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>>77
(つづき)
地獄に堕ちる資質
歴史学者の加賀屋誠は、親鸞の『歎異抄』にある「悪人なおもて往生す、いわんや善人をや」という言葉を、「悪人なおもて地獄に堕つ、いわんや善人をや」と言い換えてみせました(『地獄めぐり』)。
これは自分の心の内に人には言えないような欲動が在ることを自覚し抜いている悪人であれば、迷うことなく地獄の門を開いてそこを旅して巡ることができる一方で、どこかで自分は善人だと思っている人は、心の内にある暴力やエロスの欲動を自身で強く抑圧していることに気が付いていないのだということ。
完全な善人ではないにせよ、それでももし善を為したいという気持ちがあるのなら(善人という自己認識を崩したくないのなら)、なおのこと地獄に目を向けるべきでしょう。
その意味で、私たちはみな平等に地獄に堕ちる資質をすでに与えられているのです。
しかし、死後の世界としての地獄とはある種の「幻想の異国」であり、生の世界としての現実の実相を映し出す鏡のようなもの。
そして、それはそうした欲動を禁止するためのものであると同時に、安穏とした日々を送るために普段は我慢し排除している欲動が宿っている心の奥の「内なる異国」を充足させるためのものでもあったのではないでしょうか。
今週のおうし座もまた、人に言えない欲動を禁止するためにではなく、むしろ充足させるためにこそ地獄に目を向けてみるといいかも知れません。
おうし座の今週のキーワード
内なる異国を覗きこむ