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■「H2A」ロケット、新型開発 宇宙機構と三菱重工 (2010/05/17 日経速報ニュースor日経本紙朝刊)
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は三菱重工業と共同で、主力ロケット「H2A」をもとに多段噴射タイプの新型を開発する。
宇宙でエンジンを繰り返し噴いて、搭載した気象衛星などを静止軌道までじかに送り届ける。
複数の衛星を別々の軌道に打ち分ける性能も備わる。2013年度の初打ち上げを目指す。
日本は緯度の高いところから打ち上げるため、衛星の軌道投入に余分な燃料がかかる。地理条件が国際競争力をそいだ。
宇宙の多段噴射技術で、地の利のある欧州のアリアンロケットと同等以上の性能になる。
新型ロケットの打ち上げ能力は需要の多い4~6トン。H2Aをもとに約160億円で開発する。
新型ロケットは、宇宙でエンジンを2度噴射。これまでのロケットは途中の2段目で衛星から離れ、
あとは衛星が自分のエンジンを噴射しながら軌道を修正していた。
新型ロケットは衛星を搭載したまま長時間飛行。目的の軌道へ衛星を直送できるのが特徴だ。衛星側は燃料を約3割節約できる。
衛星を運用できる期間が一般的な15年から19年に延びる。噴射具合を調整し、異なるタイプの衛星も同時に打ち上げられるという。
ロケットは赤道から東向きに打つと自転する地球の力を借りて無駄を最も減らせる。日本の地理条件はアリアンの射場がある南米・ギアナよりも不利だった。
一方、打ち上げる衛星の大きさに見合うロケットもそろえる。三菱重工はH2Aを現在の2機種から、20年までに6機種程度に増やす。
現行機種から補助エンジンをすべて外して4トン以下に対応したり、主エンジンを2基にして6トン以上にしたりする研究を進める。
JAXAは、H2Aで運ぶには軽すぎる1トン程度の衛星を打ち上げる次世代小型ロケットの研究開発に10年度から着手した。4月に専門チームを発足。
今年度は約20億円を投じて詳細設計などに取り組む。総開発費は約200億円。1号機は13年度を予定。
打ち上げ費用は40億円以下とH2Aの半分未満に抑える。
気象衛星など1件の打ち上げが数十億円規模の受注額となる需要は、世界全体で15年までに毎年20基程度が見込まれている。