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週刊文春 9月7日 16時1分
整備予算の膨張が問題となっている東京五輪の「海の森水上競技場」の入札に、専門家から疑問の声が上がっている。
ボートとカヌー・スプリントの競技会場となる「海の森水上競技場」は、東京都が整備予算を負担する恒久施設の一つ。
開催都市立候補の段階では約69億円の予算だったが、開催決定後、周辺工事費用などが含まれていなかったとして約1038億円まで膨れ上がった。
結局、試算を見直し、約491億円となったが、小池百合子知事は「500億円を海に捨てるようなもの」と批判している。
「海の森水上競技場」のグランドスタンド棟や水門などの整備工事は、新国立競技場を受注した大成建設を中心とするJV(ジョイント・ベンチャー)に決まったが、異例ずくめだった。
まず入札に参加したのは大成のJVのみだった。また、248億9863万9680円の予定価格に対し、大成のJVの入札価格は248億9832万円だった。
予定価格を上回れば、入札不調となるが、わずか31万円ほど安いギリギリの価格での落札で、落札率で言えば99.99%となる。
20年以上、公共工事をウォッチしてきたという法政大の五十嵐敬喜名誉教授が語る。
「官製談合を疑われても仕方がないケースです。落札率が99.99%で価格点は限りなくゼロに近く、技術点も60点中36点と非常に低い。
しかも、これだけの大規模工事にもかかわらず、技術提案書締切の後、技術審査委員会は2回しか行なわれていません。
他の恒久施設の審査では外部有識者がいるのに、今回は審査委員6人のうち5人が都港湾局の職員です。こうした点からも、公平性・透明性に欠けると言わざるを得ません。入札過程を検証する必要があります」
大成建設の広報は、週刊文春の取材に対して、次のように回答した。
「工事受注者の選定につきましては、適正な手続きに基づき行われているものと認識しております」
発注者の都港湾局も「落札者の決定は適正に行われております」と回答した。
「海の森水上競技場」については、巨額の予算だけでなく、風や騒音の問題で選手や競技団体からも批判の声があがっており、今後論議を呼びそうだ。
週刊文春9月8日発売号では、森喜朗・東京五輪組織委員会会長と大成建設など五輪施設受注企業との関係について詳報する。
<週刊文春2016年9月15日号『スクープ速報』より>
「週刊文春」編集部
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