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日本の防衛産業に米の逆風 兵器売り込み、技術基盤喪失リスク
◆撤退や倒産相次ぐ
安倍政権下の防衛装備で目立つのは輸入の増加だ。当初予算(契約ベース)の輸入比率は11年度の7.4%から16年度には23.3%まで拡大。
このうち、米政府を通じて高性能な米国製装備品を購入する「有償軍事援助(FMS)」は実績値で、13年度の1117億円から16年度には4倍以上の4881億円に急増した。
15年度はF35-Aや「オスプレイ」、イージス・システムなどの調達が総額を引き上げた。
これに加えて、トランプ大統領は昨年11月の日米首脳会談後の記者会見で「重要なのは米国から大量の兵器を買うことだ」とさらなる輸入増を促した。
三菱重工の阿部氏は、FMSでは国内部品メーカーに「仕事が降りてこない」と指摘し、技術基盤を支えてきた企業が「いなくなっていく」と懸念を示した。
防衛省が16年に公表した調査では、関連企業72社の約7割に当たる52社が、「部品等を製造する企業の事業撤退、倒産による供給途絶が顕在化した」と回答した。
国内企業が主に建造を担う護衛艦や潜水艦、戦車と比べ、戦闘機開発の分野で日本勢の苦戦が目立っている。F2の生産が終了した11年前後には、関連企業が相次いで事業継続を断念した。
住友電気工業は防衛省向けの製品は成長性に乏しいと判断し、07年から順次縮小・撤退。横浜ゴムも10年に同省向け航空機用タイヤ事業を終了した。
拓殖大学海外事情研究所副所長の佐藤丙午教授はFMSの増加について「明らかに日本の防衛産業が、防衛省が望む物を作れていないことの証明。良い事態ではない」と指摘した。
政府は年末に「防衛計画の大綱」と「中期防衛力整備計画」を改定する。今後の装備品調達の方向性などを打ち出す一方で、技術基盤維持を唱える自民党と経費削減を求める財務省とのさや当てが早くも始まっている。
一方、財務省は、国内防衛産業の高コスト体質を問題視する。同省の審議会は5月、麻生太郎財務相に「費用対効果に優れる機種」への切り替えを提言した。
例として挙げたのは、価格上昇が著しい輸送機だ。1機当たり208億円する川崎重工業の「C2」に対し、米国製の「C130J-30」は98億円。
航続距離はC2の半分に落ちるが、東シナ海や北朝鮮を想定した展開は十分可能との主張だ。
若宮国防部会長は、5月の党会合で、「海外にある程度受注できるようになれば当然のごとく規模の経済で単価が下がってくる」と述べ、海外輸出を増やせば自衛隊の調達コスト削減にもつながるとの考えを示した。
政府は14年に防衛装備移転三原則を策定し、国産装備品の輸出に道を開いたが、オーストラリアの潜水艦受注で日本勢はフランスに敗れるなど実績はほぼゼロだ。
経団連の吉村隆産業技術本部長は、日本企業も海外で防衛装備品の展示会に参加しているが、性能に関して情報開示の規制が厳しく商談に発展していないとし、改善を求めている。
企業側は「使命感の下、歯を食い縛って続けている」が、「各社の努力も限界に来つつある」と窮状を訴えた。
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防衛費 来年度、過去最大に 概算要求5兆円超か
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