19/02/05 18:06:57.92 WZ0xtUMa.net
>>315のつづき
③緩和ケアは抗がん剤治療以上に創意と工夫が必要とされます。単に医療用麻薬を使うだけでは無く、鎮痛補助薬や神経ブロックなど
でも除痛効果を上乗せする事ができます。ただし痛みを指標としますから患者さん本人の努力と協力、時間が必要です。
がん性疼痛が強いほど増量して対応できることが医療用麻薬のいいところですが、増量しても痛みは改善しないのに眠気だけ強くなる
場合があります。
これは医療用麻薬の増量が有効でないタイプの疼痛になります。
神経を刺激して起こる痛みなどがそれに相当しますが、その場合は鎮痛補助薬や神経ブロックなどを活用することになります。
大事なのはそういう活路を見出だすためには実際に色々な疼痛緩和を試さないと難しいことです。
なんせ痛みは血液検査など客観的な指標はなく、患者さん本人しか評価できないからです。そして本人が最も楽な鎮痛法に調節できる
までには、それなりに時間がかかります。
我慢を重ねて、どうにもならなくなってから本格的な鎮痛法を求めても、そうすぐには理想的な症状緩和は得られない可能性が高まり
ますし、日常生活を犠牲にして入院せねばならないかもしれません。
つまり、痛みが強くなっていくことが避けられなくても、早くから対応するための試行錯誤は日常生活を守る上で最も重要と考えられ
るわけです。
緩和ケア病棟への入院も最近では疼痛管理のための教育入院という意味合いがあります。
人生の終末期を穏やかに過ごすというとらえ方もありますが、苦痛に自己対処出来る方法を体得出来れば、また自宅に戻ってご自身の
自由な時間を活用してもらうことが可能です。
緩和ケア科を受診することは、何かあったときのために、先に橋渡ししておくという考えで良いと思います。
実際化学療法の最中でも疼痛緩和が不十分な場合は緩和ケア科にコントロールを御願いすることもあります。痛みを取る専門家という
とらえ方です。
問題があるとすれば、抗がん剤を主体とした治療をしてきた今までの病院が抗がん剤を使わなくなった場合、緩和ケア科に移ってくだ
さいと言いがちなので、それを治療法が無いと表現してしまう、あるいはそう患者さんが取ってしまうことでしょう。
しばらくは併診という形にしてもらう方が気分的に楽かもしれません。