18/11/22 20:54:44.67 QmBzPqS+0.net
> 「ウーッ、アイヤーッ」
> 他の杭にも同様に「捕虜」が縛りつけられた。元のところへ戻ると、上官から「初年兵を引率して、
>一人ずつ突かせろ」と命じられた。渋沢（堀口）分隊長は部下の初年兵七〜八人全員を集合させ、
>斜面の中ほど、くいから五〇メートルほど下がったところへ彼らを連れていき、縦に一列に並ばせた。
>そして「前方にいる奴は八路軍だ。突き殺せ！」と皆に言った。斜面の下の方では、大隊長や中隊長など
>上官がジッとこちらの様子を窺っていた。
> まず「匍匐前進！」と命じた。先頭の初年兵は銃剣を両手に握りしめ、匍匐で斜面を登っていく。
>堀口は先回りして「実的」の一〇メートルほど手前で待ちかまえ、そこで「突っ込め！」と命じた。
>初年兵は起き上がり、銃剣をかまえてその中国人めがけて突進していった。堀口も一緒に走って
>中国人の前へ行き、「突け！」と号令をかけた。このようにして、堀口は次々と初年兵に刺突させていった。
>杭に縛りつけられた男は、突き刺されるたびに「ウーッ、アイヤーッ！」とうめき声をたて、
>必死に苦痛をこらえて身もだえした。ずっと右の奥の方では、多くの中国人「捕虜」が怒鳴り声をあげている。
>「俺たちはただの農民だ。何で殺すんだ！」「日本鬼子！ リーベングイズ」「東洋鬼子！ ドンヤングイズ」……。
>暗くてよくは見えなかったが、そちらでも先の中国人らが杭に縛りつけられ、今まさに同じように殺されようとしている
>のだ、と思った。
> 普段の訓練では心臓を突くように教えていたが、初年兵はみな男の腹のあたりばかりを突き刺した。そのため、腸など
>内臓が血まみれになって体の外に出かかり、男はもだえ苦しんでいる。「貴様ら、どこを突いているんだ！ こうやって突くんだ、
>見てろ！」。渋沢（堀口）分隊長は、もだえ苦しむ男を見ていられなくなり、そう言って銃剣で男の心臓のあたりを一突きにした。
>男は首をガクンと垂れ、絶命した。
> 「俺も、この中国人と同じ貧しい農民の子として生まれ、虐げられて生きてきた。……『仲間じゃないのか？』と言われた時、
>それがどういう意味なのか……考えようともしなかったんです」。堀口は目をつぶってそう言い、頷きながら必死に涙をこらえている。
> 男を刺殺した後でまた斜面の下を見ると、上官らは隣の位置へ移動するところだった。おして順番に、同じように実的刺突が行なわれ
>ていった。もう辺りは暗くなり、遠くの方はよくは見えないが、一人・二人・三人……と刺突されるごとに、右側の奥の方から聞こえてくる
>中国人の怒声は激しさを増し、騒然となっていた。他の中隊でも、同時並行で実的刺突が行なわれいたのだろう、と思った。