09/02/01 13:17:57
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国内小説
「新世界より」貴志祐介 ★★★
元ネタのひとつ「地球の長い午後」よりも、「漂流教室」に近い雰囲気を感じた。
少年少女達が主人公。未来の変わり果てた姿となっている日本。その未知なる世界が徐々に
明らかになっていく過程。その世界を担っていく者となる運命。
どんなに恐ろしい世界であろうが、そこで生きていこうという決意が美しい。これはこの
3作品に共通した美学であり強さでもある。自分はこうしたSFに惹かれる。
欠点としては主人公の考え方が現代的すぎる点が気になる。(機械文明が滅んでいる筈なのに、
「スイッチを入れる」といった比喩が当たり前に出てくる)そのかわり感情移入はし易い。
それと、今という時代を踏まえて「悪鬼」という存在が本当に怖い。
海外小説
「遠すぎた星 老人と宇宙2 」ジョン・スコルジー ★★★
前作も面白かったが、今回も面白かった。
スコルジーは、人間というものをイーガンの様に突き放して見る事が出来ない人なので、
やや甘ったるい作風に陥る危険性があるのだが、最後の結末はアメリカ色の強い本作としては
意外ともいえる展開で、単純なハッピーエンドではない。
その結末もヒューマニズムからそうなるものではあるのだが。甘ったるいというよりも、
むしろ苦味を含んでいて、前作の脳天気な展開とは違って考えさせる。(あれも好きだけどね)
展開が早いのは前作同様でスペオペ作品としても良品。