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『武谷三男著作集 3 戦争と科学』(勁草書房)
-192頁~193頁-
第二次世界大戦で、日本軍人が科学的潜在力の評価能力を欠いて
いたことを最も良く示す例は電波兵器であろう。電波兵器について
は、日本の科学者達は決して知らないわけではなかった。しかし、
軍人達は全然相手にしなかったのである。
日本海軍は、月月火水木金金と言った具合に、夜戦で暗黒の中の
敵に接近して攻撃する猛訓練を多数の犠牲者を出しながら強行して
いた。そして米海軍は、このような訓練をやっていないから、問題
ではないと言うことが宣伝されていた。ところが蓋(フタ)を開け
たら、どうであったか。日本の軍艦が暗黒の中を接近しないうちに、
遠方にあっても完全に砲撃されたのである。
これは電波兵器の威力である。レーダーを持っておれば、暗黒と
言う物は存在しないのである。日本軍は暗黒の中を、手探りで、訓練
の力で悲壮に接近して行こうとするときに、敵からは丸見えと言う
わけである。