17/08/21 21:21:14.63 xyeRhh5g.net
ボンノの通称で一時代を築いた三代目山口組若頭補佐を描いたノンフィクションである。
三代目山口組の中で圧倒的な勢力を誇ったが、絶縁された。絶縁後も独立勢力としてヤク
ザを続けたものの、最後は引退した。後の山一抗争とも共通するが、ヤクザの分裂抗争で
は組織を飛び出した方が弱くなりがちである。錦の御旗と同じで、元の組織に大義名分が
あると受け止められがちのためである。本書のボンノも絶縁されても親は親という考えで、
三代目山口組を攻撃するつもりはなかった。ボンノはファッションセンスなどから新しい
ヤクザというイメージがあるが、メンタリティは古い任侠である。だから波谷のような生
粋の任侠が舎弟になるのだろう。
それに比べると現代の山口組分裂は様相が異なる。元からの代紋のある方が優勢という訳
ではない。むしろ義は飛び出た側にあると見る向きも多い。ヤクザと一緒にすると嫌がら
れるかもしれないが、ほっともっととほか弁の対立も飛び出たほっともっとが市民権を得
ている。昭和の感覚では考えられない時代になった。
本書はボンノ以外のヤクザ事情にも詳しい。山口組は麻薬撲滅を掲げたという。暴力団は
反社会的勢力であるが、半グレやヤンキーに比べて憎みきれない理由は、この辺りにある。