24/10/26 14:02:32.01 yWvPFi430.net
ケンモ君は鉛筆を握りしめ、問題用紙をじっと見つめた。
「最も小さい数に丸をつけなさい」…この指示は、彼にとって挑戦を突きつけられているようだった。
彼は数の世界を知っている。1から10まで数えられるし、時には20まで行ける。
だけど、このテストは違う。学校という厳格な場所で、彼の小さな頭脳は試されているのだ。
「3…10…」
彼は頭の中で、まるでそれぞれの数字が対話をしているかのように見えた。
3は小さく、控えめで、少し頼りない風情がある。一方、10は堂々としていて、自信に満ちている。
大きく、強く、まるでリーダーのようだ。ケンモ君は少し迷っていた。
「小さい数って…見た目で小さい数じゃなくてもいいのかな?」彼は心の中で自問する。
彼の手は、自然と「10」に向かって動いていた。
「10の方がかっこいいし、きっとこれが正解だ」—彼はそう確信した。だから、迷いなく10に丸をつけたのだ。
そして、理由を書く欄を見て、彼は少し考えた。
「どうして僕は10を選んだんだろう?」自分でも理由が曖昧だったけれど、なんだか嬉しい気持ちが湧き上がった。
心の中に虹がかかったような…そんな気がした。彼はカラフルなクレヨンを手に取り、理由の欄に虹を描いた。
ケンモ君にとって、その虹は「自分が選んだ」という確信と、少しの冒険心を象徴していたのかもしれない。