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中田英寿という生き方(後編) | フットボールチャンネル
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たとえば、中田の中学生時代の有名なエピソードに次のようなものがある。
当時、甲府北中のコーチをしていた皆川新一は、試合に負けた生徒たちに
罰走として50本のダッシュを命じた。
僕自身中学時代は野球部だったが、何か不祥事があったり試合に負けたりしたときに
「ダッシュ50本」というのはよく経験したものである。
皆川は1960年生まれ、僕は1961年生まれなので、おそらく皆川も自分が体験したことを
子供たちに課していたのだろう。
無論僕らの世代には、指導者のそのような命令に反論するなどありえないことだった。
子供たちは不承不承ながら当然のことのように「罰」を受けたのですが、
ヒデだけはベンチの脇に立って走ろうとしないのです。怪訝に思った私は、
「どうした。なぜ走らんのだ!」
と語気を荒げたのです。ヒデの答えはこうでした。
「走る理由がわからない。俺たちだけが、走らなければならないのは納得できない。
皆川さんも一緒に走ってくれ。だったら俺も走る」
引用元:『山梨のサッカー』山日ライブラリー
このとき中田英寿は中学2年になったばかりだった。
人間のタイプというのは、実は社会経験をつんでいない子供時代のほうが、
補正されていないため、より強く現れる。
論理的に考えれば、誠に中田の言うとおりであろう。
試合に負けたことについては、選手にも責任があるが、指導者にも大きな責任があるからである。