熱海at TRAVEL
熱海 - 暇つぶし2ch887:列島縦断名無しさん
09/08/22 02:40:43 ylc9vFC70
~「奥」としての熱海~
たとえば来客などを家の中に案内する際、よく「奥へどうぞ」などという。
この場合の「奥」とは、何を指しているのだろうか。
ただ「奥」と言われると、少し大げさに言えば、一体どこへ連れて行かれるのだろう
という一抹の不安が心をよぎる。奥は漠然とあるなにものかを暗示することばである。
字義的には、奥には次のような意味がある。

-「外」の対。沖と同根。空間的には、深く入ったところで、人に見せず大事にするところ
と言うのが原義。そこにとどくには多くの時間が経過するので、時間の意に転じると、晩い
こと。最後の意。最も深くて神秘的な所。末尾。-

要するに、奥は空間的にも時間的にも到達しがたい最終的な場所、時間を指している。
それだけではない。奥義、奥伝ということばがあるように、空間的、時間的意味のほかに
、深遠では計りがたい心理的な意味もある。奥は、さまざまな意味を含みながら、中心を
支えている。
建築家の槇文彦氏も自著「見え隠れする都市」において、奥の特性を「最後に到達した極点
として、そこに到達するプロセスにもドラマや儀式性があり、見えざる中心である」と説く。

ところで、東京の要人は、豆相人車鉄道時代や、そのさらに以前の陸路未開の時代から、
保養や会談のために、遥々、熱海に訪れ、そこに極点と安堵を求めていた。
当時の交通事情を考えると、その道程は長いものであったが、そこに到達するプロセスに
ドラマと悦びを求めながら、熱海に足を運んだのである。
それはいわば一種の「儀式」と化し、経済・交通が発達するにつれ、多くの東京人に
共有されるようになっていったのだ。


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