09/02/05 06:04:29
おれは荒れる話は嫌いだ。ティム・パワーズの話をしよう
"Drawing of the Dark" 1968年未訳 9点
スレイマン大帝下のオスマン帝国がヨーロッパ侵攻をはじめた中世が舞台
やさぐれ無職、元傭兵の主人公は、ヴェニスで怪しい老人に出会い、
ウィーンの酒場の用心棒として雇われる
妙な化け物たちに遭遇しつつもなんとかウィーンにたどり着いた主人公は、
西洋と東洋の運命をかけた闘いに巻き込まれる
パワーズのデビュー作。ファンタジーのオールタイムベストにも選ばれる大傑作
ラブクラフトを思わせる妖しい雰囲気の序盤から、剣と魔法の物語になだれ込む
特に剣の描写は圧倒的で、このレベルの作家は隆慶一郎くらいしか思いつかない
包囲下のウィーンで繰り広げられる、アーサー王vs安徳天皇の決闘がしびれるぜ
最近訳されないが、現役では最高のファンタジー作家だと思う
近作の冷戦クトゥルーものとかも訳してくれんかなあ