16/08/05 10:55:55.35 .net
>>342 (続き)
今回のシン・ゴジラは、登場人物はほぼ全員、政治家か官僚なんです。なので全員、早口で熟語ばっかり しゃべる。
これは庵野監督と樋口監督と、官僚とか政治家を取材したから。全員が、すごく難しい四文字熟語を使って、すごい早さで しゃべってたの。
それで俳優さんに「熟語を早口で しゃべってくれ」と言ったの。主演の俳優さんに「もし ゆっくりしゃべったら、そのシーンはカットしますよ」と脅したそうなんですね。
すると、全員の演技のレベルは下手なんですけども、みんな上手く見えるんですね。早口で、やりとりをしているだけだから。
官僚も表情が無いので、無表情なのも気にならない。変に感情を入れないから、含みがあるようにも見える。
これは演出の勝利です。
実相寺昭雄が、役者の演技が下手でセットがせこいから、魚眼レンズでドーンと寄って撮ろうとしたのと同じ。
「役者さんのレベルがこれぐらいなんだったら、ぜんぶ早口でしゃべらせて、情報量を上げてしまおう」そんな演出の勝利なんです。
ここで唯一、損をしているのが 石原さとみ です。石原さとみ も、もちろん下手です。他の役者と同じです。
だけど、石原さとみ だけ感情を入れた普通の人間として しゃべってるんです。その結果、官僚や政治家は下手に見えないんだけど、石原さとみ だけ 下手に見えるというハンデがある(笑)
みんなが「石原さとみ は、ダメだ!」と言うのは分かるんです。僕も 石原さとみ は、ダメだと思います。
でも、あの映画に出てるヤツはほぼ全員ダメなんですよ。ただ、それを隠せる演出をしてたんです。
石原さとみはキャラクターの用法上、感情を出さなきゃいけない しゃべり をしているので、下手さがバレてしまった。だけども、他の人は、みんなバレていないという。
“ダメ演技の壁”を破る為には、こんな方法があったんだ。それが、僕は面白かったです。