24/08/25 07:49:35.97 .net
第二十八話 ギャラルホルンは鳴った
菊元さんのとは違うボートに乗った二人が居た
「このボートは誰んだ?」と菊元さんのボートをジロジロとみている。
やはり珍しいのか?
「僕のですわ」菊元さんはニンマリと答えた
「うぉ!お前エバグリの菊元じゃん、あ!!いしい そのもいるじゃん。あと・・・お前誰?」
「いったいなんですの?」菊元さんはちょっとおかしいな?と感じたようだ
「チャンピオンだと?生意気だな」ともう一人がボートを蹴っている
「ちょっとまってーな、うわ!!何さらすねん!!」
いきなりその二人は俺と菊元さんに殴りかかってきた。一瞬のことで俺達は
何が何だか分からないままコンクリートの上に投げ出された
そのとき「きゃーーーー!!」と声がした。声の主は疑うことなくそのさんだ
「そのさん!!」 俺はそのさんの身を案じ痛がる身体を持ち上げた
二人組はさらに俺達を蹴りあげ、たじろいだ瞬間そのさんを担いで自分の
ボートに載せると走り出す準備をしていた。
「またんかいボケ!!」と言っているが菊元さんは眼鏡を探している
俺は自分の身体を確かめた。大丈夫、打撲程度だ。
「そのは頂いた!!わはははははははーーーーーー!!」
「またんかいこらぁ!!くそがぁ!!駆出し!はよ乗らんかい!行くで!!」
菊元さんは眼鏡を見つけたらしく、そのさんを追いかけるべく身体を起こした
「警察の方が良くないですか?」とビビッた俺は言ってしまった
「何いうてんのや奴等のキャップを君も見たやろ?」
「え?帽子ですか?ハッキリと見てませんけど」
「JBCCやぞ!JBCC!!」
「JBCCってなんですか?」
「いいからはよ乗らんかいボケ!!クソッ!!捕まえていてもうたるわ」
俺はそのさんの身を案じつつ急いでボートに乗った。
菊元さんは何かを感じているのであろうか、いつしか鬼のような形相に変わっていたのであった
101:ほぼ初代
24/08/31 20:50:40.30 .net
第二十九話 疾風怒濤
早く乗れと言う割りに菊元さんは携帯で電話をしていた
「梅さんか?そこに今江君のチャンピオンあるやろ?そうそう300馬力の奴や!!
今から直ぐ下ろして牛堀の桟橋あたりで走りながら落ち合おう
え?そのが拉致されましたわ。そや、ちとまずいことになりましたわ。
相手?なんでか解らんがJBCCのキャップや」
そういうとアイドリング状態で先ほどのボートを目で追っている菊元さん
「梅さんはよーたのむで・・・・・・そろそろええか?よっしゃ!いこか!!」
ボートは一気に加速へと導かれる。身体がシートに溶け込むようだ
「こんなにGが凄いなんて・・・」
数十秒走っただろうか?実際はもっと長いのであろうか?俺には分からなかったが
菊元さんはあの梅さんを見つけたようだ
「見えた!梅さんや!!君にこれから無茶言うで、走りながら梅さんのボートに移るんや
そして梅さんと運転を替わる。梅さんが僕のボートを運転するんで僕がそっちに
移ったら僕と運転を交代や。」
「待って下さい!俺出来ませんよ!」
「何いうてんねん、そのがどうなってもいいんか?男ならやる時は
やるっちゅーとこ見せんかい!!」
「は、はい!!」
「ほないくで!!」
数十分前に出てきた横利根川から梅さん?らしきボートが右手の桟橋付近に横付けされようとしていた
そして常陸利根川から本湖へ向かって二艇のボートは併走する
「よっしゃ梅さん、30マイルに合わせてくれ!!君、男を見せんかい!!」
俺は菊元さんの後ろに立ち、体制を低くする
デッキに手を着く。息を大きく吸い込む、吐く。もう一度吸う
風の音が消える。右にある船のデッキしか見えない。速度も感じない
全身に力を溜める。猫のような跳躍力でジャンプした。
「うりゃーーーーーーーーーーー!!!!」
102:ほぼ初代
24/08/31 20:51:34.11 .net
第三十話 八そう飛び
30マイルの風を横から受けつつ俺は宙を舞った
そして俺は梅さん(?)が運転する船に飛び移った
振り返ると菊元さんが「やっぱり君もやりおるね」と笑っていた。こっちは命懸けなのに・・・
俺は梅さんと運転を代わる。
「ここのメーターの30を維持してねこれがアクセルだから」
「やってみます、いや俺がやらなけりゃそのさんが」
梅さんには聞こえていなかったのか早くも菊元さんの船に飛び移った。
「次は僕ですわ」菊元さんは全身全霊の力でジャンプした。
しかし勢いがつきすぎたらしく転がりながら船のへりを越てしまい身体の半分は水の中へ
しかもへりにつかまりながら落ちそうな寸前だ。
「君!!スピード落としてほしいがな」言われて俺は慌ててアクセルを戻した
「あぁ、すまんね。あぁショベリーヌや」 服の裾を絞りながらブツブツと言っていた
「後は僕がやるさかいつかまっててや。落ちたらあかんよ」
菊元さんが操縦する船は先ほどのエンジン音とは全く違っていた。まるでF1のようだ!!
「う、ううぅぅぅ」 加速で全身がシートに押しつぶされる。
「体制を低く!!いた!あれや!!すぐに追いつくで!!」
後ろを見ると梅さん(?)も追走していた。
「そのを返さんかい!!おどれらいてまうぞ!!」相手には聞こえる訳も無い
「君、もう一回行かんかい」
「え!?だって今のスピードはさっきより」
「行くんか!?行かんのかい!?どっちや。君ならきっとやれる。」
「行きますよ。いつだって争い事は若い者が率先して・・・」
「ブツブツいいからはよいけ!!」
「よ、寄せてください」
「もいっかい男見せんかい!!ほんならいくで!!」
103:名無しバサー
24/09/01 10:18:16.19 .net
>>101
>ボートは一気に加速へと導かれる。身体がシートに溶け込むようだ
この一節が気になって仕方なかった
溶け込むって表現は場面的にも合ってない
読んでるから頑張ってくれ
104:名無しバサー
24/09/01 13:03:10.00 .net
今時チャンピオン等見ないし
トライトンかレンジャーかスキーターが
今のバスボート界の標準やと思うけど
もう
105:名無しバサー
24/09/01 13:03:55.29 .net
>>104
少し昔の話かな…
106:名無しバサー
24/09/02 17:40:28.43 .net
実名出してるし、試合の時ポイント譲ってもらえたとか貶す様な事書いてると
名誉棄損で訴えられかねないよ
107:ほぼ初代
24/09/12 20:54:19.27 .net
第三十一話 召し寄せ
2艇の船がほぼ並んだ瞬間である。俺はもう一度ジャンプした。
横に乗っていた男の顔が印象的だった。「信じられん」という顔だ。
俺もそう思うよ・・・
相手の船に飛び移ると俺は手足全てを使ってその男らを殴りあげた。
そのさんも運転手を殴っている。
「おら!!てめぇそのさんを!そのさんを!!」
「止めなさい!さっさと止めなさいよ!!」といって腕に噛み付いていた。
俺は一人を船外に突落し、運転手の腕をねじりあげた
「わかった。わかったよ止めるよ!!」そういって船を止めた。
菊元さんが「いや~流石やね、これが若さか!!」
こっちを見ながらニヤニヤ笑っている。まったくよく言うよ・・・
しかし菊元さんは今までのことをすっかり思い出した
「なんでこんなことしたんや!えぇ?お前等JBCCと関係あるんか?」
「な、ないです!!」
「ほななんでそんなキャップを」
「ワザとなんです」どういう意味だ?
「JBと・・・JBCCの中を悪くするようにって言われたんです・・・」
「誰にや!?そんなことして誰が徳するんや」
「誰かは分かりませんが、誰かに言われたんです。たまたまJBCCのショア大会に出て
その時別室に呼ばれて・・・えーっと・・・あ、あぁぁぁ頭が割れそうだ!」
その男は頭を抱えてうずくまってしまった
「菊元さん・・・なんか違うんじゃないですか?」
「そやねなんか裏がありそうやね。これは・・・複雑な・・・いや、案外簡単なことかもしれんね」
そういうと心あたりがあるのかまたもやニヤニヤしていた。
そのさんは「あごが痛い」といってしきりにあごをさすっていた
そんな俺は菊元さんが濡れた服のまま俺の車に乗るのか心配だった
108:ほぼ初代
24/09/12 20:57:51.59 .net
第三十二話 二億四千万の悪意
帰りの車の中で菊元さんは電話を掛けている。
しかも全裸で
「もうウルトラヘビーショベリーヌですわ・・・しゃーない、シーツ濡らすのも
悪いよって全部脱ぎますわ」そう言ってそそくさとすっぽんぽんになってしまった。
そのさんは「キャッ」っと小さく叫んだが、お構い無しに全て脱いだ。
しかしそのさんは叫んだ割りに目はそらさなかった。
菊元さんは携帯で「おう!僕や、今江君おるかいな。・・・今江君?もう大変でしたわ
そのがね拉致られてね・・・え?何故かJBCCのキャップや、え?なんやて!?」
はたして心当たりがあるとは言っていたが・・・
「その!近々今江君こっちにくるで」ん?なんだこの間は?
「昔の話です」そう言ってそのさんは『芸者ガールズ』のCDを出して「掛けて」と小さく言った
「この件はちと僕に任せてほしいですわ。きっと解決するよってな」
「俺は構いませんが・・・そのさんは?」様子が変だなぁ・・・
「別に・・・」あの時の不機嫌モードだ
「そういえばねあいつ等こう言ってたわよ。『これで全てがうまく行くな』ってね」
「え?それは・・・あかんがな!僕の勘が見事に砕けましたわ」
そういって眉間に皺を寄せ厳しい面持ちでタバコに火を付けた
全裸なのにとても凛々しく見えたのであった。
「菊元さんの勘ってどういうことですか?」
「そやね、僕はてっきりWBSの仕業かと思ったんですわ。」
「WBSの?」俺とそのさんは同時に声を上げた
「だってWBSはJBとも交流があるし。吉田 幸二さんだって・・・
それにWBSとJB同時にエントリーしてる人だっているじゃない!それだったら・・・」
「そこが盲点だと思ってましたわ、そう思わせといて一気にJBを飲み込んでしまう。
そのは第一段階の話しやと。JBCCに捕われ、WBSとJBがタッグを組んでそのを助ける。
しかし助ける瞬間はWBSや。そん時『JBにはそのを助ける力も無い。
だったら業界を引っ張って行くのはWBS』っちゅーことになるわけですわ」
なんて言う伏線の張り方だ・・・
109:ほぼ初代
24/09/12 21:00:08.38 .net
まてよ?菊元さんはWBSでは無いと言ってたな
「でもなんでそのさんだったのですか?」
「いい質問やね」ニヤリと笑った・・・
でもそれは違う答えだと菊元さん本人が知っているはずだった。
「正にそのはさっき話していたダブルエントリー者だった訳や」
「そうか!解ったわよ!!」
「そや、WBSはJBと一緒になって行動しやすい、また共通の問題を
解決してるという風に見やすいわけや」
「でも違うんですよね」そう俺がつっこむと菊元さんは不満そうに
「そや・・・違うんや、もしさっき言った方がなんぼか解決しやすいですわ。
これは内部の犯行やな。けったくそ悪い・・・」
本人には解決する糸口が見えているようだ
「心当たりはあるの?」そのさんが言う
「もう大体の見当はつきましたわ。」
「ええ!?本当ですか!!」
「さっきの電話と犯人達の残した言葉で解りましたわ」
そう言って二本目のタバコに火を付けた。
3人を乗せた車は国道125号線へと入り、あたりや食堂を右に見ながら進んでいた。
「菊元さん、ここからは車も多いし全裸はマズいと思いますよ」
「そやね。それじゃあ」と言ってライフジャケットだけ身に付けた。