25/04/08 02:37:19.96 2GrQSJze.net
プロローグ
——夜空が焼けた。
星ひとつ見えぬ暗黒の空に、突如として浮かんだ巨大な影。
それは、空にぽっかりと開いた“穴”から現れた、金属の怪物だった。
鋼鉄の殻をまとい、甲高い音を響かせて降下してくる無数の円盤。
地上に達した瞬間、火花とともに脚を生やし、やつらは動き出した。
ひとつの意思に従い、無表情に、無慈悲に、世界を侵食していく機械の群れ。
人々はそれをこう呼んだ。
——「インベーダー」
アリアハン王国は、すでに半壊。
空は焦げつき、海は機械に飲まれ、森は焼かれた。
この世界が終わるのは、時間の問題だった。
だが、その時。
「んー……昼寝しすぎたわー。で、なんかあった?」
寝ぐせ全開、木の枝をくわえたまま現れた、世界一頼りない男。
その名は——
勇者ヘッポコ。
伝説の剣をなくし、魔法も苦手で、方向音痴。
だけど、なぜか世界を救う役にされてしまった、どこにでもいる男。
「ま、機械もぶっ壊せば終わるっしょ!」
そう言って、インベーダーに向かって棒切れを構えた。
世界は今、最もヘッポコな勇者にすべてを託そうとしていた——。
2:創る名無しに見る名無し
25/04/08 02:38:32.66 2GrQSJze.net
「ヘッポコー!起きてよ、ヘッポコーッ!!」
朝っぱらから町中に響き渡る悲鳴——というか怒鳴り声。
声の主は、ヘッポコの幼馴染にして、王国の見習い魔法使い・ミミだった。
「ふぁ〜……あー、ミミか。おはよ〜。今日の朝ごはん、なに?」
「バカァ!朝ごはん食べてる場合じゃないの!!アリアハンが、アリアハンがっ……!」
ミミの指差す空を見上げて、ヘッポコの口から、ようやく言葉が漏れた。
「……え、なにあれ。月、でかくなってない?」
「違うっ!アレは月じゃない!インベーダーよっ!!」
ドンッ!!!
突如、城の塔が爆発した。火の玉のように飛び散る石。泣き叫ぶ民。
だが、なぜかその中心に立つヘッポコだけは、のんきにボリボリと耳を掻いていた。
「なーんだ、ただの侵略かぁ〜……」
「“ただの”って何よ!?このままじゃアリアハンが滅んじゃうのよっ!!」
「ふむ……それは困るな。ここ、俺の昼寝スポットだし」
「そこ!?そこ守るの!?」
空からは、次々にインベーダーの円盤が降りてくる。着地と同時に機械脚を展開し、街を蹂躙し始めた。
兵士たちはなす術なく倒れ、魔法も弾かれ、町は火に包まれていく。
だが——
「よっし、じゃあ、いっちょやるか」
ヘッポコは倒れていた近衛兵の槍をひょいっと拾い、逆手に持つと、その場でひとつ深呼吸をした。
「インベーダー?
……うちの風呂より熱くしてやんよ」
そして次の瞬間——
ガゴォォォン!!
無造作に投げつけた槍が、空飛ぶ円盤を直撃。
ド派手な爆発とともに、金属の残骸が空から雨のように降り注いだ。
ミミ「え、当たった!?ていうか、爆発した!?ていうか……なんで今のが効くのよ!?」
ヘッポコ「ふふん……俺、実はね。狙ったわけじゃなく、なんとなく投げただけ〜」
ミミ「自慢になってないわよっ!!!」
燃え上がる城下町。降り続ける機械の雨。
だがその中心に、ひとり立ち上がる男がいた。
そう、勇者ヘッポコ。
インベーダー作戦、始動のときである——!
3:創る名無しに見る名無し
25/04/08 02:41:18.82 2GrQSJze.net
「うおおおおおおっ!! こっちに来るぅぅぅ!!」
町の広場では、巨大な円盤型インベーダーがぐおんぐおんと低音を響かせながら、地面を引き裂くように進んでいた。
見た目はどう見ても、空飛ぶ鍋のフタ。
しかしその破壊力は、まさしく一国を滅ぼす兵器であった。
「な、なんなのよアレ……ミサイルとか、ビームとか、普通に撃ってくるじゃない……!」
ミミは必死に防御魔法を展開するが、インベーダーのレーザーが地面を焼き、建物を一瞬で溶かしていく。
「ちょっ、ちょっとぉ!!ヘッポコ!何してんの!?あれ壊さなきゃマジでアリアハン終わるってば!」
「むーん……でも俺、鍋のフタと戦う趣味ないしなぁ〜」
「もう鍋のフタって言うのやめて!!」
が、その瞬間——
ヒュゥゥゥ……ボゴォォォォォン!!!
インベーダーの機体が、またもや大爆発を起こした。
飛び上がる煙。爆風に吹き飛ばされる雑魚機械兵たち。
その中心にいたのは、さっきまで寝てたはずの男——ヘッポコだった。
「……ミミ、俺、気づいたわ」
「何に!?」
「アイツら、たぶん……叩けば壊れる」
「それ最初から言ってたぁぁぁぁ!!!」
ヘッポコは空中でくるりと回転しながら、鍋フタに向けて自分の靴を投げつける。
それがピンポイントでレーザー砲台に命中し、ボンッと火花を散らして機能停止。
「靴が武器になってる!?ねぇ、どういう理屈なのそれ!!」
「うーん……わかんない。けど、なんかノッてきたー!」
ヘッポコは民家の屋根をぴょんぴょん飛び移りながら、次々と機械を蹴り壊していく。
飛び交う火花と叫び声の中、彼の動きはまるでダンスのようだった。
「ふぅー……楽しい戦いだったな〜。さて、もう昼寝していい?」
「ダメよ!ぜったいにダメ!!まだ敵いっぱいいるから!!」
ミミが叫んだその時、町の外れから凄まじい爆音が響いた。
ズガァァァァァン!!!
地面が隆起し、黒煙とともに現れたのは——
「……なにあれ、超でっかい鍋のフタ?」
「違うわよ!!アレは指揮機体よ!インベーダーの親玉!!」
円盤より一回り大きく、装甲も分厚い、まるで要塞のような巨大機体がこちらに迫っていた。
ミミ「どうするの!?今のあなたの靴、もう片方ないでしょ!?どう戦うのよ!」
ヘッポコ「……うん。そうだな。
でもさ、ミミ」
「……な、なによ?」
「俺のパンツ、まだ投げてない」
「やめてええええええええ!!!」
町を救うのは、勇者の剣でも、伝説の魔法でもなかった。
そう——
パンツとノリだけで、世界を救う勇者の物語が、今ここに始まる。
4:創る名無しに見る名無し
25/04/08 02:46:25.95 2GrQSJze.net
町の空を覆うように現れた巨大な影は、風の流れすら止めていた。
それはただの機械ではない。
死を孕み、沈黙のうちに、全てを終わらせる意志を持っていた。
砲口が開いた。
閃光とともに、広場にいた兵士たちの身体が焼け、溶け、吹き飛んだ。
叫び声すらも、間に合わない。
一瞬のうちに、アリアハンの正門が崩壊し、王城の塔が崩れ落ちる。
その瓦礫の下で、誰かが手を伸ばしていた。誰かが、名を呼んでいた。
誰かが、もう動かない。
ミミは唇を噛み、声も出せずにその光景を見ていた。
ヘッポコだけが、その場に立っていた。
「……」
彼の足元には、少女の腕が転がっていた。
まだ温かい。まだ新しい。
ついさっきまで、生きていた命だった。
インベーダーは、生物を捕らえ、解体し、熱処理し、再利用していた。
骨も、血も、感情も。
すべてが資源として分類され、無表情な機械に投げ込まれていく。
それは戦争ではなかった。
それは、狩りだった。
「なんだよ、これ……」
ヘッポコの声が震えた。
笑いは、もうそこにない。
どこを見ても、立ち上がる者はなく、あったはずの町は灰の中に沈んでいた。
「ミミ、下がれ。ここから先は……俺ひとりでいい」
そう言って歩き出すヘッポコの背に、ミミは言葉をかけられなかった。
彼の背が、いつもより遠く見えた。
歩くたびに、血を踏む音がした。
5:創る名無しに見る名無し
25/04/08 02:49:34.63 2GrQSJze.net
瓦礫の山に、ひときわ異質な光があった。
それは封印の剣。アリアハンに伝わる、勇者の証。
かつての王が封じた、破壊神ヴァグズとの戦いに使われた剣。
選ばれし者しか、触れることもできないはずのそれを、ヘッポコは静かに手に取った。
手にした瞬間、剣は白く光り、微かに鳴いた。
応えるように、空にいた巨大インベーダーが、ゆっくりとこちらに向きを変える。
「……ああ。俺がやるよ」
その声には力がなかった。
ただ淡々と、終わらせる覚悟だけが滲んでいた。
戦いではない。これは処刑だった。
人類に対する、異星からの宣告。
それでも、ヘッポコは進んだ。
剣を抜き、焼けた町の中心に立つ。
顔も名前も知らぬ誰かの亡骸を踏まずには進めない、血の道を歩きながら。
そして彼は、黙って呟いた。
「これが……勇者の役目か」
そのとき、剣が唸った。
アリアハン最後の勇者。
その名は、誰にも知られることなく、戦いの渦に消えていく。
沈む夕日が、赤ではなく、
ただ血の色を映していた。
6:創る名無しに見る名無し
25/04/08 02:56:50.88 2GrQSJze.net
アリアハン全土が灰と化し、涙も出ないほど絶望に包まれたそのとき。
その中心に、パンツ一丁の男が立っていた。
風にたなびく白ブリーフ。
勇者の剣を背負い、胸には「肉」と書かれたハチマキ。
どう見ても真面目な戦士ではない。
「聞けぇぇぇい!!貴様ら機械どもぉぉぉ!!」
ヘッポコは、焼けた城のてっぺんに登り、ズボンを脱いでパンツを高々と掲げた。
「これがッ!アリアハン式・全面降伏の合図だああああ!!!」
「やめろおおおおおお!!逆効果だってぇぇぇ!!」
瓦礫の陰からミミが叫ぶ。
だが時すでに遅し。巨大インベーダーが警戒音を鳴らし始める。
ブオオオォォォン!!
「ちょっ、こっち来てる来てる来てる来てるうう!!」
「よーし、これで奴らの視線を完全に奪えた!この隙に忍び込むぞ、ミミ!」
「アンタのブリーフに世界救える力あるわけないから!!」
しかしそのとき、なぜか巨大インベーダーが停止した。
電子音と共に、機体上部が開き、ぬるりと何かが現れた。
「……人型……?」
「いや、アレは……パンツ履いたタコだ!!」
現れたのは、上半身が人、下半身がタコ、そしてブリーフ姿という、圧倒的存在感の生命体。
そしてタコは、ヘッポコを指差して言った。
「アナタ、勇者。我々、感銘受ケタ。ワレワレノ文明、パンツ信仰ナリ」
「…………は?」
「アナタノ白ブリーフ、伝説ノ布。我々、崇拝スル。コレ、宇宙ノ掟」
沈黙の後、ミミが呟いた。
「ちょっと何言ってるかわかんない……」
だがヘッポコは満面の笑みで、ブリーフを握りしめた。
「そうか……そうだったのか。俺のパンツは、宇宙を導く聖遺物だったんだな」
「やめてよ!その顔で言わないでよ!!」
こうして、アリアハンは滅びかけたが、パンツの力で滅亡を回避した。
勇者ヘッポコ。
ブリーフ一枚で銀河の平和を守るその男は——
「次なる目的地、パンツ星団へ向かう!」
「行かないでぇぇぇぇぇ!!!」
戦いは、まだ始まったばかりである。
7:創る名無しに見る名無し
25/04/08 16:16:48.85 ccSU2HFM.net
ヘッポコはいずこからとも無く現れた巨大オオスズメバチに拐われ餌にされたのである。どこか遠くに連れて行かれるヘッポコであった。
8:創る名無しに見る名無し
25/04/11 02:44:46.31 wCUfqhok.net
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♭音符休符採り
ことメイルダ・マチさんステキ💓
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♭音符休符採り
ことメイルダ・マチさんステキ💓
「私、♭音符休符採り のハンドルネームを使ってTikTokでカバー演奏と自作曲(一部)の演奏載せています。聴きに来ていただけたらと思い
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ことSeirios・A ◆RbpAJOf656 さん
ステキ💓
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