07/11/10 16:56:28
中村融編『怪物ホラー傑作選 千の脚を持つ男』 6点
あとがきにもあるとおり、活字で読むウルトラQを意図したという本邦オリジナル・
アンソロジー、グロいものが多く、卓越した作はないものの、割り切って読めばそれなりに
楽しめる作品集となっている。
それでは、大好評の収録作品全話講評いってみよう!
ジョゼフ・ベイン・ブレナン『沼の怪』
湿った沼の情景がリアルな『人喰いアミーバの恐怖』に代表されるB級SF映画を
彷彿とさせる怪物談。
この手の話が好きな者にはたまらないものがあろうが、反面、嫌いな者にも
逆な意味でたまらないものがあろう。
デイヴィッド・H・ケラー『妖虫』
大乱歩かよ(w、なタイトルだが、かなりウルトラQ的な世界が展開される。
製粉所の臼の音に惹かれ200年の時をかけて地底から謎の妖虫がやって来る・・・
無事にモンスターが退治される前収録作『沼の怪』とは対照的なバッド・エンディングが
印象的だ。
P・スカイラー・ミラー『アウター砂洲に打ち上げられたもの』
冒頭の作品紹介の項に、ウルトラQのあるエピを連想する、とあるが、
『海底原人ラゴン』であろう。
ただし、スマートでハートウオーミングな展開のQにおけるエピとは対照的に
腐臭漂うかのようなグロい展開が読ませどころか。
シオドア・スタージョン『それ』
シオドア作品中でもグロい作と言える。
モンスターは自滅(10-4-10-10のエピを想起させる)する一応の
ハッピー・エンディングながら、グルーミーなテーストのラストが印象深く、
この辺は、ただでは終わらせないシオドアらしい。