09/11/01 00:47:07 LSIcVUgk
テレビでは美しくうっとりするような笑顔を振りまいてくれる女優たち。
情報番組やバラエティーなど、普段女優が出ない番組に番宣などで出てもらうことになると、
若手スタッフたちは大騒ぎになる。いそいそと鏡の前で歯に海苔が付いていないか、髪型はおかしくないか、
まるで初デート前のようにソワソワ落ち着かない。なにも異性として見られているわけでもないのに……。
しかしその初デートで、百年の恋が一気に冷めて幻滅することもある。
それは、たとえばこんな時。
高級中華料理店である女優さんと打ち合わせを兼ねた食事会をしたときのこと。
日本映画史にもその名が残る70歳を超えた大女優が見せたある行動に、周囲の人間の誰もが凍りついた。
円卓に着席し、お冷とおしぼりが配ぜんされた時のこと。おしぼりがスパーっと目の前を飛んで行った。
大女優が円卓を挟んで座った自分の付き人にビニール袋に包まれたおしぼりを投げたのだ!
この行動にどう対応すればいいのか? 同じ番組に出演するタレントも同席していたのだが、
助けを求めるような視線をぶつけてくる。
当然会話は一時中断。おしぼりを投げられた付き人のおじいさんは動じず一切表情を崩さない。
にこやかにおしぼりのビニール袋をきれいに切り取り、袋から半分だけおしぼりを出して大女優の傍に歩み寄り差し出した。
何もなかったように彼女は付き人に一切目を向けることなく、おしぼりを受け取り過去の栄光話を話しだした。
私は彼女の行動に目を奪われその後、彼女が何を話したのか全くもって頭に残っていない。
数々の名監督と仕事をし、名画に出演している大女優のおしぼり投げ事件。
いくら銀幕の世界で生きてきた人とはいえ、それはないだろうと幻滅した。
かつては銀幕のスターとして、この程度のものはワガママとして許されていたのかもしれない。
ただ、現在のようにスターが身近に感じられるようになった今は、わがままはただの傍若無人としか映らない。(続きます)