20/11/07 19:53:54.60 ● BE:252452887-2BP(2000).net
URLリンク(img.5ch.net)
URLリンク(mainichi.jp)
広島大学ハラスメント相談室准教授北仲千里さん
DV・虐待の被害者ケアと支援充実を
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国、自治体による「不要不急の外出自粛」の要請で、DV(ドメスティック・バイオレンス)や虐待などで、自宅に安心していられない女性や子どもたちの問題がにわかに浮上した。NPO法人「全国女性シェルターネット」の共同代表で、広島大学ハラスメント相談室の北仲千里准教授は「DVは罪であることを社会の共通認識にする。被害者の心身のケア、経済的なサポートなど、包括的な支援体制の確立が急務だ」と指摘する。(聞き手本誌・明珍美紀)
このコロナ禍の下で、表面化した問題は。
北仲さん新型コロナウイルス対策で打ち出された1人10万円の特別定額給付金の支給事業をきっかけに、これまで埋もれていた被害者が各地にいることが分かりました。
給付金は、世帯主が一括して受け取るのが基本ですが、配偶者から暴力を受け、避難先が明らかになるのを恐れて住民票を移さないまま家を出た女性たちが「給付金を受け取るにはどうすればいいのか」と各自治体の窓口などに続々と訪れるようになったのです。
総務省は、一定の条件を満たせば、個別に給付金を受けられるようにする趣旨の運用方針をまとめましたが、申請や手続き方法は、自治体ごとにまちまちでした。要件が厳しく支援の対象にならなかった当事者もいて、不安や疑問の声が上がりました。
「全国女性シェルターネット」は4月24日に、安倍晋三首相、高市早苗総務相、橋本聖子内閣府特命担当相(男女共同参画)、加藤勝信厚生労働相あてに「特別定額給付金におけるDV・虐待被害者への配慮に関する要望書」を提出しました。
北仲さんシェルターネットは民間シェルターや性暴力被害者の支援団体などで構成されています。相談に来た被害者の声を聞くと、身体的な暴力はないものの、もう何年も家庭内別居だったり、離婚はしていないけれど「俺が稼いだ金はすべて俺のものだ」と、お金の使い方まで監視したりする「経済的なDV」に苦しんでいるケースが目立ちました。
シェルターネットは、その前の3月30日にも、安倍首相ら宛てに「新型コロナウイルス対策状況下におけるDV・児童虐待防止に関する要望書」を出しました。DVや虐待の被害者が増えることを予測し、相談窓口を閉じず、電話相談の回線、シェルター、児童の保護施設の増加など体制整備を求めた内容です。
国の対応はいかがでしたか。
北仲さん相談体制については、新たに「DV相談+(プラス)」を設けるなど、対応は予想外に早かったと言えます。DV相談+は、24時間の電話相談に加え、SNS、メール、外国語での応対も可能です。単に相談を受けるだけでなく、現実の支援につなぐとなると、相談員らのスキルが必要になるため、事業は、一般社団法人「社会的包摂サポートセンター」に委託されました。
依然としてDVや性暴力の被害が続くのはなぜでしょうか。
北仲さん制度面で言えば、日本はイスタンブール条約というグローバルスタンダードに到達していないことが挙げられます。欧州評議会で採択された「女性に対する暴力及びドメスティック・バイオレンスの防止、根絶に関する条約」(2014年発効)のことで、条約を署名した地がトルコのイスタンブールだったことから通称になりました。
12章から成る条約の核となるのは、防止(PREVENTION)、保護(PROTECTION)、訴追(PROSECUTION)、統合された政策(INTEGRATED POLICIES)という四つのPです。
条約では、DV、性暴力、セクシュアル・ハラスメント、中絶と不妊手術の強制などを犯罪とするか、少なくとも罰を与えることだと規定し、同意を得ていない性行為はレイプとみなされます。被害者の支援の水準として、専門的で、即時的、短期的及び長期的な支援サービスを実施し、すべての地域に女性シェルターを設置する(最低水準は住民1万人に対して1カ所)などきめ細かい基準が設けられています。この条約はドイツやベルギー、スウェーデンなど欧州を中心に30カ国以上が批准しています。
日本はどうでしょう。
北仲さん批准していません。しかも日本の現行のDV(配偶者暴力防止)法や刑法は不十分だと言えます。国際社会並みに「暴力は罪だ」とはっきりさせたうえで、加害者の更生プログラムなどに取り組むべきです。そして専門的な相談支援の仕組みをつくる。
シェルターネットでは、私たちが求める施策を国に提言しようと、全国の支援者、当事者らから意見を募りました。それらをまとめて9月中に公表する予定です。夫婦間のDV、恋人からのDV、ストーカーなどさまざまな被害はありますが、被害者は誰でも、相談ができて支援を受けられる体制が不可欠です。
ご自身はなぜ被害者支援を。