19/06/13 14:01:41.04 .net
>>51
「おいおい、東宝が特撮映画を作ってるぞ! ウチだって戦争映画とか、
『釈迦』みたいな歴史モノのスペクタクルを撮るための特撮班があるじゃんか。
だったらウチでも作れるだろ? これくらいの予算でゴジラシリーズみたいな映画を撮れよ!」と、
大映本社は言ったんですけど、現場は「いや、ちょっと待って。
怪獣映画って、デカいセットいるし、特撮やらなきゃいけないし、金が掛かるんですよ。
この予算で怪獣映画やるんだったら、もうモノクロにしか出来ません!」と。
そんなふうに喧嘩しながら制作した映画が『大怪獣ガメラ』なんですね。
この作品、制作中は現場でも顰蹙もので、「ついにウチも怪獣映画なんかやるようになっちまったのか。しかも、亀かよ!」
なんて言われてたんですけど。
いざ、前売り券を売り出したら、これがメチャクチャ売れて、公開後には大ヒットになってしまったんですね。
逆に、本家の東宝は『フランケンシュタイン対地底怪獣』という映画を作ったんですけど、
あの、これ、すごく良い映画なんだけど、あんまりヒットしなかったんですね。
結果、「やっぱりゴジラじゃないとダメなんだ」ということで、その年の12月に『怪獣大戦争』というのをやります。
・・・
ローマ帝国というのは、外側と内側にそれぞれ滅びる要因がありました。
外側の要因は、もちろん“ゲルマン民族の大移動”。内側には“キリスト教”というのを
自分たちの国教にしてしまうということが、逆に首を締めることになったんですね。
同じく、ゴジラ映画も、1966年にブームの頂点が訪れたと同時に、滅びの要因というのがやってきたんです。
外側の要因は、ゲルマン民族ならぬ、『ウルトラQ』『ウルトラマン』などの怪獣が見られるTV番組の放送開始と、
『ガメラ』などの他所の会社の怪獣の登場です。
そして、内側の要因は、さっきも話した「ゴジラが正義の味方になって、さらにキャラクター化してしまった」ということでした。
特にこの『怪獣大戦争』というやつは、ゴジラがハッキリと正義の味方になり、
おまけに「X星に連れて行かれたゴジラが“シェー”をする」というところまで見せてしまったんですね。
それも、連続3回くらい。飛び上がって、シェーをしてしまった。「これで子供らも喜ぶだろう」と思ったんですけど。
こんなふうに、子供に愛されよう好かれようとして、徐々に徐々に「馬鹿らしいな」と思われて見放されるようになってしまった。
その意味では、この65年から66年というのは、ものすごい1年間だったんですよ。
まず、お正月の1月1日に、毎週テレビで新作怪獣が無料で見られるという『ウルトラQ』がスタートしちゃって、4月に『ガメラ対バルコン』。
ガメラも2作目で、ついにカラー化です。それも、1作目は76分しかないのに、2作目はいきなり2時間という大怪獣対決モノです。
そして、7月にテレビのカラー放送で『ウルトラマン』と『マグマ大使』がほぼ同時に始まるという、
もう、子供にとっては“1日中怪獣漬け”という環境がとうとうやってきちゃったんですね。