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戦略は「疑わしきはPCR検査を」
―東京や大阪などとは感染状況の様子が違っていると思いますが、平井知事が構想されてきた鳥取県ならではの新型コロナ対策について、教えてください。
平井 鳥取県は独特の戦略で新型コロナに向かっています。まだ感染数は少ないです。
ずっとゼロで続けてきました。これは、県民の皆さんにご協力いただいて、予防を一生懸命やってきたことの現れだと思っています。
ウイルスは人との接触で感染が広がると考えますと、初動でどういう感染者の方がいるか突き止める、つまり早めに見つけて押さえる。
これが鳥取県の考え方です。感染者がゼロの頃からどんどん病床数を増やしていきました。陽性患者の方3人に対して322ベッドです。まだ余裕はあります。
時に専門家の方がおっしゃっていて、私たちとはちょっと事情が違うなと思うのが、「PCR検査で陽性が増えると医療崩壊を起こす」という意見です。
鳥取県は「疑わしきはPCR検査をしたらいい」という態勢で臨んでいます。お医者さんが「これはちょっと怪しいね」と、検査が必要だと考えた場合は、全て検査対象にしましょうと。
PCR検査の検体数はどんどん増えてきています。ローラーでPCR検査をしても、海外や県外に行っている方の場合は必ずしも感染ルートが特定できるわけではありませんが、いかにそこから先に広げないか。
鳥取県は穴熊囲いの戦法ですね。しっかり守りを固めて、来るものはみんなで迎え撃とうと。
―PCR検査のドライブスルー方式と徒歩でも検査を受けられるウォークイン方式の導入については4月9日の会見で話されて、4月11日からという形で進んでいましたよね。
平井 病院の駐車場など、屋外に検体採取場を設けて、現場の負担軽減につなげることと、院内感染を防ぐこと。
これが大きな目的です。
この方式では、連続して検体を採取できるので1回ごとに防護服を着脱する手間も減ります。
鳥取県では、新型インフルエンザ流行時の反省をふまえて、PCR検査を行う機械の台数を増やしていたんです。
衛生環境研究所にもともとあった120検体に家畜保健衛生所から移転させた機械を合わせて180検体、さらに鳥取大学には県の補助で新たに機械を入れて16検体、合計で196検体を1日にさばけるというペースになっています。
これは全国的にみても、人口規模からしますと突出して多いと思います。
コロナ対策で「政治の話をしてはいけない」
―新型コロナに関連して、安倍首相をはじめとする政府や、都道府県知事の記者会見の様子が連日報道されています。
会見の場で、平井知事がわかりやすく伝えるために何か気をつけていることはありますか?
平井 新型コロナウイルス対策は、政治の話をしてはいけないんですよね。命と健康を守るために何をやるべきか、率直に、迅速に行動しないと解決しない。
全国的にみると、どうも政治の世界に引き込まれすぎているのかな、と個人的には懸念しています。何かのパフォーマンスであってはいけない。