25/04/07 15:50:05.99 m8lryF/W.net
プロローグ
「ロトの血を引く者―その者、現れしとき、世界は闇より救われん」
そんな言い伝えなんて、信じてるヤツの方が少ないこのご時世。ラダトームの片隅で、ひとりの青年が目を覚ます。
「……あー……寝違えた……」
ヘッポコ。その名の通り、ポンコツ。
だが、運命はそんな彼を見逃さなかった。
第一章 呼び出し
「勇者ヘッポコよ!」
いきなり城に呼び出され、王様から叩きつけられたのは無茶なミッション。
「我が娘ローラが、竜王にさらわれた。頼む、お前しかいない!」
「……いや、待って。なんで俺? 武器も装備も知識も何もないんだけど?」
「ロトの血を引いているからだ!」
「それって証拠あるの? DNA鑑定とか―」
「黙れ、行け!!」
王様に背中を押され、勇者ヘッポコ、旅立つ。
第二章 ポンコツ、旅をする
はじめての冒険。はじめての戦闘。はじめての敗北。スライムに追い回されて転び、薬草を食べすぎて腹を壊し、夜の宿屋で「あの王様、絶対に俺のこと適当に選んだよな」と愚痴る。
だけど、諦めない。
「……姫さん、見ず知らずの俺に助けを待ってるって……正気かよ。……でもまあ、誰かが行かないとな」
本気で「誰か行ってくれ」って思ってたが、自分が行くしかないらしい。
第三章 洞窟の奥、かすかな声
ローラ姫が閉じ込められているという洞窟。
闇の奥から、かすかな声が聞こえる。
「……勇者さま……」
「……!」
その声に導かれ、ボロボロになりながらもヘッポコは進む。毒の沼地も、幻の壁も、モンスターの巣も―全部、素通りした(迷ってただけ)。
だが、たどり着いた。姫のもとへ。
第四章 再会
「……あなたが、勇者さま……?」
「まあ……たぶん?」
「助けに来てくださったのですね……ありがとう」
「え、うん。あの、すごく近いんだけど……顔。あ、やばい、鼻血出る……」
ローラ姫に抱きつかれ、完全に処理落ちするヘッポコ。でも、姫は笑っていた。心から。
第五章 竜王城へ
「世界の半分を、お前にやろう」
竜王の申し出に、ヘッポコは鼻で笑った。
「いや、結構。俺、面倒くさいの嫌いなんだわ。
世界の半分とか管理とかムリだし。ローラの笑顔だけで十分なんで」
「……ならば滅びよ!」
最終決戦。燃える空。崩れ落ちる床。
武器はボロい鋼の剣。でも、ヘッポコの目だけは、真っ直ぐだった。
「俺だって、本気出せば……やれるんだよ!!」
勝った。いや、勝ち抜いた。
エピローグ
「勇者ヘッポコよ、ローラを嫁にくれてやる!」
「えっ、いや、そんな、もったいないというか……俺、勇者ってより雑用係って感じだし……」
「気にするな。あの子はずっと、お前のことを夢で見ていたらしい」
ローラ「はい、ずっと……“ヘッポコさま”のことだけを……ぽっ」
ヘッポコ「……そ、それ俺でいいの? 名前、たぶん間違ってるんじゃ……?」
ローラ「間違っていません。私はあなたのこと、ずっと待ってましたから」
―そして、ラダトームにふたりの影が寄り添う。
新たな伝説が、ここから始まる。