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家賃はかからないため、生活保護費は食費や水道光熱費にあて、最低限の生活は取り戻した。いま一日をどんなふうに過ごしているのだろうか。
「一日、ほぼ散歩してます。朝10時に目がさめて、どこでタバコ吸おうかなって考える。俺、持論があって、煙草は健康にいいってこと。煙草があるから外に出たいと思えるし、ニコチンを全身に回らせると、脳が冴えた感じがするんだよな。煙草は一日1.5箱。お気に入りの場所とか、ここで吸ったことないなって場所を探して、お昼にスーパーで弁当を買って食べて、また午後に散歩して、夜用の弁当を探しに隣町まで行く。地元にも同じスーパーあるじゃんって思うんだけど(笑)。でも、ここで買ったっていうのがいいんだよね」
鬱にならないための“秘策”は…
そんな加藤さんの日頃の楽しみは「歩きながらぶつぶつ言うこと」だとか。
「わざと聞こえるように。馬鹿だ、変な人って思われても、それを覚悟でやってるよ。ペットショップの犬に話しかけたりね。これやっていると、人と話すきっかけになることもあるんだよ。しゃべるリズムつけてんの。話してないと気が落ちるし、鬱防止で」
人の目よりも自分のメンタルを気にかけるのは、40代の時に一度、鬱を患ったことがあるからだ。
「仕事を干されかけて、隔月の雑誌に30枚の原稿を描いてたとき。『惑星スタコラ』っていう複雑で重い内容の作品でさ。ここできめないと終わっちゃうぞ、負けちゃうぞって。俺はここにいるぞってねっちりした濃密な絵を描いてたら、鬱が始まっちゃた。5巻目とかスカスカで絵が描けなくなった。心理が出たね。漫画はドキュメンタリーですよ。
俺、ヒット作ないから。ずっと“知る人ぞ知る”って言われてきたよね。俺はサブカルにもなれなかった。ガロの根本(敬)さんみたいには、真似しようと思っても無理だったもん。
最高年収は400万円くらいかなー。生活保護になろうが、漫画家をやっててよかったよ。友達の漫画家が言ってたの。『俺たちって、ペンと紙で紙幣をつくってるんすよ。原稿って、ニセ札なんです』って。そうだよな、それってすごいことだよなって。自分で紙幣をつくれるんだから、あきらめちゃいけないよね。若い子にもどんどん漫画家になってほしいよ」
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