとか、なんなん!?)
 口でなだらかな谷を描きながら半ば唖然と汗をかくうるか。起死回生とばかり、提言。
「動いてもいいんだよ成幸……。先っぽだけなら、そんな力いらないだろうし……」
 えッ。少年は驚いた。驚きながらもちょっと鼻の下を伸ばすあたり、良くも悪くも男である。
「い、いいのか!? ここ挿れるようには出来てないから、硬いのが出入りしたら裂け」
「ないってば!! うー! だいたいここそんな脆くないし!!」
「そうなのか?」
「うん。お尻、だかんね。お尻だから、大丈夫」
 両目を棒線にしてあどけなく答えるうるか。唯我は、
(お尻だから……? なんでお尻だと大丈夫なんだ……)

179:
18/02/26 00:25:09.58 /WOoQb80.net
 ぽやーとした顔で考えていたが、「ぴっ」と言う、気付きの、細い条光が右のこめかみから左のこめかみを静かに抜けた
瞬間、得心が行ったように……幼く答える。
「成程。お尻なら、先っぽぐらいなら大丈夫だな」
「そうだよ成幸。もー。いちいち心配しすぎなんだよ」
 唯我につられてアハハと笑った。笑いあう恋人たちはどこまでも和やかな雰囲気を漂わす。ウフフエヘヘと牧歌的な表情
で笑いあい、
 笑いあい、
 笑いあい
((お尻だからこそ大丈夫な理由は深く追求しないでおこう……))
 堅く、誓った。微妙な赤面を相手から逸らしつつ。

180:
18/02/26 00:25:23.46 /WOoQb80.net
 唯我は腰を引く。ぬぶりと抜けた亀頭は興奮のせいでビヨンと跳ね上がるが、体を沈めると再びすぼまりへと照星を定め
る。手で微調整をすることもできたが、欲情と恋慕を刻みたくて、だから彼は肉棒だけでの挿入を試みる。
「あっ」
 尻たぶと尻たぶの間を一画でなぞり上げた「肉筆」に少女はさえずる。ぶるん、ぶるん。ヒップの割れ目を何度か擦り上げ
た肉棒はやがて菊座に当たり……沈む。一度入ったせいだろう、桃色の肛門は僅かだが柔らかくなっており、抵抗少なく
受け入れた。
「んんっ……」
 目を閉じピクピクするうるか。あとはもうキノコの抜き差しだった。先端を抜いては入れなおす繰り返し。手のガイドで浅く
突っ込んでは排莢する。
 膣のときに比べるとどうしてももどかしさの多い行為だが、若い愛を交し合う2人にはそれさえも興奮だ。
(何より……武元の入り口の方、プリプリしてて……気持ちいい……)
(熱くて柔らかい座薬を何度も挿れ直されてるようで…………。だめ、熱くなる、なってきちゃう……)
 太ももはもう愛液の樹状図の展示会。半透明の蜜でびしゃびしゃだ。

181:
18/02/26 00:25:39.02 /WOoQb80.net
 深度を制限しても、やりようはある。細かすぎる抽送に業を煮やした唯我は、挿れたまま上下左右に擦り始めた。
「あっ、それ、いい。好きかも……しんない……」
 腸壁をぐにんぐにんと撓ませ拡張する灼熱に甘い声を立てるうるか。肛ズリなどいう言葉が存在するか不明だが、あれば
現状こそそうだろう。口唇愛撫はよく性交を模していると言われるが、唯我の行う肛ズリは口唇愛撫を模している。始端の内
膜にするように、終端の薄皮に亀の具をぬらりぬらり……こすりつける。少年が屹立の根元に添えた右手を動かすたび、
少女は「んんっ」と狐面のごとく目を細め、軽く喘いだ。
 無毛で清廉なすぼまりは、肉尖端の排莢すら愛らしい。唯我が何かの拍子に加減を誤った瞬間、亀頭がにゅぷりと、ま
ろび出た。淫蕩な排卵に騰(あ)がった唯我、薄く赤らんだカリ首をシワもまばらなピンク色の排泄口に押し付けた。そして
竿を上下。ぶりゅん、ぶりゅん。ぼんぼんに硬く膨らんだ肉棒からの質量ある攻撃に「あっ、や、おちんちんでそんなイジ
め方、恥ずかしい……」とうるかは恥らう。だがチョコレート色の全身はバーナーで炙られたように同色の雫をまぶし、幽
(かそ)やかな息はみるみると弾んでいく。
「熱いの、成幸の先っぽが熱くて、先走りでドロドロで」
「気持ちいいか?」

182:
18/02/26 00:25:47.30 /WOoQb80.net
「いい……。すごく、いい…………。もっとこすって。ほぐして……」
 横逸れした水着から日焼け跡を覗かせる一種いやらしい安産型のヒップをくねらせおねだりする少女。四つん這いながら
もいつもの調子で顔だけは唯我に向けているうるかだ。切迫した艶っぽい表情のメイン・キャストたる小さな口に指を入れた
唯我は、交代した左手で竿を持ち─…
「あv そんなくちゃくちゃの仕方、えっちだよぅ……v」
 肛ズリを繰り返す。
「だめ、さきっぽ挿れたまま、上とか右にぎゅーって伸ばすの、だめえ」
「こうしないと拡がらないだろ?」
 キュっと引き締まっていた少女の肛門が引き伸ばされ動くさまは、唇に指をかけられ伸ばされる頬と似ていた。

183:
18/02/26 00:26:15.69 /WOoQb80.net
 ややあって。
「い、言われたとおりのカッコしたけど……なに……するん……?」
 うるかは。四つん這い状態のまましゃがまされ、臀部を頭より心持ち高くされている。そこへ到る靭(しな)やかな背中の曲
線は白い水着の色彩で神聖ですらあった。そこからむき出しのお尻の日焼け跡から、褐色の太ももへ幾筋もの汗を垂らし
ながら、うるかは後ろへ首を捻じ曲げていた。こわごわとした視線を浴びる唯我、言う。
「こうするのさ」
 やや腰を浮かし気味に正座していた彼はむんずとうるかの尻を掴み、引き寄せた。(またおちんちん挿れちゃう……?)と
陶然たる半眼になる人魚姫であったが、次に勃発した出来事は彼女の未来図を凌駕していた。
 チョコシロップ漬けの桃を2つに割ったような見事なヒップに、唯我はペニスを挟み込んだ。
「ひゃッ!? ひゃあああああう!!」
 尻たぶと尻たぶの間に突如ふって湧いてきた灼熱の感触に目を向き、わななくうるか。
「ちょ、何!? なななっ、なんでそんなことすんの!!? そんなん本とかじゃ見たことないんですけど!?」
「だ! だってお前のお尻が、なんつーかスゲーぱつぱつで、なら挟めるかなっていうか、挟みたいつうか……!」
「いやいや! あたしのお尻そんな柔らかくないから! 絶対ゲンメツされるから! 鍛えてるせいで筋肉ばっかで……!
この女の尻見た目ほど気持ちよくないなって思われたらショックだから……! だからおっぱい、そっ、挟むならおっぱいに
……!!
 持たざる文乃(もの)が聞けばどんぐりまなこが無表情な笑みのままギッゴッと凄まじい歯軋りを連発させるであろう請願
をベソ混じりにするが、唯我は両側から鷲づかみにしたヒップをいよいよ力強く上下し始める。パンパンに膨れきった肉棒
の圧倒的質量を尻たぶの中でストロークされる感触に思わず目を閉じたうるかは、可愛い褐色の顔をぴくぴくっとを震わせ
る。
「ふぁあああん! やっ! そんな動きしたら、いやあ!!」
「ふやああああ!! ちょ、ええッ!? お尻とお尻でおちんちん挟んで上下するとかやめてーーーー!!!」
「お、お前の尻がいい形すぎるんだよ……!!」
「はぅうぅ。しかも粘膜に側面こすりつけるとか……えっち! 成幸のえっち!」
 
 予告もなしに訪れたパイズリの尻肉版に惑乱しきりの水着少女。
 恥ずかしさで猛抗議するが、唯我は屹立を挟んだ尻たぶの上下をやめぬ。ちなみにうるかがちょっと腰を上げるだけでこ
の強制奉仕は姿勢上の都合で雲散霧消するが、それができないあたり、唯我に対し甘々であろう。
 安産型で大きめとはいえ、丘陵の狭間はDカップの乳房ほどにはない。水着の股布を無理やり捲っているとなれば尚更
だ。だが唯我は水着を巻き込むことさえ意に介さず─と、言うより、寧ろ水着をこの尻ズリとも肛ズリともつかぬ行為に
参画させたいようだった。事実その通りであるなら、まったく度し難い─尻に肉棒を挟みこみ、上下する。
「だめっ、おしりっ、ギュっとしておちんちん押し付けるの、だめぇ! 先っぽの段差がニュルっとして、あっv 、やああ!!」
 切なげに息を吐き身悶える少女。
 右は、よく引き締まっているが柔軟や水泳によって柔らかい、半白&褐色の尻たぶ。
 左は、大きな尻たぶに嵌り込んで逸らせなくなっている皺くちゃな白い水着の生地。
 汗や腸液をたっぷり含んだ熱湿のそれらにそそり立つペニスを挟み込んで、少年は少女の腰を強引に上下させる。
「やんっ、こんなヘンなことするぐらいなら、あっ、普通に前、前に挿れた方がいい、のにぃ……!」
 尻たぶと尻たぶの間に入れ込まれた灼熱の感触に、うるかは逆らえない。にゅるにゅると菊座をこする竿の感触もまた
理性を溶かす。横顔の中、眉を下げ、瞳を、横に広い直角三角形にまで心地よくとろかしながら、細いネコの手でシーツに、
皺を。

184:
18/02/26 00:26:51.84 /WOoQb80.net
「だめ……。恥ずかしいのに、お尻の間のおちんちん、気持ちいい、気持ちいいよぉ」
(す……っげえ。武元がお尻に力込めて……締め付けてきた)
 唯我もまた震える。性的興奮は条件付けの色合いが強い。尻たぶと水着の感触それ自体より、それらを動員した歪な
行為を恋人とはたらいているという実感こそ、少年を燃え立たせる。
「武元。お前のお尻、すごく、気持ちいい……」
「出すの……? 出しちゃう……?」
 ああ。短く答えた唯我は更に数度激しく尻を上下させたあと、呻いた。
 ……。
 …………。
 ………………。
 精液でどろどろになった敏感な薄膜同士のぬめり合いに、双方ますます快楽を得る。
 再び先端が入れられた。ペットボトルに頭を突っ込んでしまったウナギのように暴れる肉棒に「ひゃう、その動き、えっちだ
よう」と笑い悶えたうるかは活発なこの少女らしく、腰をくねらせ合わせていく。
 漂ういちごヨーグルトの香りが肯(がえん)じる。背徳ではない、と。
 肛ズリ。よく分からぬが気持ちのいい器官への愛撫。それを試みているという気持ちが、”そこ”への一般認識ではまず
至れぬ陽気な貪りあいを生み出す。
「武元、そんな腰、回されたら……!」
「あはは。ピクピクしてるし。出したかったら出しちゃってよ」
 バックながらに軽く攻める少女にこなくそとばかり唯我は指を挿れる。
「やっ! あああ! やだそんなの、反則ー!!」
 ぷるぷると感じながらも楽しいらしく、からから笑う人魚姫。だが亀頭でいっぱいのアナルへ更に何度も指が出入りすると
様子は変わってくる。
「…………っ」
「締め付けがキツくなってきたな」
 どこか得意気な唯我の指摘に「うー! 言わないでってばー!!」両目を不等号にしてネコな両手でシーツを掴むうるか。
「ああもう可愛すぎてダメだ。武元。ちょっとだけ」
 深くしてみる……という言葉に「え!?」と少女が思う頃にはもう肉棒、亀頭から2cmばかり余分に入っている。
「ふぁああ!! いきな、そんな、太っ、太い、からあ!」
 異変に悶える少女がまた、いじらしい。ぬっぷぬっぷと四方八方に一通り肛ズリした唯我はカリ首が抜けるか抜けないか
というギリギリの所まで腰を引き、再び押し込む。
「この深度であれば、完全に抜くほかなかった亀頭のみの挿入時と違い、バック本来の抜き差しが滞りなく行えると言う訳だ!」
(ああ、真の力を解放した敵みたいなこと言う成幸もカッコいいよう)
 直腸粘膜は肉棒が押し入るたび甘ったるい悲鳴を上げて押し拡げられる。こなれる、こなれていく。直腸の外縁は膣の如く
ゆるゆるとほぐされ……開発されゆく。
「ひぐっ! だめ、そこから先は、だめ、まだ、ダメ、裂けるかも、だからあ!」
(じゃあこの辺りか)
 地点は先ほどから更に1cmほど埋没した辺り。そこを今回の極北と定める唯我。後はもう手をつき、犬の如く腰を振るのみ。
「や! 最後にこの格好とか、お尻で、この格好とか、えっちで、恥ずかしいから、恥ずかしい、からあ!!」
 先ほどまで楽しく明るく行為に耽っていた少女に急遽恥ずかしがられて一体どの男が止まれよう。褐色の細い肢体に覆
いかぶさった唯我はやや赤みを帯びた黒髪から覗く形のいい耳に吐きかける様、忙しない息をつき、腰を動かす。
「お尻、熱い、熱いよぉ」

185:
18/02/26 00:27:19.43 /WOoQb80.net
 がっくんがっくんと揺さぶられる人魚姫は忘れがちだが水着姿。二の腕に肩紐がかかり、抜き出しな小麦色の乳房はバル
バルと躍動する。臀部からの異物感は大きくなり、ねっとりした汗がむき出しの安産型に滲む。
「武元、そろそろっ」
 乳房を片手でこね回し始めた唯我は腰使いを早める。
「おっぱいダメ、お尻といっしょじゃ、だめ、だからあ!」
 勝気に眉毛を吊り上げながらも涙を溜める少女。限界は、乳首を強く摘まれた瞬間訪れた。
「ふぁあああ!? いや、乳首、乳首でイク、あたしイク、いっちゃうううう!!!!」
 絹を裂く淫らな高啼きと、縋るよう絞られた直腸が唯我の呻きを呼び……
 引き締まったヒップの間で、ミルクの間欠泉が噴き上がった。
 水着を持ち出して射精2回で終わらせる少女など少女ではない。
 水着を持ち出され射精2回で見逃す少年など少年ではない。
「あっあっあっあ!」
 いわゆる松葉崩し─横向きの正常位で、右足だけをピンと立てさせられた格好─でうるかは徹底的に突かれた。
「深いの成幸、このカッコ、いつもより深くて、あっ! だめイク! イッちゃうう!」
 水着から零れんばかりの乳房をゆっさゆっさしながら甘苦さに顔をしかめ首を振るうるか。
「この辺、初めてかもな」
「えっ、あ! だめ!」
 四十八手の一つたる松葉崩しを行うと、通常の正常位であれば太ももに邪魔され届かぬ部分を刺激できる。
 高々とあがる褐色の右脚に抱きつく唯我は、アナル開発の余波ですっかり濡れそぼっている秘所めがけ何度も何度も叩
き込む。
 不完全な肛門性交だったからこそ2人の官能の炎は、激しい。
 正常位という酸素でやっと完全燃焼できるとばかり貪りあう。
 強引にズラされた股布のすぐ傍の淫裂に捻じ込まれる剛直は、それだけで男の視覚的な欲望を満足させ、膨らませる。念願
の水着姿に、知りたての体位を実践する興奮もまた大きい。寝ッ転がったアマガエルのようにあどけない、開ききった股の
、ふっくらした独特な曲線の中央に、じゅぶじゅぶとペニスを抜き差し、抜き差し、また抜き差し。
 ベッドの上で前後に揺すられるうるかは甘え泣いた。
「イク、いっちゃうう、あたし、イクぅぅぅぅぅ」
 噛み締めるように口を結び、涎もあらわに震える少女。

 しばしの余韻後、ふつうの正常位へ。

「あっ! 気持ちいい! 気持ちいい!」
 M字開脚の少女の両手を取って揺さぶるのは初夜敢行した攻め口であるが、今回は胴体のほとんどが白い水着に覆われ
れている。なのに鎖骨あたりからは見事に肩紐がはだけ、左は肘より手首側に、右は二の腕中央に、それぞれ天女の羽衣
の如く輪通しされているのは視覚的な奇跡の配剤、コスプレAVでもこうなってくれるのは少ない。(大抵全部脱がしやがるのだ)。
 そうやってはだけた部分から、日焼け跡と、Dカップの乳房をこぼし、抽送の震度に翻弄されるうるか。
(このカッコで揺れる、おっぱ……胸は、ただでさえ凄くいいのに)
 ああ、少年は歓喜する。
(水着があると更にいいなあ……)
「うーー!! そんな水着ばっか見ないでよ!! これから練習中、どんなカオして逢えばいいか分かんなくなるじゃん!!」
「恥じらいも……イイなあ」
「って聞いてないし!! でも見蕩れられると次からダメっていい辛いし!! ああもう成幸のバカーー!!」
 可憐な反応に正常位は激しくなる。
「だめ、慣れてるカッコなのに……水着見られてると興奮して……イク、また……イッちゃうよぉ……!」
 37分。そこからうるかが突かれ続けた時間だ。観測できた限りでは彼女、7回はイカされた。唯我の射精は3回である。

186:
18/02/26 00:27:54.51 /WOoQb80.net
「あっあっあっ、水着でっぇ、えきべんして乳首触るの、だめぇ」
「出すぞ……うるか」
 持ち上げたまま射精した唯我だが、すぐさま律動を再開する。
「もう! 水着にコーフンしすぎ!!」
「だってこのカッコだと生地が俺に密着してきて……!」
 相変わらず良い感じにズレて鼠渓部にめり込んでいる股布の傍のホットな裂け目に瑞々しく赤剥けた肉棒をズンズンと
打ち込む唯我。激しい律動で乱れたのだろう、乳房のすぐ下までを覆っていたはずの白い水着は今はもう、おへそが露出
するほど皺くちゃ、右腕から抜けた肩紐が腰の辺りで垂れている。
「だめ、乳首コリコリしながらお尻に親指挿れるの、だめえ!!」
 肩紐が弾んだ。太ももから唯我の手が離れたのだ。重力落下を利した例の突き込みに
(くる、絶対くる。あたしここで耐えたいのに、絶対くる、成幸、絶対、してくる……!)
 恐怖と期待の入り混じった表情で首を捻じ曲げ少年を見る人魚姫。
「軽いよ、うるか」
「~~~~~~~~~~っ、ーーーっ!!」
 うるかは指を噛み、必死にイキ声をこらえた。毎度同じ文言で達しては面白味がないと思われそうで、怖いから、声を抑え
絶頂を悟られぬよう試みたのだ。
 なのに。
「すっごくきゅうきゅうとしてるぞ。イってるのか? ……うるか?」
 唯我は耳打ちする。ただ嘲っているならうるかは耐えられた。だが唯我は優しさ故に不得手な言葉責めを、いかにも無理
して冷淡ぶってやっているのが丸分かりで、
(成幸かわいい……。大好き……!)
 少女は強引に彼の唇を奪い、舌を絡ませる。
 ……。
 …………。
 ………………。
「わざわざ肩紐まで戻させてコレって……」
 膝立ちで少年に跨りし人魚姫、やや呆れ気味に呟いた。駅弁のころ乱れ切っていた水着は、騎乗位移行に伴い着衣の乱
れが直された。……結合のため捲らずを得ない股布を除いて。

「悪い。けどだな! 乱れてるからって脱がすのは何かこう違うだろ!! また着せて、だんだん脱げてくのが、良くて……!」
「まあわかんなくはないけどさ」
 これだからオトコは……。勝気な面がうるかにやれやれとしたウインクを取らせる。
「てかあたし、上、恥ずかしいんですけど……?」
「俺は怖い……です」
 抜かずで12回搾り取られたことは今以てトラウマらしい。少年はぶるぶると震えながら視線を逸らし─…
「優しく、シて……下さい…………」
 初めて抱かれる少女のような羞恥を浮かべた。(はうう!)、うるかの表情についてはもう、言うまでもない。
「っ! も! もー! そんな可愛いカオされたって3分ぐらいで切り上げるかんね! 今日は乱れる前に終わらせるかんね!!」

「やっやっやっ! 成幸のおちんちんがあたしの中で暴れて!! 凄い! 気持ちいい! 突いて! もっと突いてぇ!!」
 23分後、白スクに覆われた細い腰が唯我の上で踊り狂っていた。結構な数の中出しをされたらしく、結合部ときたらシ
チューを掬ったあとのお玉の下側ぐらい、ベットベト。
 少年はリクエストに答える。水着の中の乳房を握ったまま、少女が腰を下ろしきるタイミングで腰板のバネを突き上げる。
「あっあっ! 凄い! 右唇ぴりぴりして、何も分からなくて、凄い、気持ちいい、気持ちいいよう!」
「武元っ!」
 水着越しに乳房を揉みたくる唯我。腰使いも弱めない。水着越しに握りこんだ双丘を支えに上へのグラインドに力をこめる。
「あっ!」瞳孔に超弦のノイズを走らせ痙攣する褐色少女。下腹部で、どこか敏感な部分を一撃されたらしい。
「イク、気持ちいい、またイク!」
 軽く潮を吹く結合部。呻く唯我。白い大波が股布にびちゃびちゃ降りかかる。

187:
18/02/26 00:28:34.38 /WOoQb80.net
 甘美に口を結び、健気な涙を溜める少女であるが、物足りそうに、ぐずるように、唯我を見下ろす。
「だめ、すっごく気持ちよかったけど、もっと激しくイキたいの」
 涎が垂れているのも構わず切なげに顔を歪め、おねだり。競泳水着で、ゆっくりゆっくり腰を上下させながら、おねだり。
「おっぱい触って……。水着越しじゃ成幸のひんやりが分からないから、直に、直に……触ってぇ」
 ここで再び肩紐を剥くようでは三流である。唯我は一流であった。腋側からの経路を用い、斜め下から、『潜り込ませた』。
「ふぇええええええええ!!?」
 白い水着に、レリーフのごとく盛り上がる掌の陰影にギョっとしたのは勿論うるか。
「ぬ! 脱がすんじゃなかったの!?」
「だって水着だぞ! 男なら誰だって、一度でいいから普通に着てるトコに、手を、手を……!」
 入れたいって思うもんなんだよ! 切実に叫ぶ唯我。男のコはやっぱりオバカな生物らしい。
 が、うるかは責めるどころかなんと心配すらした。
「だ! だめだってば成幸! 水着ぱつぱつなんだから! 無理やり突っ込んだら成幸の手が窮屈なんじゃ……」
 肩紐緩める? とさえ悶えながらに心配そうに聞くのである。
 「イイんだよそれが。すげえ。ただでさえやらかいお前の胸が、水着に押される俺の手に」
 ぐりにゃぁると柔らかくめり込むのだ。興奮した彼は桃色の棘(ソーン)を親指で押し込んだ。
「ひぃゃあんっv」
 うるかの興奮もまた界限を超距しつつある。
(凄い……。ただ触られてるだけなのに……いつもと、全然)
 感触が違って思えるのは、『水着の中』をまさぐられているという興奮ゆえか。
 火照りつつある乳房から謎めいて高い淫靡の粒子が立ち上り当惑するうるか。
 脱がさないが故のエロスはある、確かにある。競泳用水着が手の形に隆起しパツパツになっている視覚情報は唯我を
大いに昂ぶらせる。衝動の赴くまま、窮屈な生地の下、更に手により弾圧され潰れきっている乳房を揉みこねる。
 ぎちっ。右の肩紐の外側に、切れ込みが、入った。
「あっ、や……胸、いつもより、キツキツで……」
 勝気なショートボブな褐色少女の息は瞬く間に弾む。胸に視点が移ったせいで忘れがちだが今は騎乗位、結合中。手の
カタチにこんもりと盛り上がった水着の胸に視覚的な幸福を覚えている唯我は二度、三度と突き上げる。横乳が水着から
こぼれそうなほど激しくもまれて脱力しているうるかだから、面白いように跳ねる。女性上位の格好にありながら、少年の
力の籠もった腰のバネにずんずんと跳ね上がっては落ちる繰り返し。
「な、なんか前よりチカラ強くなってない……?」
「筋トレ続けてるからな、我慢できなくなるたびのアレ」
 だから駅弁やっても体力残ってる……言いながらキュウっと両乳首をつねる唯我。「あっv」。すっかり強い刺激に調教さ
れているうるかは蕩けた笑みで甘く啼く。
「あ、あたしだって、体の使い方、上達してるし……?」
 秘所に力を込め、締め付けを意図的に強くする。「武元っ、そ、そーいうスイッチいれたらまたお前……」怯えながらも、
僅かに期待を込める少年に「大丈夫、だから。今日は、成幸を、気持ちよくしてあげるためで……あたしだけ気持ちよく
なるアレじゃないから……」と腰を上下し始めるうるか。
 支えとすべく唯我の丹田付近に細腕をライディングさせかけたが、「…………」。薄く頬を染めると背後に回し、つく。変わ
りに腰を心持ち前に。
「せっかく水着なんだし……。めくれて……繋がってるトコ……見れた方が…………いいでしょ…………?」
 恥ずかしげに目を尖らせながらも遠慮がちに問う姿態は(どどどこまでワカってくれてるんだ武元! あ、あんなに結合部
見られるの嫌がってたのに……!)と少年を感涙に導く。
「もー。ちょっとしたことにいちいちヨロコびすぎ」
 呆れたように笑う褐色少女だが(嬉しい……。恥ずかしいのガマンして良かった)と嫣然と双眸を潤ませると
「んっ……」
 と腰を前後にグラインド。ぬめりきった沼がニチャニチャと鳴った。肉棒は、重機可動肢のシリンダーの如く「硬い」挙動で
秘所を出入り。
「武元っ、力、強い……」
「でも気持ちいいっしょ……? ぴくぴくしてるし……」
 持ち前の筋力で締め付けながら、ゆっくりとグラインドする少女に唯我は感じているらしく、かつて睾丸を愛撫された時の
ような、激発寸前な細い息をついている。
「だって……お前の中、すっかりこなれてきて…………俺の、に……絡みついてきて……」
「気持ちいい……?」

188:
18/02/26 00:28:52.45 /WOoQb80.net
 腰使いのペースは変えぬまま、優しげに笑う褐色少女。唯我は相当「ズキっ」ときたらしい。軽い四白眼の下で口元を楕円形
に広げると「いい……。凄く……いい」と恥ずかしげに呟いた。
「どの辺が……どんな感じで…………いい?」
 女性優位の体位ゆえか、うるかは珍しく積極的である。吐息の綿雲を侍らせながら、じっと少年を見つめる。愛しさに満ちてい
るが、瞬きで細くなる瞬間、狩人のような眼光が懸念される複雑な目つきであり、であるがゆえに唯我は(アレ? これ答えを
渋ったらオシオキされるんじゃ……?)と怯えた。
 怯えながらも、恥ずかしげに、彼、告げる。
「ひ、ヒダが……揉み洗うように、俺の、に、一面に絡まって……吸盤のように、真空作ってペタペタひっついて……」
(え!! そ! そこまでの説明は求めてないんですけど!? あったかいとか強いとかヒトコトで良かったのに詳しく言わな
いでよ、恥ずかしい……!! 恥ずかしすぎるよぅ……!)
 羞恥と照れで、胸中うがーと頭を抱えるうるかだが、今は攻め手だ、取り繕う。
「もっとペタペタしたげよっか……?」
 えっと聞き返しかけた唯我であるが、人魚姫がふぅと息を吸い力んだ瞬間かれの表情は激変する。
「っ! ヒダが、うねうねって……!」
 映像では流石に分からなかったが、どうも膣内が蠕(うご)いたらしい。

189:
18/02/26 00:29:14.95 /WOoQb80.net
「あたし……。2週間も成幸とえっち……できなかったから……成幸の想像して…………中、動かしたり……してたの……。
感触思い出して…………中の……壁を、ぬるぬるーって、動かして…………寂しいの慰めて…………練習……してたん
……だかんね…………!」
 自慰……にしては良く分からぬ行為である。唯我も反応に困(こう)じた雰囲気を見せる。
 上記のうるかの行為がただのオナニーを超えた、エアセックスとでも形容すべき唯我愛の顕現であったと判明するのは
やや先の話。
 この時の少年はただ、妖しく蠢き始めた少女の肉沼に軽く悶え喘ぐばかりであった。
「これできるよう、練習したんだよ……。いっぱい、いっぱい……」、次する時は気持ちよくできるように……切なげに瞳を尖
らせながら腰をグラインドさせ始めるうるか。
 そこから12分の動きは激しい貪りこそ伴っていなかったが、愛の濃度は、高かった。

190:
18/02/26 00:29:35.05 /WOoQb80.net
 うつ伏せの唯我に、褐色の太ももを、双頭の宇宙戦艦のカタパルトの如く並列させた少女が、くっちゃくっちゃと前後の律動
を飽きることなくひたすら続けた。
 少年も突き上げこそすれ互いを絶頂に追いやるほどの激しさはなかった。感じあうための、愛しあうためのセックスだった。
「あっ……。あ……」
 想い人から悩ましげに顔を逸らしつつも、姿勢よく背を伸ばしたままお尻をくねらせるうるか。
「…………」
 息を弾ませながら分身を上へ上へ杭(わた)らせる唯我。
 細工された防犯カメラの記録映像かというぐらい単調な繰り返しを延々12分は続けたあたりで”それ”は来た。
「あっ、武元、そんな強く絡ませたら出ちまう……!」

191:
18/02/26 00:29:55.51 /WOoQb80.net
「……つーん」
 じっとりと汗ばむココア色の面頬がそっぽを向いた。塾の例のアレである。下の名前で呼べという訳である。好きだうるか
愛しているんだうるかと月に刻むほど天が驚くほど情熱的に呼ばれなければイヤという、複雑な甘え方である。
 積年の恋慕を知る隊員2人や文乃から言わせれば可愛らしい拗ね方であり、唯我自身、
(カワイイ……)
 と思ったが、ほんのちょっとだけ、ごく僅かだけ、少年らしい癇が眉根を過ぎた。
 やや小生意気な態度を取った子犬を「くぬやろ、くぬやろ」と愛しげに笑いながら揉みくちゃにする。
 ここからの行為はそれであった。体裁こそ調教であったが、本質は愛の軸を外れていない。
「ヤダ……。名前で呼んでくんなきゃ」
 イカせてあげないよと腰の動きを弱めかけたうるかの、むちっとした黒糖色の太ももを唯我は掴んだ。
「武元」
「だからうるかって……きゃっ! え! 何!? なんで動くの!?」

192:
18/02/26 00:30:21.76 /WOoQb80.net
 少女がうろたえるのも無理はない。ここまで分かち合うためだった動きが、急に強姦的な、男が一方的に感じるためだけ
の突き上げに変じたのだ。ぐっぷぐっぷと膣をぬめり開閉させながら往復する肉棒の、獰猛獰悪な勢いに
「も、もしかして怒らせ……あっ! や! そこダメ、あ! だめって言ってるのに……!!」
 戸惑い、謝罪に移りかけるうるか。
 だが。
「怒っちゃいないぞ。武元」
 唯我は、淡々とした口調で「ちょっとした工夫を思いついただけさ」とも付け加え、眼鏡を白く曇らせる。口元は軽く微笑。
(怖いんですけど!? ただ怒られるよかずっとずっと、怖いんですけど!?」
 戸惑う間にも突き上げは続いている。揺らされる軟らかな体は癇癪の繰り糸に引かれるよう。いつしか仰向けのまま膝
だけを立てた少年が息を吐きつつ腰を突き上げるたび、白い水着姿の少女は悲鳴をあげる。
「イク、成幸をイカせるまでガマンしたかったのに、あたし、先に、あたしが、先に……!!」
「イけ。………………うるか」
 聞かせるように、叩きつけるように放たれた真名に驚き息を呑んだうるかだが、静的な一拍はすぐさま怒涛の奔流に流
される。「はひっ」と淫らな感悦に綻んだうるかは「だめ、名前呼ばれると、イく、頭の中が気持ちよくて、イッちゃううう!」と
涙ながらに背筋を仰け反らせ涎を散らした。
「とまあ、ここまでがテンプレだ」
「へ…………?」
 涙と鼻水でぐしゃぐしゃの顔を呆けさせ唯我を見たうるかは気付く。肉棒が中で未だまったく衰えていないように。
「な、なんでそんなコーフンしてんの……?」
「い! 言っとくけど! お前が悪いって言うか、コレは照れで、可愛いんだけどムシャクシャもしてて!!」
 おろおろと、生娘のような赤面で弁明する唯我は、そこから。

「武元」
「……武元!」
「武元っっ」
「たけも……と!」
 立ちバックで。
 ベッドの縁の座位で。
 うるかが唯我にお尻を向ける騎乗位『本駒駆け』で。
 正常位の少女が肘を支えに、二の腕分だけ浮き上がる『つり橋』で。
 前から後ろから、上から下から、突きに突いた。
 肩紐の切れ込みがまた一段と深くなる。
 むろんずっと水着姿のうるかは揺さぶられながら(な、なんで名字ばっかなの……! 名前、あたし、名前で呼んで欲しい
のにぃ……)とぐずって泣くが、いよいよどちらかの限界が強くなるや
「うるか」
「……うるか!」
「うるかっっ」
「うるか……ぁ!」
 少年は下の名前で彼女を呼ばい、精を放つ。
 少女は、気付いた。目論みに。

193:
18/02/26 00:30:43.10 /WOoQb80.net
「いやぁ……! 大事なときだけ名前呼ぶの、だめぇ!」
「なんでダメなんだ?」
「だだってそんなんジョーケンハンシャになっちゃうじゃん! あたしがイクとか、成幸がイクとかの時だけ名前呼んできたら
フツーの勉強の時に成幸が名前……呼んできたら、あたし、あたし絶対……思い……出して!」
 勉強どころじゃなくなっちゃうよと涙ぐむ。単語1つ綴る余裕すら無くなると、うるかはそう恐怖しているらしい。
「確かに……そうなるわな」
 唯我もちょっと困ったような顔で応じる。「でしょ! だ、だから、いつも名前呼びな方が……!」と現金な笑顔で提案する少女の
黒髪を、彼はとても愛しげな顔つきでくしゃりと撫でた。
「えへへ。わかってくれた?」
「じゃあ再開な。武元」
 ふぇ!? と声をあげゾっとする少女の秘所で再び灼熱の塊が動き始め─…

 正常位。バック。駅弁。騎乗位。そのほか古今東西新旧洋邦の体位で唯我は攻めた。攻め続けた。
「も、もう名字でもいいから! 休ませて……あたしまだイッたばかりで感じやすいから、やすませ……あ!」
「駄目だ。休ませないからな、『うるかさん』」
 正常位で少女の顔の横に手をついた唯我が腰を狂ったように動かす。最初は「だめ、ゆっくりして、強いぃい」と泣きじゃ
くっていた人魚姫も、涙を拭われたり、髪を撫でられたりといった優しい愛撫のたび「うるか」と呼ばれていくうち、双眸を嬉
しげな、しかしどこか白痴のような曲線にうっとりと枉(ま)げ
「いい、名前で呼んで貰えるの、いい……! あっ、逞しいのが奥に、イクイク、イッちゃううう!!」
 半笑いで愧声をあげ、絶頂する。

 痙攣の赴くままバウンドさせた右肩が、水着の紐に更なるダメージを与えた。既に正中線から見て外側に2cmばかりの
切れ込みを擁している古めの水着の肩紐に、内側方向からも亀裂を入れた。

 またある時。膝立ちの後背位では。
「武元、ここがいいのか、武元」
「やだ。名字、やだ……! もっと、もっと名前、呼んでえ」
「だーめ。ワガママいう奴の名前なんて呼びません」
 肩紐にキスをしながら水着越しに両乳首を「ぎゅっv」と捻る。
「ひいいん! やっ、凄くいいけど、だめなの、名前呼ばれながらじゃないと、イケないの、イケないのぉ」
 振り返って哀訴するショートボブの少女にゾクゾクっとしたものを感じ薄く笑った少年は
「こっちでもイケるだろ、武元?」
 股布に手を突っ込み、真珠をくすぐる。
「やっ。名字やめて」という抗議を眼鏡少年はガン無視し、クリトリスをつねる、つねる、つねる。最初はただ強い刺激に目を
見開いていた褐色少女も突き入れと平行する淫核の刺激に感じ始めたらしくどんどんと口をまろくし喘ぎまくる。
「だめ、またイク、名前呼んで貰ってないのに、イッちゃうのいや、嫌ぁ。名字じゃ嫌、嫌なのにぃ……!」
「イけ武元。イッちまえ」
「え!? いつもならこのタイミングでうるかって……あ! だめ、イクイク、あたしイク、名字なのに、イカされちゃうぅううう!!」

194:
18/02/26 00:31:12.25 /WOoQb80.net
 潮を吹きながらぶるぶると身を震わせた少女は
「中、とっても良かったよ。うるか」
 優しい耳打ちにビクっとした後、瞳を潤ませ……
「成幸っ」
 首筋に手を回し、キスをした。真正面から飛び込む格好である。背面座位からの残影も見せぬ排莢と大反転はアスリー
トならではの芸であろう。
 そのまま彼女は、唯我を押し倒し
「ヘンなの、えっちな気持ちが熱くて、さっきから全然、冷めないの……!」
 膝立ちで腰を浮かしたまま、二本の褐色指でヴァギナを開く。愛液と精液でぬめりきっている秘裂は「じゅぬう」といやらし
い粘り気を奏で……口を開いた。
 褐色珊瑚髪の少女はぜぇはあと赤面を震わせながら続きをねだる。瑞々しいピンク色の内部に溶けたチーズのような糸
が引くのさえ認めた唯我は、興奮の赴くまま
「燃え尽きるまで可愛がってやるよ、武元」と、素面ではとても吐けそうにない言葉と共に突き入れた。
「あっv」
 うるかは、再びの騎乗位に甘く鳴き─…

 そして1時間38分後。
「だめぇ……。最後のときだけしか、名前、呼ばないなんて、卑怯、卑怯ぉ……」
 うるかは、あやめ色の瞳を泣き腫らしながらベッドに横たわっていた。快楽と絶頂の涙であった。鼻水が流れ込むのも
構わず開いた大きな口の中では、熱気で水分の飛んだ唾液が、宇宙生物の巣窟のような糸を引いている。
 全身もまた、ドロドロであった。
 ズレた股布の傍から溢れる愛液と精液の和合液は、ごわごわと粟立ち、まるでムース缶まるまる1つ使ったイタズラ書き
の被害者だった。
 右頬や額、左耳回りにも白濁は付着しており、何がどうしてそうなったのか、うなじの辺りにさえ栗臭の蛋白液がこびり
ついている。
 水着の、胸一面やヘソの近くの射精跡は特に生々しい。両手のそこかしこが褐色を除染されたように白んでいるのは余
波故か。太もももまた斑(まだら)模様である。
「で、でもうるか。その格好も、恥ずかしがりようも、凄く可愛いぞ……?」
「でもこれ完全にシツケじゃん。チョーキョーじゃん! け、結局、お尻も、さっきよりちょっとだけど深く挿れてたし! 根元
までじゃなかったけど、あたしがイクときだけ名前呼んだし……!!」
 ううー! 少女は唸った。唸ったあと、ちょっとだけ、目を伏せて、こわごわと聞いた。
「……もしかしてその、あたしを下の名前で呼ぶの…………嫌? あたし……無理強いしてた……?」
 少年は、頬を掻いた。
「嫌じゃねえけど、前も言ったろ。名字のが呼びなれてるって。何より下の名前でお前呼ぶの……恥ずかしいんだぞ結構」
「だ、だよね」
「練習はするけど! でもしつこく言われたら俺だって人間なんだぞ、どっかでカチンとくる。そーいったもんの積み重ねで
お前を嫌いになりたくねえけど、どっかでちゃんと抗議しとかないと積もる一方ってのは事実だろ」

195:
18/02/26 00:31:36.84 /WOoQb80.net
「……スミマセン」
 チョーシこいてました、やっと下の名前で呼んで貰えるようになったのが嬉しくて、ちょっとワガママになってました…………
と少女がしょげるのは、調教がいろいろ凄まじかったせいである。
「でも、つーんとなるお前が可愛く見えるのは事実で、でもちょっと腹も立って、だからまあ」
 こんなんしちまった……と白濁どろどろの人魚姫を唯我、我が結果ながら若干ヒキ気味に見た。
「てかよく体力続いたよね成幸……。神社の階段昇るだけで息あがってたのに……」
「あ、それはまあ発散のための走り込みがぼちぼち成果をだな」
 でもそろそろバテ気味です……ふらっと青白い顔を揺らめかせる少年に、
「じゃあ今度は」と何かいいつつうるかが起き上がった瞬間。
 べちん。
 右肩紐が破れた。兼ねてよりダメージが蓄積していたものが起き上がりでトドメを差されたという訳である。
「はえ…………?」
 訳もわからぬという顔つきで静止するうるか。
 右胸はピンの抜けた壁新聞の一角であった。水着がハラリと捲れ裏地を覗かせている。
 半白の乳房もまた、まろび出ている。
 すーすーする感触に下を見て状況以上の如くとようやく気付いた少女は「~~~~~っ!」と胸を押さえた。
(って! なに隠してんのよあたし! もうけっこう見られてるでしょ!! あああでもダメだ突然こんなんなったら反射的に
隠しちゃう訳で……!!)
 一種の今さら感も相まって初めて見られたように紅くなり胸を隠す少女。唯我は一瞬、ベッドの傍に脱ぎ散らかした自分の
上着に目をやったが……かける親切は、できなかった。
「見せて」
「え……?」
「そのまま腕をどけて、見せて。…………『うるか』」
 震える少年の声は、自分を懸命に格好良いものに見せかけようとするものだった。イケメンが格好良く、恋人を躾けるとき
の声を、紳士で静謐な、だが逆らいがたい硬質をも孕んだ声を、彼なりに再現しようとする、呼びかけだった。
 他の少女ならキャラじゃないと笑うが、補正持ちのうるかには、効く。麗しい王子様に壁ドンされたようにゾクゾクゾクぅと身
震いした。彼の不慣れな感じさえ、初々しくて可愛いとさえ思い、女芯が溶かされる。鼓膜すら性感帯のようだった。
 が、臆病で貞淑で勝気な複雑さは反論をさせる。
「も、もう何度も見てるでしょ…………? だから、今は、どけなく、ても……」
 直感したのだ。うるか呼びの調教が新しいステージに入ってしまっていることを。反射的に隠してしまった恥部ですら、名前
さえ呼べば見れるように……少女の羞恥をやすやすとクリアできるように、『教え込もうと』している唯我の構図に。
(だから、ここで、胸……見せちゃったら、うるかって呼ぶのが、もっとトクベツなことになっちゃって…………あたしそのうち、
呼ばれるだけで……感じるように……なっちゃう……! 呼ばれるだけで成幸のいうこと、何でも聞く体に……なっちゃう……)
 愛のうち自己犠牲で構成される部分はそれでもいいと破滅的なことを思ってはいる。恥ずかしさと引き換えにしてでも少女は
想い人に呼ばれたい。
 だが愛されるために自分をフシダラに見せたくないと思う部分はレジスタンスになって抗拒する。
(だだ、だから、胸! 自分じゃ見せない、見せないかんね……! 成幸が無理やり手を剥がすなら、そっからどんなこと
されてもイイけど……。でも自分で見せるのは嫌。嫌、だから……!)
 ねこねこした形の紫色の瞳を葛藤に揺らめかせる少女。
 教育係は、鋭い。
「うるか」
 再び呼ぶ。唯我がただ催促のため語気を強めたのであれば、貞淑に対するうるかの防衛本能は外戍(がいじゅ)の勝気
さを来援し、見事な墨守を演じたであろう。

196:
18/02/26 00:32:10.01 /WOoQb80.net
 が、彼女は少年の優しい熱意に光る目に、あらゆる抵抗を忘れてしまった。「うるか」。呼ぶ声に隷属の無理強いはない。
ただ眼前の少女が愛おしく、欲しくなったという、ただそれだけの声だった。胸を見せろという命に違約されたという怒りす
らない。むしろ羞恥ゆえに簡単には従えなかった少女を心から肯定し、清純さゆえにますます欲しくなったという、「うるか」
呼びだった。
 近づく少年の顔。うるかの目つきはもう、レイピア取り落とす女騎士のそれである。唇が、重なった。初っ端から舌をねじこ
んでくる唯我の激しさに、びくん、びくんと褐色の肢体を震わせながらも、懸命に舌を動かし歓待する少女。
(やだ。気持ちいい。恥ずかしいのに、胸見せるの、すごく恥ずかしいのに……)
 頬をさすったり、髪を撫で付けたりする唯我の、ひんやりした手が理性を奪う。
(優しくて……。あたしを求めてくれてるから、胸……。おっぱい……。恥ずかしいのに、見せなきゃって、見せたいって、
思うように……なってきて……でもだめ、名前で、そんなチョーキョー、恥ずかしい……)
 なのに、唇を外した唯我は笑う。妹にやりこめられたお兄ちゃんの表情で、さっぱりと笑うのだ。
「決めたこと、キチっとやりおおせるお前のそーゆうとこ、好きだよ。うるか」
 嬉しさと恥ずかしさでくしゃくしゃの笑みになってしまった少女は、
(だめ、だからこそ、胸、見せちゃ、見せちゃ、だめ、なのに…………!)
 これほどまでに自分を好きでいてくれる大事な人に逆らい続けるのが悲しくなって、切なくなって、
「み、見たいんだったら…………見ればいいじゃん…………」
 と肩紐のはだけでまろびでた乳房を……晒してしまう。
 かああ。首筋まで真赤になったうるかは、目元に涙を溜めながら必死に視線を逸らす。

 冷静な言い方をすれば、水着から片乳がはみ出しているぐらい、先の行為の数々に比べれば遥かに軽い。だがいったん
隠したものを少年の指示で自ら曝け出してしまったという感覚が、ただ見られる以上の興奮をもたらしている。
(何より、あんだけ見られたのに、まだ恥じらえる武元がスゲー。すげえ……可愛い)
 初々しい少年少女ならではの微妙な機微であった。
「すごく可愛い。とても可愛い。可愛いよ。……うるか」
 唯我はうるかの顎に手を当て、双眸を覗き込む。やや背伸びした男の手管だが、照れ混じりの中で懸命に感興と感奮を
伝えようとしているのは傍目からでも存分に見て取れた。
「嬉しい……」
 嫣然と咲(わら)う少女。その乳房にむしゃぶりつくよう吸い付いた唯我は、激しく何度も何度も音を出す。
「あっv いい、いつもより激しっ、あっv」
 アホ毛ともども黒髪を振りかざしながら眼鏡少年の頭を抱えたうるか、屹立が目に入ると片手で掴み、そのまま力任せに
秘裂へ飲み干す。「んぅっ」。目を閉じ、異物感に鼻を鳴らす少女。
「うる……か!? 自分から……!?」
「いいのぉ。おっぱいも、だいじなとこも、いっぱいいっぱい、気持ちよく、気持ちよく、してえ!」
 5分後。
「あっあっあっ! イク! イク! いっちゃううううう!!!」
 水着からむき出しになった片乳をぷるぷるぷるんと震わせながら腰を使っていた少女が、感悦の表情で上を向き、昇天した。

 水着の夜ラストのうるかは、全裸になった。
 水着を持ち出しておいて結局脱ぐなど一見無粋に思える。
 しかし後の唯我は追想する! 「脱いだからこそ水着が最高になった!」と。

197:
18/02/26 00:32:30.96 /WOoQb80.net
 くしゃくしゃになった白い水着を右掌に持ったうるかは、告げた。
「これを……使用済みの…………水着を…………使うって…………。アリ……?」
 彼女の視線は依然として嶷然(ぎょくぜん)とそそり立つ肉棒にあった。
「お前は……最高か。最高って言葉しか出せんわもう」
 水着で『こする』など変態プレイもいいところだが、少女が手ずからやるのであれば天上の奉仕であろう。
「て! てか! この水着とは別のアレ! まえ筆箱と間違えて渡しちゃった時、使ったりしてないよね……!?」
「すすする訳ないだろ! あの時ゃまだ付き合ってなかったし!! いいい、いや、筆箱のつもりだったお前が『使え』つっ
てきてたから、ほほほ本気でそっち方面かと悩みはしたけど! んなことある訳ねえし! してねェし!!」
 わたわたと言い合う2人はどこまでも初々しい。ゆえに述べるに値するのだ。
「うー。てか水着見るたび先っぽにおつゆ滲ませんのやめてよ……。恥ずかしくなってくるじゃん……」
「期待感デス……。スミマセン……」
 口がV字のカチコチ笑顔で申し訳なさげにする少年に溜息をつきながら、泉にやってきたクロヒョウのような四つん這いで
彼の股座にすり寄ったうるか、水着をそそり立つ局部へと纏わりつかせた。
「手、手でするときと要領同じでいいんだよね……?」
「すまん。それは俺も分からん。み、水着、だからな……」
 上目遣いの問いかけに情けない様子で答える少年。どうせお互い知らぬ行為なら実践以外に道はなしとばかり、うるか、
皺くちゃの水着越しに肉棒を握り……しごき始めた。
(すげえ。水着の生地もだけど、まだ残ってる武元の生暖かさが……すげえやらしい感じする……)
 掌からの圧力自体も素晴らしい。アスリートらしい筋力を、乙女の繊細な加減で調整した「成幸が気持ちよくなれる」刺激
である。それが汗を含んで湿りきった水着の、ちょっと陰部を擦り傷だらけにしそうな僅かな引っ掛かりと相まって、口や肛門
などでは味わえぬ極上のパルスを走らせる。一度しごかれるたび眼鏡少年は「っ」と息を吐く。
「気持ちいい……?」
「すごく……。いい」
 ロケーションも最高だ。競泳界ではアイドルの少女が、一糸纏わぬ姿でかつて使っていた水着に対し淫らな転用を働いて
いる。褐色の肌。日焼け跡。愛らしい顔。張りのあるバスト。きゅっとくびれたおへそ回り。細身ながらにむちむちとした腰周
り。どれも震い付きたくなる一級品の造詣だ。それらで構成された裸形を、今は水着コキに集中するあまり無防備に晒して
いるあどけなさがまた、少年をゾクゾクさせる。
(刺激だけでもスゲェのに、む、胸とか、ぷるんってしてるし……。割れ目だって見えちまうし……)
 男の”しごき”とは、よほど小説家的素養に恵まれぬ限り、生の視覚情報が必須である。ひらたくいえば「おかず」がいる。
手で奉仕してくれる少女が、その体で目を保養させてくれるとあれば、興奮は嫌がおうにも高まる。
「またカタくして……。なりゆきの……えっち」
 軽い視姦にムっと眉をいからせてみるうるかだが、頬の紅潮は満更でもない証であろう。手の動きを、早めた。
 ずっ、ずっ、ずっ。
 摩擦を強める白い水着。いつしか後ろに手をついた唯我、細面をやや仰け反らせ細く喘ぐ。
「いい。す……っげえ、いい…………」
(感じてくれてるんだ。あたしの手で…………水着で……)
 もっと気持ちよくなって欲しいと瞳を濡らした褐色少女。だが表情とは裏腹に手の動きは……止まる。
「……?」
 どうしたんだという顔をする唯我の前で、うるかは「えーと」と、まるで繕い場所を探すように白い水着を摘んだり回したり
で検分し……「ここ……」と股布の部分を掴み上げ。
 若々しい肉棒に、絡ませた。ただ巻きつけたのではない。股布のアーチの内側に引っ掛けるようにしながら、他の生地で
蜷局(とぐろ)を描くように、ベーゴマの紐でも巻くように、覆ったのだ。
「な、なんで変えたの……?」

198:
18/02/26 00:32:44.28 /WOoQb80.net
 激しい攻めを危惧したのか、ちょっと恐る恐るな眼鏡の少年の前で、「かあっ」と俯くうるか。影の加減もあり、ここまでの
激しい動きで乱れがちな前髪に両目が隠れた。
「ここ……。あ、あたしの、大事なとこが……、練習のたび……ずっと、張り付いてたトコで…………」
「っっ!」
 少年はビクリと背筋を粟立たせた。目の色を変え、下唇が競りあがるほど、彼はひどく興奮したようだった。己が分身と、
うるかの彼処(あそこ)の水着を介した間接ペッティングに、どうしようもなく倒錯したようだった。
「そ、その言葉だけで出ちまいそうなんだが……!」
「だーめ。あたしの手と、水着でイッてくれないと…………泣いちゃうよ?」
 色っぽい女の友達の顔でちょっと唇を尖らせ甘えてみせる人魚姫。「善処します……」。ちょっと顔を逸らし湯気を噴く少年
は情けない顔つきだが肉棒はますますコチコチだ。

199:
18/02/26 00:32:57.69 /WOoQb80.net
「でも水着だとこれ以上早く擦れなさそうだし……あ、そうだ」
 うるかは唯我のまたぐらへ顔を近づけ…………肉棒の上でしばらく頬をむぐむぐさせると。
 大量の唾液を、垂らした。
 瓶入りのオリゴ糖を細い口から注いだような光景だった。ねっとりとした甘やかな唾液の、幅5mmほどの透明なる筋が、
ぬっとぉトロトロとサーモンピンクの肉槍に滴下され、垂れていく。
 ぽかんと見ていた唯我だが、嚢(ふくろ)の付け根の辺りでいよいよ最終的な奔流を感じたのだろう。慌てて目を逸らす。
(だだだめだ、こればっかは直視がやばい! エロい、すげーエロい! 武元の生暖かい唾が俺の、に……! ああああ、
考えるな!! 考えたら本当出ちまうから!! あああでも唾液の垂れ方が、エロくて、エロくて……!)
 ヤバいよぅと両目を不等号にして涙ぐむ少年。
「?」
 うるかは一瞬キョトリとしたが、「もー。唾ぐらいでえっちな想像しすぎ」とお姉さんのようなやり込め笑いを浮かべつつ、
手コキを再開。


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