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花春酒造（若松）事業譲渡 会社清算、銘柄と雇用継続へ
会津地方を代表する醸造業の花春酒造（本社・会津若松市、宮森泰介社長）は酒造事業を別会社に引き渡す方向で最終調整に入ったもようだ。
受け入れ先は、県内に本社を置く東証１部上場企業などが新設する会社になるとみられる。花春酒造は約３００年の歴史に幕を下ろすが、「花春」
銘柄と従業員の雇用は守られる見通し。
関係者によると、花春酒造は長期的な日本酒市場の縮小と東京電力福島第一原発事故の風評による顧客の減少で売り上げが落ち込み、
１億円超の負債を抱えているという。現体制では完済できないと判断し、資産などを処分して会社を清算する方向となった。
新会社は近く設立され、全従業員約３０人を引き継ぎ、１０月上旬にも会津若松市の花春酒造神指工場での酒造事業の開始を目指す。
花春酒造は享保３（１７１８）年に井筒屋として創業した。昭和１８年に戦時統制令により若松酒造花春工場、昭和２８年には花春酒造と社名を変え、
主要銘柄「花春」を中心に売り上げを伸ばしてきた。平成１７年に市内の花春町から神指町に本社と工場を移転し、全国販売を視野に事業規模を拡大した。
優れた酒造りの技術で、２３年と２５年に「濃醇純米酒」が全国新酒鑑評会（独立行政法人酒類総合研究所主催）で金賞を受賞した。２７年には「純米大吟醸酒」が
全米日本酒歓評会（国際酒会など主催）でグランプリに輝くなど国際市場でも高い評価を得てきた。
会津地方では今年６月に榮川酒造（本社・会津若松市）の経営が逼迫（ひっぱく）し、政府系ファンドの地域経済活性化支援機構の再生支援を受けた。
現在は東京都の食品関連企業の子会社として「榮川」の銘柄を維持しながら再建を図っている。
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