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『チャンピオンたちの朝食』 カート・ヴォネガット・ジュニア
キルゴア・トラウトはあるとき、『調子はどうだい?』という長篇小説を書いたが、そのテーマは、あれやこれやの国民総平均だった。
べつの惑星のある広告代理店が、その世界で地球のピーナツバターに相当するものの宣伝キャンペーンを行い、大成功をおさめる。
どの広告のアイ・キャッチャーも、なんらかの平均の数字である。
子供の数の平均とか、その特定の惑星での男性性器のサイズの平均―
長さ2インチ、内径3インチ、外径4インチ1/4―とか、その他いろいろ。
どの広告も、読者に対して、自分が大多数より優っているか、劣っているかを見いだすようにすすめている。
地球人たちは、電子盗視機を使ってシャズバター食らいたちを研究し、この相手はあまりにも数が多く、
誇り高く、策略に富んでいるので、絶対におとなしく征服を受けたりはしない、という結論に達する。
そこで地球人たちは、シャズバターを得意先にしている広告代理店に潜入し、広告の中の統計数字に細工をする。
あらゆるものの平均をうんと高くして、その惑星に住むだれもかれもが、あらゆる点で大多数に対して劣等感をもつようにする。
やがて、地球人の武装した宇宙船団がやってきて、この惑星を発見する。
原住民はすっかり平均以下という自覚に落ち込んでしまっていたので、ちらほらと申しわけ程度の抵抗があっただけだ。
こうして征服がはじまる。