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ソフトバンクG、孫正義氏の持ち株比率3分の1超に
2022/12/9 18:19 日本経済新聞
ソフトバンクグループ（SBG）の孫正義会長兼社長による同社株の保有比率が3分の1を超えたことが、開示資料などで明らかになった。SBGが11月までに大規模な自社株買いを実施した結果、市場で流通する株式が減り、孫氏の保有比率が相対的に上昇した。
SBGや孫氏が関東財務局に提出した資料をもとに、自社株を除く発行済み株式に占める孫氏の保有比率を計算した。孫氏と関連会社の合計の保有比率は9月末時点では32%だったが、11月末では34%と約2ポイント上昇した。
孫氏などの保有比率が上昇したのは、SBGが大規模な自社株買いを実施したためだ。SBGは株主還元の拡充を理由に、2021年11月と22年8月の2度にわたり自社株買いを発表した。買い付け枠は1回目が最大1兆円、2回目が最大4000億円だったが、いずれも期限内に使い切った。
11月末時点でSBGが保有する自社株は約260万株と10月末から13%増え、発行済み株式全体に占める割合は15%となった。自社株を差し引いた発行済み株式が減ったことで、孫氏ら大株主の保有比率が上昇した。
会社法では株式の保有比率が3分の1を超えると、株主総会で会社にとって特に重要な事項を決める特別決議の際、単独で否決する権限を持つことになる。SBGは今のところ特別決議に諮るような事項はないとみられ、孫氏の保有比率が上昇したことによる直接の影響はないもようだが、孫氏の権限が形式上高まったことになる。
SBGを巡っては株式市場で、孫氏によるMBO（経営陣が参加する買収）の観測がある。SBGが自社株買いを進めることで孫氏などの保有割合を3分の2超まで高め、株式併合により少数株主を排除するという手段が浮上している。
SMBC日興証券の菊池悟氏は11月のリポートで、SBGは中国・アリババ集団株の放出や資産売却を進めており、その現金収入で自社株買いをしていると指摘。「遠くない将来、MBOなどによって、企業としての在り方を見直す可能性がある」とコメントした。