24/11/19 06:46:06.13 sPLXfSj70.net
少年時に見たある写真集に載っていた消えゆくSLを歌ったこの詩に感動して
作者や詩というものに関心ができた
過ぎゆくもの 谷川俊太郎
何ものの合図だろう
のろしのように一條の煙は地平にあがり
かすかなリズムは
私の鼓動そのままに
大地を伝わって響いてくる
くる
近づいてくる
まっすぐに
一筋に
私に向かってくる
まるで予感そのもののように
ときめきに満ち
しかもすでに思い出のかたちして
無骨な
律儀な
この力のあるもの
何かしら限りなく一生懸命なもの
哀しみをひきずり怒りを押し
歓びを叫び愛と憎しみをのせ
それはひとつの時代の歌を歌う
歌いながら過ぎる
過ぎ去る------
そうしていつか春の野に
ゆっくりと戻ってくるこの静寂