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「反日のクズ記者は出ていけ!」
東京の有楽町にある日本外国特派員協会(FCCJ)は「Number 1 Shimbun(ナンバーワン・シンブン)」という英字誌を発行している。
この英字誌は、FCCJの会員である在日外国人記者などによって執筆・編集されている月刊誌だ。
日本絡みの話題を、日本人とは違う視点で取り上げているため、著者もチェックしている雑誌の1つである。
その2016年1月号に、非常に興味深い記事が掲載された。英エコノミスト紙のデイビッド・マクニール記者によるその記事は、
「In the valley of the trolls(トロールという敵だらけの世界で)」というタイトルで、日本の「Troll(トロール)」について触れたもの。
トロールとは、インターネットなどで”荒らし”をしたり、個人攻撃をする行為を指すスラングだ。
この記事によると、日本の政治や経済、社会問題などを世界に向けて発信する、いわば対外的な情報の発信源である在日外国特派員らが、
インターネット上で酷い誹謗中傷を受けている、というのだ。
著者はその状況を知るために、欧米の大手メディアで働く記者らに話を聞くことにした。そこには日本人の知らない、外国人ジャーナリスト独特の苦悩があった。
日本で「ネトウヨ」や「ネトサヨ」、そして「炎上」という言葉が一般的に使われるようになって久しい。
発言に影響力のある人々が、四方八方から感情的な暴言の総攻撃を受けることも少なくない。その対象が外国人記者相手となると、攻撃の言葉は独特のものになる。
「英米豚」「反日外国人」「売国奴」「北朝鮮のスパイ」「極左朝鮮人」……。
こうした誹謗中傷の言葉が、英語と日本語の両方でしょっちゅう彼らに投げつけられているのである。
女性記者には「レイプする」なんてコメントも普通に届くという。
「ナンバーワン・シンブン」誌に寄稿したマクニール氏は、もっともトロールに遭ってきた在日外国人記者の1人だと”自負”する。
同様の被害を受けている仲間たちの話を以前から耳にしており、その実態を伝える必要があると感じ、トロールについての記事を書いた、ということだ。
マクニール氏の被害の一例を紹介しよう。彼は昨年、国境なき記者団が公表する「世界報道自由度ランキング」で、
日本が2011年以降順位を落としている、という記事を書いた。
その直後である。「お前は反日のクズだ。お前のような売国奴たちのせいで日本が弱体化している。
日本から出て行け、馬鹿野郎」という感情的に誹謗中傷するコメントが記事文末にあるコメント欄に書き込まれた。言うまでもないが、ランキングを作っているのはマクニール氏ではない。
また最近マクニール氏の書いた「エコノミスト」誌のウェブ版記事のコメント欄にも、英語で書かれたこんなコメントを発見した。
「デイビッド・マクニールはジャーナリストと認識されるべきではない。極左の活動家である」「デイビッド・マクニールは陰謀論者」
そう指摘した上で、彼がスキンヘッドであることから、「自分のハゲ頭も安倍首相の策略だ、とでも言うのだろう」と書くコメントもある。
また「彼の記事が掲載されなくなればすぐにでも料金を払って定期購読を始める」とのコメントも発見した。ここまでくると完全な営業妨害である。
マクニール氏が最初に自分への攻撃が増えていることに気がついたのは2015年のことだった。
2011年にアカウントを作ったツイッターに送られてくるメッセージに、突如誹謗中傷の類のものが急増したからだ。
「売国サヨク」「豚」「反日外国人」といったツイートが日常的に見られるようになったという。
「問題を冷静にディベートするのならいいのですが、個人的に来るので……まさにイジメに近いですね」と、彼は嘆く。
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