19/06/13 13:59:18.51 .net
例えるならば、この20年以上に渡る怪獣ブームというのは“ローマ帝国”みたいなものなんですね。
1954年から75年まで、この20年以上に渡って、ほぼ子供文化というのは、怪獣帝国に支えられていた。
しかし、その巨大な帝国も徐々に滅びていって、ロボットアニメとか仮面ライダー、
スポーツ漫画などに攻められ、ついには滅びてしまうわけですね。
でも、そういった『マジンガーZ』などの巨大ロボットも、実は、怪獣帝国の遺跡の上に建てられたものなんですよ。
『マジンガーZ』に出てくる“機械獣”という敵のロボットは、機械の怪獣であって、
『機動戦士ガンダム』が登場するまで延々と、敵の巨大ロボットには“叫び声”があったんですね。
「行け!機械獣G7!」とか「VX!」と言われると、「ギャァー!」とか「ガオー!」とかって言って出てくるものだったんですよ。
『UFOロボグレンダイザー』とか、『コン・バトラーV』とかは、もっと酷かったと思うんですけど。
叫び声を上げて出てくるし、もう「ロボット」とは名ばかりで、撮り方にしても登場の仕方にしても実際の戦闘方法にしても、
実は怪獣モノというジャンルを、単にアニメに置き換えて、モダンなマシンにお化粧直ししただけなんですね。
だからこそ、『機動戦士ガンダム』という、本物のロボットを扱ったアニメが出てきた時に、
アニメファンはすごくビックリしたわけですね。
なんせ、ロボットなのに叫び声あげないから。いや、今ではそれが当たり前なんですけども。
それまでずっと敵のロボットは、登場する時に叫び声をあげてたんです。
『ゲッターロボ』に出てくる敵ロボットなんて、「ゲッタートマホーク!」って胴体を真っ二つに割ったら、
中から血が出てきて内蔵が飛び出すわけですよ。
その血の色が、オイルの色に塗ってあったり、内臓が機械で描いてあるんですけど。
そういった機械の間にあるのはなんか太めのケーブルで「これ、どう見てもこれ内蔵じゃん」というやつで繋がっているわけで。
もう本当に、怪獣モノの描き方でロボットモノというのは描かれていたわけなんです。
当時の子供文化の研究家とか評論をしているような人は、よく「怪獣の時代からロボットの時代になった」って言うんですけど。
実際には、そうではなくて「アニメで描いた方が自由度が高かったから」なんですね。
これは、後ほど話しますけど、実は、怪獣映画にも、いわゆる『ウルトラマン』などのTVシリーズにしても、
致命的な欠陥があって、子供達が楽しく見るには適さない部分があったんですよ。
そんな中、アニメーションというのは、それを軽々と超える事ができた。そのおかげで、
怪獣ブームというのはロボットブームに上手く移行できたわけです。
なので「僕らが知っているロボットアニメブームというのは、ロボットアニメという単独の流れの中にあるのではなく、
この怪獣ブームというローマ帝国のような巨大な文化の遺跡の上に建っている建物だ」というふうに考えてもらうと、
ちょっと話がわかりやすくなると思います。