19/02/07 16:34:00.07 OnYx1pbI.net
質問
がんもどき理論に対して思っていることがあるのですが、近藤氏は一般に
「がん」と診断されるものは「がんもどき」か「本物のがん」のどちらか
と考えています。私はこれについてはがんもどきが絶対に本物のがんにな
らないという点で否定的なのですが、実際にはがんもどきのようながんも
あるのも事実です。一般にはがんはできてから徐々に大きくなり、最終的
には転移を起こすと考えられています。ただこの流れがどのような時間経
過でどのくらいの期間で転移に至るのかはさまざまなケースがあると思い
ます。極端な話、がんと診断されてから50年くらいかけて転移に至るよう
ながんであれば放っておいていいということになります。ただ初めからど
の程度で転移するのかがわからない以上、放っておくことはできないと思
いますが。これについてはどう思われますか?発見時転移がなくても数年
のうちに転移を起こすがんがほとんどと思われますか?
実際の割合は放っておかない以上調べようがないので事実上無理ですが、
経験的にどう思われますか?
回答
経験的な話は非常にバイアス(偏り)がかかるので、あまり参考にならない
と思います。
しかしがんの悪性度というものは①発生臓器、②病理組織型、③その時点
での大きさでだいたい予測がつくものです。
②の病理組織型は、一般の人が思っている以上に膨大な種類がありますし、
あまりなじみがないと思いますので、ここでは発生臓器別の予後のデータ
を提示します。
つまり転移するかどうかということに注目しがちでありますが、実際には
そのがん種ごとの5年生存率こそが本当の意味で一般の方が知りたいこと
ではないかと思います。
以下を参考に
全がん協加盟施設の生存率共同調査
URLリンク(kapweb.chiba-cancer-registry.org)
これらは発生臓器だけで並べた5年生存率ですから、ステージや大きさで
の条件あわせをしているわけではありません。
例えば乳腺や甲状腺、皮膚がんは身体の表面に発生するものですから、早
期に見つけやすいはずです。
逆に膵臓、胆道がんは早期では症状も出にくく、内視鏡でもCTでも発見し
にくく、進んだステージで見つかるケースが多いというのも不利な条件に
傾きがちです。
5年相対生存率が最も高いものの一つである乳腺がんと最も低い膵がんで
相当な差が出てくる理由は上記の理由以外にも、手術の有効性の差、抗が
ん剤が効きやすいか効きにくいかの差が激しいことに起因します。
どういうがんが転移しやすいのかという曖昧な基準よりも、ここまで明確
に予後の差が出てくるがん種の違いを先に認識しないことには議論は進ま
ないでしょう。
患者さんとしては、がん種別の集団としての予後を把握した後は、個人と
しての経過は別物という認識で今後の選択を決断しなければなりません。
非常に抽象的な言い方なので、あえて簡単な具体例で説明すると、天気予
報の降水確率で傘を持っていくか行かないかはその人の事情と考え方次第
と言うことと同じです。