幻想入りの話しを書くスレat MITEMITE
幻想入りの話しを書くスレ - 暇つぶし2ch215:創る名無しに見る名無し
16/06/20 22:41:08.00 t+glIRoL.net
「一先ず3人。後は誰が付いていくかだホ」
ちらりと女性人を見れば、既に二人が進み出ていた。マミゾウと萃香だった。
「儂が旦那と行こう。儂とて新参じゃが、何、戻れなくても実時間で合流すれば良かろう」
「おばちゃん!……こいつをよろしく頼むホ」
「しおらしいのう。こういう空気は嫌いじゃないぞえ」
 フロストは黙っていた。その手があったかと思ったが、パスカルがこの瞬間に至るまで
何がどうあったのか、正確な時間が図れないし到底無事には済まないので黙っておくこと
にしたのだ。
「オニの誼さ。面白そうだし、私もいくよ」
「姐さん!」
 萃香は千鳥足のまま言う。彼女にとっては戦も祭りで、生き死にを賭けることも悪魔と
して当然覚悟を持っている。
「お前、絶対こいつの足引っ張るなホ!こいつが食いしばったら面子立てろホ!」
「いいねえ。そいつ聞いてますますワクワクしてきたよ!」
「本当にわかってるかホ!」
 フロストがキレ気味に言う。何故かフロストは萃香を見ると妙に苛立つのだ。虫が合わ
ないとはこのことか。
「ジードは」「私が行くわ」
「その声は!?」
「話は聞かせてもらったわ」
 人形に障子を開かせて入ってきたのは七色の人形使い、アリス・マーガトロイド!
「アリス!できる女アリス!なんでいるんだホ?」
「あの後、あなたに言われたことが頭から離れなくて。やっぱり付いていこうと思って先
回りしたつもりだったけど、隙間に飲まれていたとはね。取り込み中だったから話が落ち
着くまで出るタイミングを計っていたのよ」
 かくかくしかじかの辺りで既にいたのだが、彼女は出番を待ったのだ。気配りである。

216:創る名無しに見る名無し
16/06/20 22:41:26.48 t+glIRoL.net
「その造魔には私が付くわ。最悪取り残されても魔界を経由して帰ってくればいいでしょ」
(こいつらなんでこんなにホイホイ迂回路が出るんだホ。助かるけど)
 ともあれこれで最初のメンバーが決まった。今日のところは準備に徹して、翌日から順
次出発する手筈となった。
「準備と言ってもどうしたもんかのう」
「案の定白黒が間に合わなかったからこっちから乗り込むホ。トラポート解禁だホ!」
「屋台の支度済ませてからな」
 たった二人で、過去への救出劇に乗り込むこととなった悪魔たちと幻想郷の少女たち。
これから先に待ち受ける危機を知って尚、誰一人として恐怖を感じる者はいなかった。

217:創る名無しに見る名無し
16/06/26 22:33:48.07 OKiMNm2+.net
 おでん槽に蓋をして、火元の確認をしてから屋台を萃香とオノマンに任せると、オニは
フロストと共に魔法の森の入り口、香霖堂へとやって来た。
「まさか終盤の拠点がここになるとはな」
「神社がちょっと豪華なセーブスポットってだけなのがいただけないホ」
 ぶつぶつと文句を言いながら店の敷居を跨ぐ。薄暗くやや埃っぽい店内には、店である
ことが疑わしいほど雑多な物が陳列されていた。どれも値札は付いておらず、店主が物々
交換や面倒事(肉体労働)を押し付けることで入手することができ、お金で済まそうとすると
とんでもなくふっかけられるという厄介なところだった。
「……なんだ客か」
 そんなことを言いながら、店主が店の奥から現れた。白髪に眼鏡をかけた男で、黒と青の二色でほぼ半々になった和装とも洋装ともつかない服に身を包んでいる。玄関横のカウンターらしき場所には福助が置いてある。居留守のつもりだったんだろうか。
「店主さん!お久し振りっす!」
「初めましてだホ」(こいつら基本二色なんだホな)
 オニが勢いよく頭を下げ、フロストが軽く手を上げる。それを見て店主、森近霖之助は
おや、と小さく声をあげた。間違いなく珍客だったであろうオニを見て無表情だった顔が
少しだけ変化があった。
「君は夏ごろにおでん屋台を買って行ったオニだな」
「その節はお世話んなりました!おかげさまでなんとかやっていけてやす!」
 体育会系のノリでへりくだるオニに対して、霖之助は少し嫌そうな顔をする。他の客や
少女に比べて格段に礼儀正しいのだが声が大きく暑苦しいのだ。加えてアウトドア派とイ
ンドア派である。
「それは良かった。で、今日は何の用だい?」
「実は……」
 オニとフロストは改めて自己紹介がてらにこれまで経緯を話した。そして魔理沙に頼ん
だはずのものが来ないので取りに来たということ。

218:創る名無しに見る名無し
16/06/26 22:34:11.48 OKiMNm2+.net
「なるほど、確かに君たちの言うとおり、魔理沙は来てないし、そんな銃も来てない」
「店主さん、頼んます。あの段平、買い直すなんて言いやせん。貸しちゃくれませんか。
金だってちゃんと払います。この一戦だけ使わせてもらえれば」
 オニがその巨躯を縮めて懇願する。幻想郷に来てからの営業ですっかり節度というもの
が身についていた。地道なドサ周りが彼のトークに磨きをかけたのである。
「いや、そこは心配してないよ。君はオニだし、僕の知ってる連中よりもよっぽど上等だ。客としては。それに、スペルカードルール外の異変となれば、遊びじゃ済まないだろう。
有事に際して動き方を間違えないのは商人の鉄則だよ」
 霖之助は来なさい、と言って店の外に出ると、そのまま裏手に周り、倉庫らしき小屋の
前まで二人は案内される。立てつけの悪い扉を雑に開けると、霖之助は中から長い麻袋に
包まれた棒状の物を取り出すとそれをオニに手渡した。流石に重かったのか若干つらそう。
「ふう、ふう。これだろう。随分と傷んでいたから鍛え直しておいた。流石に本職にも手
伝ってもらうことになったが、随分と勉強になったよ。唐傘お化けが傘の張り直しに来て
いたのは好都合だったね。それにしてもオニの使う刀剣類の出所はある程度知っていたつ
もりだったがどういう造りをしているのかまでは把握していなかった。東洋における鋭さ
や取り回しの良さよりも力に耐える頑丈さを優先するのは西洋の思想に」
 突然始まった薀蓄に二人はぎょっとしたが、霖之助は構わずに続けた。誤解である。こ
の段平は他のオニが使っている物に似ているが、かつての仲魔からもらった剣を打ち直し
たもので、鬼が島製の物ではない。しかし一般的な人間の扱う刀剣類とは別物であること
は変わりがない。
 やや興奮気味に語る店主へのフォローを考えるが次から次に話が飛んでいくのでとても
追い付かない。さっき思いついた辻褄合わせが次の瞬間には使えなくなっていくことに、
フロストとオニは戦慄した。
―そしてそんなことやってる内に日が暮れてしまった。
「ということなんだ。どうかな? 今のは僕の推察なんだが、本家からしてどの程度合っ
ているか、採点してみてもらえるかな?」
「えっ。えっあっはい。えーと」

219:創る名無しに見る名無し
16/06/26 22:34:31.86 OKiMNm2+.net
「オイラメモ取ってるホ」
 そう言ってフロストがいつの間にか付けていた記録。まるで暗号電文のように長く伸び
た巻物には箇条書きされた要点が点々と並んでいた。
(ええ、何これ。最初が全然違うのに結論があってるってどういうことだ……過程に修正
入れると結論が間違っちゃうな……過程だけ修正してえけどこれどうやるの……?)
「ええと、結論は合ってる。でも、過程が、間違ってる」
「ほう。どこだい」
 オニが油汗をかきながら言葉を絞り出す。フロストが太ももに『正直に言え』と助言を
くれる。彼は意を決して話すことにした。
「こ、この段平、実は知り合いの剣士から貰ったもんでして、たぶん、鍛え方も鬼が島製じゃないんじゃないかな、と。それに妖精の魔法もかかってるし、だから、でも、うーん、なんで結論が合ってたんだろう?」
「ああ、なるほど。僕もこの説に疑問点が無いわけでは無かったよ。そして今、君の話で
いくつかの疑問が解決した。これで修正のあったほうが過程もより正しいということだ」
「え、それってどういうことだホ」
 口に出してフロストは、その引き金を引いたことを激しく後悔した。霖之助は待ってましたと言わんばかりに眼鏡を光らせる。もう半日外で過ごしているというのに。
「それを今から教えてあげようじゃないか。折角正しい情報も入ったことだし僕の考え違
いだった点と、何故そう考えたか、そしてこの段平が何故このように鍛えられ、造られたかを話そう」
「いえ、オレたちちょっと急いでるんで!」
「もう夜も暗くなるホ!」
「何を言ってるんだ君たち妖怪だろ!」
 そして、その日が終わり霖之助が満足するまで彼らは拘束された。結局。ソードナイト
ほどの実力者となると、実力に耐えうる剣が必要だったから、魔界の鬼たちに獲物を鍛え
直してもらったというそれだけの結論だった。

220:創る名無しに見る名無し
16/06/26 22:35:05.21 OKiMNm2+.net
「じゃあ、気を付けて行って来給え」
「はい、ありがとうございました……」
 段平一つ取り戻すのに丸一日要する罠にかかった二人はくたくたになりながら帰宅する
こととなった。既に辺りは妖怪の時間だったが、彼らはそんな気にはなれなかった。
「そういえば店主さん。店主さんは悪魔に襲われた時の備えってできてるのかホ?」
「ああ。魔石を売っておけばとりあえず大丈夫だろう」
 あっさりとそう返す霖之助の言葉に、今更ながらショップが無事な理由を垣間見たフロ
ストであった。
 そして、余談だが帰った後の博麗神社、というかおでん屋台は萃香が看板娘をしたせい
なのか、いつもより客が入っており、オニが余計に悔しい思いをしたとかしなかったとか。
「オレの店なのに……」
「今度から仕込みだけやったらどうだホ?」
 フロストの言葉に、彼は真剣に考え込んでしまった。言われてみれば、これまでマミゾ
ウや美鈴といった少女がいてくれた時のほうが地底で一人でやっていたときよりも上手く
行っていた。
「この戦いが終わったら、オレ、正式に看板娘を雇うんだ……」
非常に雑な死亡フラグを建てようとするオニだったが。
「そう、関係ないね」
取り合うようなこともせず、フロストはとても冷たかった。
※オニは武器を取り戻したことで借金のスキルが暗夜剣に戻った。

221:創る名無しに見る名無し
16/07/21 22:39:28.38 OaAPrb/m.net
三章 仲魔
翌日、ついに元の世界へと出発することとなったフロストたちは、博麗神社の鳥居の前
に集まっていた。今回行くのはオニと萃香の二人だ。
「いいかホ?使い方分かるホ?もっかい説明いるかホ?」
「おう、大丈夫だ。それじゃあ行ってくるぜ」
「ちょっとは楽しめるといいけどね」
 オニはいつもの帽子と前掛けを外し、幻想郷に来た時と同じ着の身着のままの姿だった。
萃香もまた同じだ。有事の際にも自然体で臨む彼らは豪胆なのか、それとも無計画なのか。
うららかな晩秋の一日に、世界と幻想郷の明日を賭けた戦いが始まる。
 言葉にすれば大仰だが、それはいつものことと言えなくもなかった。
「この剣と鏡を翳せばいいんだよな」
「そうだホ」
 フロストが頷くとオニは鳥居にそれを向けた。
「オレがいない間、屋台を頼んだぜ」
「格好つけてねーでいーからはよ行けホ。後がつっかえてるホ」
 まったく取り合ってくれないフロストにオニは苦笑した。お互いに何度もこんな場面が
あった。最初の二、三回こそシリアスなことを言い合ったりしたが、今はこんなものだ。
「それと萃香、たぶん行先では胸糞悪いことになるホ。だからこいつをしっかり頼むホ」
「お!初めて名前を呼んでくれたねえ。いいねえ、こういう潤いが大事なんだよ。まあ任
せておきなって!」
 瓢箪をぐいっと一口呷ってから萃香が笑う。約束だ、と軽く言って手を振る。霊夢が不
満気に萃香を睨む。
「今回に限っては帰ってきなさいよ」
「姿は見せないけど、毎日帰ってるよー」
 そこまで話して、二人は前を向く。

222:創る名無しに見る名無し
16/07/21 22:39:47.10 OaAPrb/m.net
「使ったら結界が一時的に裂けるホ。そしたら一気に悪魔がやってくるホ。雑魚はオイラたちに任せて、お前らは思いっきり飛び込むホ!」
「分かってらあ!」
オニが剣を掲げた。
「メシアの角よ!世界を繋げる穴を、ここに!」
 鳥居の下の空間が裂け、禍々しい六芒星の浮かぶ暗黒が姿を見せる。空間の縁を何者か
が掴み、羽のある悪魔が飛び出してくる。オニは更に鏡を翳した。
「メシアの瞳よ!己の道を照らし出せ!」
 六芒星が光り、一本の道となってオニたちの足元へと伸びる。
「じゃあ、行ってくるぜ!」
「あとよろしく~!」
 二人が悪魔の流れに逆らって飛び込むと、開かれた空間がゆっくりと閉じていく。しか
し閉じていく間にも、悪魔は我先にと現れてくる。
「こういう異変なのね……つくづく昔を思い出すわ」
 アリスが人形を展開する。
「いやはや、じゃあちょっと久しぶりに堅気の妖怪をやろうかい」
「アクマモ イロイロ タイヘンダ」
 マミゾウが葉っぱとお札を取り出し、ケルベロスが首を振る。
「ここから先に行きたけりゃ、オイラたちを倒してから行けホ!」
「雑魚妖怪のくせにうじゃうじゃと、仕事させんじゃないわよ!」
 霊夢とフロストが、現れる悪魔の流れへと躍りかかる。
 師走を間近に控えたこの日、博麗神社では霊夢と奇妙な仲魔たちの戦いの火蓋が切られ
たのだった。その一方で、その光景を遥かな高みから覗き見る者があった。
「人と歩みし悪魔の業、見せるが良い」
 誰とも付かないその悪魔は見守るように、そう呟いた。

223:創る名無しに見る名無し
16/07/21 22:40:42.62 OaAPrb/m.net
―代々木公園
 ある年の、ある日に、この公園では凄惨な粛清劇があった。カオスの急先鋒たるガイア
教団の教徒同士の抗争。陽中の陰とでもいうべき異端の男が運命の扉を開けた。その日。
 その日に、オニと萃香は来ていた。彼らの目の前ではたった一人の男を前に、正確には
一人の男と、男が召喚した悪魔の前に、他の教団員たちは健闘虚しく力尽きていった。
その光景を、二人は見ていた。オニからすれば懐かしい敵の顔ぶれが並んでいる。
「ここかい」
 オニが呟いた。目の前の光景は半透明で、映像の様だった。手を伸ばしても触ることも
できない。元より助けるつもりはなかったが、干渉できないことは分かった。
「これってさあ、今どうなってんの?」
 萃香が瓢箪から酒を呷りつつ尋ねる。何の抵抗もなく公園の会談に寝そべると、ひとつ
欠伸をした。その辺に転がっている空き缶を投げつけるが、映像をすり抜けて向こう側へ
と飛んでいくだけだ。
「たぶん、この先で、アイツに何かが起こるんでしょうや」
 そう言う間にも見る見る内に数を減らしていく。オニの記憶にあるのは喧しい妖精たち
に道に迷わされたり、異端のマネカタが呼び出した中途半端な邪神と戦ったくらいだ。
 それより前のことは、彼も知らない。だが、それでも異変と分かる出来事が、今目の前
で起ころうとしていた。
 ガイア教団側が一人のデビルサマナー、ヒカワに敗れた後、それは起こった。すぐ近く
に二人の人間、悪魔だろうか。どちらともいえない存在が、モノも言わずヒカワに襲いか
かる。
「あいつらか。人間の頃から悪魔らしかったって話だったがよ」
「知り合いなんだ?」
 オニは頷いた。
 一人は子どもだった。少年で、虚ろな瞳をしている。手に持ったナイフをチラつかせて
いる。酷薄でまったく手垢のついていない貌。

224:創る名無しに見る名無し
16/07/21 22:41:05.15 OaAPrb/m.net
 もう一人は中年から壮年の男、怒りと憎しみで眼が濁り切っている。身なりは上等で、
スーツ姿だが、興奮した形相からは一遍の理性も見られない。
 両者に共通しているのは正気でないことだが、そもそも自分の意思があるのかも不明だ。
本来なら、この二人はここに存在しているはずのない人物だった。
 これより後に、悪魔となって、ある意味望んだ生を掴んだ彼らの、その前身。それこそ
が紫が言っていた「特異点のようなもの」だろう。
 ヒカワが彼らに何かを言って悪魔をけしかける。堕天使や邪神を中心とした悪魔が各々
魔法や特技を駆使して応戦するが、それも次第に崩されていく。どちらも非常に火力が高い上に執拗に一人一人を撃破していく。
 ヒカワも手を出しているし、追い詰めていってはいるが、少しずつ陣容を崩されていく。特異点側の悪魔も見る見る内に傷ついていくが意に介さず、攻め手を緩めない。
 最後にはヒカワに一太刀を浴びせたところで二人は消滅した。ヒカワは呪詛を吐いてど
こかへといなくなってしまった。恐らく、これで何か予定が狂うのだろうとオニは漠然と
ではあるが事態の把握ができていた。
「終わっちゃったけどさ、どうすんのこれ?やっぱ助けに入ったほうが良かったかな?」
「いや、たぶんこれからですぜ。姐さん」
 そう言うやいなや、彼らの前に赤い煤の様なものが現れる。それは次第に集まって、
先ほどの悪魔を形作った。そして、世界が逆再生映像のように時間を遡っていく。
ガイア教団が全滅する前、彼らが公園に集結する以前まで。
 その悪魔たちとオニ、萃香を残して。
「分かりやすいね。こいつら倒して帰ればいいんだ」
「そっすね。意外に強いんで気を付けて。それにしてもなあ。いったいどんな奴が立ちは
だかるかと思えば、お前らか。つっても、たぶん中身は人間じゃねえんだろうな」
 向こうもオニたちを敵と認識したのか、彼らのほうへゆっくりと歩み寄ってきた。迎え
撃つように構えた二人を見て、彼らは、一気に間合いを詰めて襲い掛かってきた。
―悪魔 サカハギ と フトミミ が 出現 した!!

225:創る名無しに見る名無し
16/08/07 21:58:46.78 1C7QEzYt.net
 全てが元通りとなったということは、ボルテクス界で悪魔となっていた者たちもまた
元通りということである。
 家庭や仲間の温もりに憧れを抱いていた少年も、憎しみに身を焦がし苛まれていた男も
また、この世界に戻っていたということであり、強力な悪魔に転生するだけの魂を持ちな
がらも自らに何のコトワリも持たない彼らが、歴史改変のための尖兵として選ばれたのは
ある種自然なことであった。
「おー、ちょっとは強そうじゃん。おーい。お前らー、お前らはなんだい?」
 萃香が楽しそうに語りかけるも彼らは答えない。正気は元より自我さえ既にないようで
あった。躊躇無く繰り出されるナイフと拳、それらを難なく躱しながら萃香舌打ちをする。
「ちぇっ。中身は傀儡か。戦り甲斐のない」
「姐さん!遊んじゃいけません!」
 オニの警告を聞き流す、敵の攻撃も受け流す。あまりにも軽やかな動きで物理攻撃の類
が萃香には当たらない。体を霧に変えることさえせず、ひょいひょいと翻弄していく。
「すげえ、まるでスクカジャが限界までかかっているみてえだ!」
 オニが感嘆の声を上げると、サカハギが狙いを彼へと切り替える。鋭く繰り出される何
度も襲い来る突きが赤い肌を刺して、その度に血の紅が上塗りされていく。
―だが、浅い。
「つッ、舐めんじゃねえぜ!」
オニが一歩引いて腰に溜めを作る。そして追い打ちにかかるサカハギを真正面から殴り
飛ばした。相手の体がバウンドし、後方へと吹き飛ぶ。
「はっはー!お前やっぱりやるじゃん!」
 フトミミを連続で殴り鎖分銅で引き寄せまた殴るというコンボを決めながら萃香が喝采を送る。
 最後にもう一度殴り飛ばして寄ってくる。その目には子どものような感動と、獲物を見
つけた獣の光があった。
「ねえねえ。帰ったら私と一発殺ろうよ!平の殴り合いでさ!」

226:創る名無しに見る名無し
16/08/07 21:59:19.24 1C7QEzYt.net
 腕を半端じゃない力で掴まれながら、しかしオニは吹き飛ばされたフトミミとサカハギ
を見ていた。
「呆気なさすぎる……」
 確かに過去の彼らと今のオニとでは実力に開きがある。それは確かだ。しかしあまりに
も動きが単調だった。先ほどの氷川を迫ったような力は感じられない。
「力配分してるってこと?」
 萃香の問いに頷くオニ。見ればゆっくりと起き上がる両者に、赤い怨念のような何かが
流れ込んでいく。先に立ち上がったフトミミが萃香へと振り向く。
『!飛べ!』
 全く同じ危機感を抱いて、全く同じ警告を発し合い高く飛ぶ。足元に一瞬で通り過ぎて
行くフトミミと、そのまま彼らの後方の自販機を拳で貫くのが見えた。

 まるで物理的な干渉がないのか、文字通り貫通したのだ。萃香の顔が一瞬で剣呑なもの
へと変わり、オニが唾を呑む。そして背中には悍ましい痛みが走る。瘴気に染まった湿っ
た風が二人の背を叩いたのだ。

「ぐ、こいつは!?」
「いでででで!!」

 サカハギが発した湿った風により体勢を崩し、フトミミのほうへと押しこまれる。オニ
は回避を諦め反撃に全神経を集中させる。しかしフトミミは萃香に焦点を合わせていた。

(け、優先順位を良く分かってやがる!)

 オニは所詮、どこまで言ってもタフな妖怪に過ぎない。そこを見れば萃香は何をしてく
るか分からない曲者さと俊敏さがあった。フトミミの拳が着地際の萃香を襲う。その拳が
空を切る。見れば萃香は宙に浮いていた。幻想郷の人里以外に住む少女は空を飛べるのだ。

「惜しいねえ、でも、まだまだこんなんじゃ物足りないよ!」
 攻撃を外し手番を譲ることになったフトミミに、萃香は飛び込みから先ほどの連携を
再度叩き込む。追い打ちでオニも段平で一撃を加えることに成功する。

「さあさあ折角の異変だ。もっと頑張らないと、食べちゃうぞ~!マージ―でー!」

227:創る名無しに見る名無し
17/12/27 10:59:03.05 C1Z7QFDy.net
家で不労所得的に稼げる方法など
参考までに、
⇒ 『武藤のムロイエウレ』 というHPで見ることができるらしいです。
グーグル検索⇒『武藤のムロイエウレ』"
E6D9QHEPM5

228:創る名無しに見る名無し
18/05/21 08:13:44.54 tRZnwP6O.net
知り合いから教えてもらったパソコン一台でお金持ちになれるやり方
参考までに書いておきます
グーグルで検索するといいかも『ネットで稼ぐ方法 モニアレフヌノ』
06I44

229:創る名無しに見る名無し
18/07/03 19:40:40.93 f1dClnnX.net
RY9

230:創る名無しに見る名無し
18/10/17 18:22:29.60 ZU7x6aHX.net
中学生でもできるネットで稼げる情報とか
暇な人は見てみるといいかもしれません
いいことありますよーに『金持ちになる方法 羽山のサユレイザ』とはなんですかね
DGS

231:創る名無しに見る名無し
22/05/18 21:41:26.36 U2/nV/Bm.net
URLリンク(i.imgur.com)
URLリンク(i.imgur.com)
URLリンク(i.imgur.com)
URLリンク(i.imgur.com)
URLリンク(i.imgur.com)
URLリンク(i.imgur.com)

232:創る名無しに見る名無し
22/10/18 20:17:50.70 TaWZMMeK.net
>>230
喋んな

233:創る名無しに見る名無し
22/10/18 22:51:52.85 S3dgjTrs.net
URLリンク(i.imgur.com)

234:創る名無しに見る名無し
23/11/03 20:34:04.18 DMcJB5MqD
あちこちでモクトーだのやっててクソウケ儿よね
ttps://i.imgur.com/gdh8KeD.jрeg
地上を眺めるためだけにわざわざ陸域をクソ航空機飛ばしまくって温室効果ガスまき散らして氣候変動させて海水温上昇させて
かつてない量の水蒸気を曰本列島に供給させて日本中で土砂崩れに洪水、暴風.猛暑,大雪、森林火災にと災害連発させて、
地球に国土に國力にと破壊しまくって住民を殺害して.核兵器がすかしっへ゜にしか思えないほどの破壞活動を繰り返してる
JÅLだのÅNAだのクソアヰヌドゥた゛の酒飲んて゛業務してるクサイマークだのゴキブリフライヤーだのジェットクサーだのJтBだの
世界最悪の殺人テロ組織公明党強盗殺人の首魁蓄財3億円超の斉藤鉄夫らを滅ぼすための活動すらしないで、モクトーとか意味不明だろ
持続可能な開発目標に壊滅的なダメ ─ジを及ぼすために国連本部までノコノコ外遊して氣候変動させる湯崎英彦とか救いようがないしな
(羽田〕ttρs://www.call4.jP/info.phρ?type=items&id=I0000062 , tTps://haneda-projeСt.jimdofree.com/
(成田〕ttРs://n-souonhigaisosyoudan.amebaownd.com/
(テロ組織)ttPs://i.imgur.com/hnli1ga.jpeg

235:創る名無しに見る名無し
24/01/10 13:47:59.13 Uu/lJW3Jl
例えは゛、登録記号『JA??мP」は「税金泥棒災害惹起捏造逮捕殺人集団警視庁」だが
クソ航空機に生活や仕事を妨害されたら…アプリ「ÅDS-B Unfiltered...」で登録記号を確認
ttрs://jasеarch.info/ ←ここで検索して使用者特定
ADS-B出してない日の丸ロゴ機体は自閉隊か税金泥棒系業者だが、スクショも晒しつつ、ググって電話番号なども晒そう!
ヘリタンク2000Lで10000kWh火カ発電した際に発生するのと同等のCO2を排出するが、この気候変動させて世界中の人々を死に追いやってる
正義の鉄槌によって処刑されるへ゛きテ囗リストどもを徹底的に非難しよう! スマホのパケつ゛まりが酷いのもWifiが遅いのもクソ航空無線の
広大な帯域汚染による電波不足が原因だし、国民の財産電波をタダで使ってカンコ-た゛のと殺人を推進する有害放送で儲けて「 ─方的」
「自称」「思い込んで」た゛のプロパガンダ丸出しのテレビ放送廃止,さらに今と゛き深夜に騒音まき散らして近隣に多大な損害を与えなか゛ら
新聞配達させてる情弱知障も非難して人の住居上空を飛ぶ害虫を皆殺しにする気で報復しよう!
(ref.) tтps://www.Call4.jp/info.php?tyрe=items&id=I0000062
tΤps://haneda-project.jimdofrеe.Com/ , Тtps://flight-routе.com/
URLリンク(n-souonhigaisosyoudan.am)еbaownd.com/


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