07/03/24 02:00:27
「航路」 コニー・ウィリス
女が書いて、女が読む本。
登場人物は、認知心理学者を自称する主人公も含めて全て、
他人の話を聞かない、自分の要件がこの世で最も重要だと思っている、
独善的な性格の人間ばかり。
べらべら良くしゃべるが、まったく共感できない。
訳者は、主人公キャラ・悪役キャラ・活発な女の子キャラ・主人公の友人キャラ等が
明確でわかりやすいと書いているが、自分には全員おなじキャラにしかみえなかった。
キャラクタの書き分けはキャラクタの行動ではなく、主人公の感情でのみ示されている。
つまり、主人公が嫌いだから、悪役キャラなのだ。
キャラクタの行動自体は悪役キャラであるミセス・ダベンポートとなんら代わることの無い
「(私に言わせれば)狡猾でわがまま」な女の子メイジーは、主人公が「気に入っている」という理由だけで
「愛すべき」キャラになってしまう。
「メイジーは可愛い」と思えるような人じゃないと、本書は楽しめないだろう。
わたしにとって、文庫本で上下巻1300ページちかい分量は、苦行そのものだった。
唯一の救いは、会話文が多く、項数の割りに早く読めること。
ちなみに、冒頭で女が云々というのは、以前読んだジル・チャーチル(ミステリ作家)の小説に雰囲気が
そっくりだったから。
3点