10/11/09 23:30:21 X8/njt5X.net
クボたん!(仮題) 2/3
そして、休日である今日も―。
彼女が肩から提げているバッグには、赤いカラビナとセットになった、謎の黒い棒が揺れている。
僕の興味は、もう限界だ。
「ねえ、それ―」
一体何なの?
その僕の質問に対して、彼女は何故か、顔を赤らめた。
「これはその……お守り……かなあ?」
お守り?
何の?
少なくとも、安産祈願では無さそうだ。
何も彫られたりしてないから、結局謎は謎のままである。
さて。
これから映画観て……食事でもして……。
半ばノープランな本日の予定を頭の中で再確認していると……。
「―あっ!?」
不意に彼女の声が聞こえ、僕はそっちに気を取られてしまった。
それが、最悪の事態を招いてしまったんだ。
―ドンっ!
何か大きな物がぶつかって、僕は地面に尻餅を突いてしまった。
「ああ!? お前誰にぶつかったと思ってんだ?」
見上げると、コワーイお兄さんが三人ほど。
こちらを睨みつけている。
「―グハっ!?」
鳩尾に蹴りをまともに受けて、僕は路地裏の壁に叩きつけられた。
「なんだあ? 情けねえ奴だなあ」
三人に代わるがわる蹴りつけられ、おまけに唾まで吐きかけられた。
情けない。
でも、どうする事も―出来ない。
「おい、もう行こうぜ」
「おう、そうだな」
「金の代わりに、女奪っちまおうぜ」
―そうだ! 彼女は!?
軽薄な笑い声を上げる三人の男の前に、身体を細かく震わせながら立ち尽くす彼女の姿があった。