08/07/24 16:29:14
名前の表記変更に関してわたしが書いたことについては、たしかに、それは問
題点がちがうぞ、と思われる方も多いでしょう。「正しくはどうあるべきか」「
作者の意図がどうか」ではなくて、「慣れ親しんだ既訳の表記を継承してもらわ
なくては話がわからなくなる。作者の意図がどうあれ、すでにもう日本語として
形になっているんだから、既訳の読者のことを考えてくれ」ですよね。
それはそうでしょう、苦楽をともにして一心同体となった、思いいれのあるキ
ャラクターたちです。その名前を途中で変えられたら、たまったもんじゃない。
もう読みたくなくなっちゃうでしょうね。
じっさい、そのへんは、出版社が、そして後継の翻訳者がいちばん苦慮した部
分です。出版社にしてみれば、熱心な読者はだいじなお客ですし、翻訳者サイド
からいえば、物語を通じて苦楽をともにするという点で、ある意味、読者は戦友
みたいなもの。今回の結論を出すにあたっては、おそらく、みなさんよりもずっ
と深く考え、苦しみました。わたしにしても、それが免罪符になると思っている
わけではありませんが、そうとうに苦悩しています。ひところは毎日のように、
変えてはもどし、変えてはもどしのくりかえし……いったいどれだけ置換をくり
かえしたかわかりません。信じていただかなくてもけっこうですが、けっして結
論ありきなんかじゃなかったんですよ。これからはたぶん針のむしろの時期で、
訳者にはつらい日々がつづくことを覚悟していますが、校了するまでだって、そ
れなりに地獄のような日々だったわけです。
それでは、最終的に、なぜ変えたのか?