17/10/24 11:34:14.06 .net
>>575
というのも、最初に言った通り、彼にとってのエイリアンというのは、あくまで“借りてきた話”だから。
最後にあそこに戻ろうだなんて、絶対に考えないと思うんですね。
それよりも、もっと大事なテーマを見つけちゃったんです。神と人間の関係の話を描きたいというのが、もう、明らかなんですよ。
・・・
僕ら日本人からしたら、『プロメテウス』って、何が何だかよくわかんない話じゃないですか。
すごく期待して映画館に行ったんだけども、「え? これで終わり?」と思って。
次に、「じゃあ、この続編のコヴェナントを見れば、わかるのか?」と思ったんだけど、
コヴェナントもコヴェナントで、なんかスッキリしないんですよね、正直な話。
なぜかというと、リドリー・スコットが何を描きたいのかが、僕らにはよく見えないからなんですよ。
でも、実は、さっき話した『2001年宇宙の旅』も「人類が、人類を創った神様に会いに行く」という、似たような話なんですよ。
たぶん、ブレードランナーを撮ってしばらくした時に、リドリー・スコットは「自分の生涯のテーマはあそこにある」って気が付いたんですね。
「俺は2001年みたいなことをやりたいんだ!」と。そして、近年、やっと自分の好きなように映画を作れるようになってきてから、
徐々に徐々に、そっちの方向に戻してきた。
ブレードランナーを撮った当時のリドリー・スコットは、エコロジーとか、そういうものに興味がなかったので、
原作の持っていたそういった要素を脚本からガバッと抜いちゃったんですけども。
だけど、同時に、物語後半では、「ルドガー・ハウアー演じるロイ・バティが、
自分の創造主であるタイレル博士に会いに行き、そして殺す」というシーンを描いているんですね。
やっぱり、ここで描いたこういったテーマが、何年も経ってから、自分の中ですごい強い想いとして帰ってきて、
「これを描くしかない!」というふうに思うようになった。それが現れているのが、
『エイリアン:コヴェナント』と『ブレードランナー2049』だと思います。
・・・
プロメテウスというのは、さっきも言った通り「人間が自分を創った神様に会いに行く」という話なんですよ。
ところが、神様に会いに行く途中の人間は、冷凍睡眠で寝たきりなんですよね。
それに対して、人間に創られたアンドロイドのデイヴィッドっていうヤツは、自分の創造主が寝ている間、
ずっと起きていて、その周りで、楽しそうにバスケットボールをしたり自転車に乗ったりしてるわけですよ。
彼にしてみたら、自分を創造した神様が、みんなグーグー寝ている中で、「早く起きねえかなあ」というふうに待っている。
そういった、「俺の神様、早く起きないかなあ」と待っているデイヴィッドと、
「神様に会いに行くんだ!」と思いながら寝ている人間という、この皮肉な状況というのをリドリー・スコットは作っているんです。